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2023.12.01更新
 

メイドインジャパンのおいしさ、海を渡る。「米菓」の輸出、過去最高。
 

おせんべい、あられ、おかき……日本独特の嗜好品として古くから広く日本人に愛されてきた「米菓」。昨今は、コメ由来で小麦を使わないヘルシーな菓子としてのイメージが浸透し、海外への輸出が右肩上がり。『農林水産物輸出入統計』によると、2023年5月までの速報値で、過去最高の輸出額となった2021年に迫るペースで増加中。海外では“Rice Cracker”として知られるBEIKA。主な輸出国は、米国、台湾、中国の順で、この3カ国で輸出全体の6割以上を占めています。国内市場が成熟期を迎えるなか、米菓各社は海外販路の開拓に力が入ります。
「柿の種」や「ハッピーターン」などのロングセラーブランドを中心に、国内米菓市場の3割近くを占め、業界のリーディングカンパニーの地位を確立した[亀田製菓](新潟)は、1980年代から海外進出には前向き。英語パッケージの輸出専門商品が海を渡っています。現在、米国をはじめ、タイ、ベトナム、インド、カンボジアなど、約40カ国に輸出され、2022年度の輸出額は対前年比で約20%の伸びを記録。
国産のもち米ときな粉を使い、口に入れた瞬間、ふわっと溶けるような食感が外国人の間でも人気の「ふんわり名人 きな粉餅」(越後製菓/新潟)。硬く歯ごたえのある、これまでの米菓らしさを覆し、つきたてのお餅のような風味と、とろけるような独特の食感は、10年の歳月を費やして開発された“力作”。輸出も好調で、2022年度の輸出額は対前年比、約30%増。韓国、米国、シンガポール、台湾など、18カ国で販売されています。 
業界3位の[岩塚製菓](新潟)では、輸出の増加をにらみ、商品の賞味期限の延長に取り組んでいます。原材料の配合見直しや包材仕様の変更などを行うことで、主力の「黒豆せんべい」は120日から150日に、「田舎のおかき」は150日から210日の延長を実現。米国や台湾などへ輸出する同社では、延長により現地での保管はもとより、販売期間も延ばすことができるほか、日数もコストもかかる船便(コンテナ)輸送も対応可能に。
山形県酒田の[酒田米菓]では、豪州を中心に輸出している「玄米せんべい」の売り上げが好調。たまり醤油で味付けし、添加物を一切使用していないところが、健康需要に合致。今後は、海外向けに、カルシウムや鉄分などを含んだせんべいの開発も計画中。
業界によれば、海外で好まれる“せんべい”の傾向は、硬いものより軽い食感、醤油味より甘味や辛さがあるもの、とのこと。余談ですが、「柿の種」は、2017年に“宇宙日本食”としてJAXAの認証を受け、2020年には実際に宇宙へと飛び立ちました。

参考:
農林水産省          https://www.maff.go.jp/
亀田製菓           https://www.kamedaseika.co.jp/
越後製菓           https://www.echigoseika.co.jp/
岩塚製菓           https://www.iwatsukaseika.co.jp
酒田米菓           https://www.sakatabeika.co.jp/
全国米菓工業組合       https://www.arare-osenbei.jp/
食品需給研究センター     http://www.fmric.or.jp/
日経МJ(2023年8月4日付)


愚痴も言わずに黙々と働きます。拡大する、「配膳ロボット」市場。
 

ここ数年、“サービス(商用)ロボット”と呼ばれる、“仕事をするロボット”の導入が拡大しています。その中でも今、引っ張りだこなのが「配膳ロボット」。センサーやAIなどの先端技術を搭載し、人や物などの障害物を回避しながら、一度に複数の料理を客席まで運び、食事を終えると、食器類を一度に乗せて洗い場まで運んでくれます。ただし、アームは取り付けられていないため、料理をテーブルに移し替える作業は人の手が必要となります。
配膳ロボットの需要が高まっている背景には、飲食業界における慢性的な人手不足・人件費の高騰・非接触のためコロナウイルスへの感染対策、などが挙げられます。
では、配膳ロボットを導入した場合のメリットは?
最も大きいのが、スタッフの業務負担の軽減と、それに伴う人材の有効活用です。
ロボットの導入で、配膳・下げ膳の単純作業や重い食器類を運ぶという業務負担から開放されます。その分スタッフは、自動化ができない、つまり人にしかできない客への気付きや心遣いといった接客サービスに労力を割くことが可能になります。それが、顧客満足度の向上、さらには収益拡大へとつながるということになります。
次に大きいメリットは、人件費の削減。なにしろロボットですから、休憩時間が不要。営業時間中ずっと稼働可能で、シフト調整の手間もなく、残業代は発生しません。 
あるファミレスで働くロボットは、1回の充電で、朝7時から深夜0時まで、17時間休みなく稼働してくれます。ロボットの月額レンタル利用料も、バイト1人を雇う費用と遜色なく確保できる点が利用増につながっています。
2022年に約6200台だった配膳ロボットが、2030年には約3万900台と、5倍近くに増えると予測されています。国内では、2021年から[すかいらーくグループ]が全店に導入(約2100店舗/導入台数約3000台)したことにより市場が動いて、大幅に伸長。そのロボットが、市場を二分する中国のIT企業[Pudu Robotics(プードゥ・ロボティクス)]のネコ型配膳ロボット「Bella Bot(ベラボット)」(推定価格約364万円)でした。音声で案内する際、語尾に“にゃん”と付けて話すことがウケて子どもに人気。
2強を形成するもう一方は、[ソフトバンクロボティクス]の「SERVI(サービィ)」。国内で約500ブランドの飲食店に導入されています(2023年7月時点)。推定価格は、5年プランで月々9万9800円〜(5年間で598万円)。
配膳ロボットの“求人先”は、レストランだけではありません。あるメッキ工場では製品を25m先の検査室まで運ぶ作業を。歯科医院では14の診察台に患者さんのカルテを運びます。そのほか、焼き立てパンの運搬に配膳ロボットを活用しているベーカリーや、ホテル、ゴルフ場、焼肉店、居酒屋などで今日も元気に働いています。
ここでビッグニュースが飛び込んできました(2023年10月)。2強の1つ[Pudu]と[ソフトバンク]が、日本市場における商用ロボットの普及を加速させることを目指して、戦略的パートナーシップを締結したとの発表がありました。
“ウチは高いサービスレベルを維持したいので、ロボットなんて…”というレストランは少なくありません。しかし、ロボットを導入している店舗から見るとまったく逆で、“スタッフがお客さまに提供するサービスのレベルを一段引き上げるためにロボットが必要なんです”と言います。人でなければできないことは人がやって、ロボットでもできることは自動化する----この考え方は、業界が長年抱えてきた課題解決の糸口になるのではないでしょうか。

参考:
Pudu Robotics          https://www.pudurobotics.com/
ソフトバンクロボティクス     https://www.softbankrobotics.com/
日経МJ(2023年8月16日付/同8月28日付)


無料で、好きなだけ! 「試食」がビジネスになる時代。
 

リアル店舗で試して、購入はネットで、という“ショールーミング”型の買い物スタイルは、すっかり私たちの生活に定着した感があります。しかし、ことせ食品(飲料を含む)に関しては、リアルな体験(試食)から、ひと呼吸おいてのネット購入というこの方法が、必ずしも相性がいいとはいえないようです。食品は、体験して、おいしい!と感動したら、そのまま購入して家に持ち帰りたいという欲求が強いということがわかってきました。そこで誕生したのが、“試す→ネットで購入”と時間の経過をおかない、“試す→その場で購入(ネットでも購入可)”というワンストップ型のショールーミング店舗です。
2023年2月に東京・自由が丘にオープンした試食専門店、その名も「試食屋」(運営/Liva)。店内には、“実際に食べてもらえば、必ずや商品の魅力がわかってもらえるのに…”と、これまでお披露目の機会がなくて歯がゆい思いをしてきた自信作ぞろい。  
全国から集めた100種類以上の食品や飲料が展示され、そのすべてが、何度でもタダで“お試し”可能。試食したい商品に添えられたカードをスタッフに渡すと、店内に設けられた試食用スペースまで商品を運んでくれます。商品によっては、調理を行ったり、付け合わせが一緒に提供されたりと、日常生活での使用シーンをイメージできるようになっています。例えば、「もやし屋のまかないダレ」という商品を希望すると、実際にもやしにからめたものが。また、「あたしのニラ唐辛子」の場合は、熱々のご飯が一緒に添えられて提供されたり。食べ終えると、その場で商品についての率直な感想をアンケート用紙に記入。それがメーカーにフィードバックされ、生きたマーケティングデータとして活用されます。そして、商品が気に入ったら即購入できるほか、先ほどの商品に添えられていたカードを持ち帰ってECサイトでも注文できます。
出品を希望する事業者は、1カ月単位(通常3カ月以上)で出品料(非公開)を支払って出品する仕組み。「試食屋」は、いわゆるオーナーの目利きが売りの“セレクトショップ”とは異なり、自信作であれば基本的に“来るものは拒まず”のスタンスを取っています。あくまでメーカーのマーケティングリサーチの場であることが基本のため、どんな商品が売れるのかは店側には判断ができないし、すべきではないという考え。マズイかおいしいかは、店側ではなく、試食したお客さまが一番判断できるというわけです。
なんでもネットで手に入る時代に、ネットでできないことが一つだけあります。それは、リアルな体験です。手にとって食べてみて“おいしいから買おう”というのは、消費者の購買動機の基本中の基本。出品するメーカーにとっては、超アナログなこの場所が、実は最先端な場だったりするのかもしれません。

参考:
試食屋             https://shisyokuya.com/
日経МJ(2023年8月18日付)


 
 
 
 
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