金融・お金の情報
2023.03.01更新
 

速いが価値。加速する「時短消費=タイパ」。
 

昨年来からの消費行動のトレンドで、最も重要なキーワードとなっているのが「タイパ」(「タイムパフォーマンス」の略)。時間に対する満足度を求める“時間対効果”を意識した行動を指す言葉として一気に広がりました。もともとはZ世代の若者が使っていた用語・考え方ですが、今や世代を超えた共通ワードに発展。その概念は、“時短マーケティング”や“倍速消費”などの名の元に、さまざまなサービスや商品となって私たちの前に出現しています。
例えば、動画配信サービスの倍速再生モード。つまらないと感じたら、すかさず1.5倍速や10秒飛ばしの視聴が当たり前に。
また、本の要約サイト[flier(フライヤー)](東京)は、厳選されたビジネス書を中心に約1300冊をそろえ、普通に読めば1冊5〜6時間かかるところを10分ほどで読めるように要約したテキストを提供する、いわば“倍速読書”のタイパ。PC、スマホ、タブレット端末に対応。料金プランは1カ月に提供される冊数によって3通りあり、無料の“フリープラン”で20冊程度、“シルバープラン”は月額550円(税込)で25冊程度、“ゴールドプラン”は月額2200円(税込)で冊数無制限。コロナ禍以降、利用者が急増し、2022年11月時点で累計98万人に達しました。また、このサービスを社員教育や福利厚生の一環として導入する企業が増え、約660社が利用しています。
『日経トレンディ』によると、2023年ヒット予測の1位に選ばれたのは「コンビニジム」でした。コンビニのように、時間にしばられず気軽に利用できて便利なフィットネスジムという意味から命名されたもので、コンビニが運営しているジムという意味ではありませんので、念のため。
その代名詞的存在が、[ライザップ]が運営・監修する「チョコザップ」。“ちょこっとライザップ”の略称がブランド名として話題となっています。基本は、一日5分の“ちょいトレ”。ターゲットは、20〜60代男女の“ジム未経験”で“普段、運動習慣のない方”。全店、24時間利用し放題で月額3278円(税込)。着替え・靴履き替え不要の“手ぶらジム”。入退会の手続きはすべてスマホで対応し、利用者の時短ニーズに徹底的に応えます。
忙しくて時間がない近頃の若者たち。だからこそ、限られた時間内でより多くのものを得たり、消費したりと、自分の時間を目いっぱい楽しむためにタイパを追求します。しかし、できるだけ速く、無駄をなくして、効率的に目標達成するというタイパの精神は、決して若者特有のものではないと同時に、単なる一過性のブームでもなく、もっと骨太で広がりを持った消費の価値観のようなものといえそうです。
参考:

フライヤー          https://www.flierinc.com/
チョコザップ         https://chocozap.jp/
日経トレンディ(2022年11月号)
日経МJ(2022年11月2日付)


“銀ブラ”は100円ショップへ? 銀座を変える、「プチプラショップ」の進出。
 

東京・銀座といえば、海外ブランド店や大手百貨店をはじめ、老舗のテーラー、和菓子屋といった、格式と伝統ある専門店が軒を連ねる高級なイメージの街。
そんな銀座に異変が! 100円ショップに代表されるような「プチプラ(プチプライス=低価格帯)ショップ」が、先を争うかのように銀座に進出。続々と新規出店し、すさまじい侵食力でハイブランドな街の景色を変えようとしています。
2021年春、100円ショップの[Watts(ワッツ)]がプチプラショップの先陣を切って銀座に出店(銀座メルサB1)したのを皮切りに、2022年4月、[大創産業]が、メインブランド「DAISO(ダイソー)」のグローバル旗艦店、価格帯が100〜1000円の「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」、そして価格帯が300円中心の雑貨専門店「THREEPPY(スリーピー)」と、一挙に3ブランドを「マロニエゲート銀座2」(旧プランタン銀座)内、6階のワンフロアにオープン。トータルで約500坪(1650平方メートル)、テニスコート6面分の広さで、銀座エリアで初のお目見えとなりました。
続いて4月末には、「GINZA SIX」の向かい、「イグジットメルサ銀座」の5階に100円ショップ業界2位の[セリア]が銀座初出店。2万アイテムをそろえ、あくまで“100均”にこだわる同店は、銀座に店を構えるからといって“よそ行き”の営業スタイルをとらず、“いつものセリア、いつもの品ぞろえ”で臨みます。
同じく4月下旬には、300円ショップの「3COINS+plus(スリーコインズプラス)」が「西銀座デパート」2階にオープン。こちらも銀座初出店。売り場の広さは、同店関東最大級(約140坪=462平方メートル)で、2000点超の品ぞろえ。
コロナ禍で元気のないアパレル企業が出店を控えているところに、勢いのあるプチプラ業態が銀座へ進出しやすくなったという背景があるとはいえ、銀座は最も家賃の高いエリア。“いつかは銀座”と夢見る超1等地。
一方、国内の100円ショップ市場(2021年度)は前年度比5.8%増の9500億円。世界25カ国、6338店舗を有する業界トップの[大創産業]だけで、2022年の売上高が5493億円と好調に推移。安価を売りにするプチプラショップは、そのブランドイメージを上げたい、そして幅広い年齢層が集まる一大商圏である銀座へ出店することで認知拡大を図りたい。そのためならと、各社、銀座に集結。今、銀座の高額な家賃を払える体力があるのは、市場規模が1兆円に迫ろうかというプチプラ業態くらいかもしれず、低単価商品のビジネスで採算がとれるの?といった心配も、どうやら杞憂に終わりそう。
そういえば、かつて三越銀座店の1階に「マクドナルド」の日本1号店が登場した際もさんざん言われたものです。「えっ! あの立ち食いハンバーガー屋が、銀座に?」と------あれから、50年以上がたちました。

参考:

ワッツ            https://www.watts-jp.com/
大創産業           https://www.daiso-sangyo.co.jp/
セリア            https://www.seria-group.com/
スリーコインズ        https://www.3coins.jp/
日経МJ(2022年11月16日付)


新たなビジネスインフラに。大幅成長が見込まれる「機械翻訳」市場。
 

人を介さずに機械(コンピュータ)によって言語を別の言語に変換することを「機械翻訳」といいます。データベースに内蔵されている膨大な単語と訳文の中から、訳出する語句やセンテンスに最も近いものを訳文として提示するという仕組みです。
機械翻訳は、大別して二つに分類されます。
一つは、スマホやパソコンなどで手軽に利用できる、翻訳サイトやアプリなどの“オンライン翻訳ツール”。入力したテキストを、希望する言語に翻訳してくれる機能を備えたサイトで、ネット上のサーバに搭載された機械翻訳エンジンを使って訳されます。
無料の機械翻訳ツールとして世界中で幅広く利用されているのが、「Google翻訳」。2016年に、“ニューラルネットワーク”と呼ばれる、人間の脳神経細胞を模した翻訳システムを導入。それまでは、センテンスを単語や文節単位での翻訳のため、翻訳精度は芳しくありませんでしたが、この開発によって精度が一気に、しかも飛躍的に高まりました。システム自身が学習しながら文章全体のニュアンスを考慮して翻訳するという革新的技術を身につけたことで、より自然に近い訳文を実現。その代表格がGoogle翻訳で、現在、100言語以上への翻訳が可能です。
ほかにも、このタイプの翻訳ツールは多数存在しており、基本的には無料ですが、訳する言語数や専門性の高い分野などによっては有料のサイトもあります。
機械翻訳のもう一つのカテゴリーは、AI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」(ソースネクスト)などに代表されるような、音声をその場で翻訳してリアルタイムに双方向コミュニケーションがとれる“自動音声翻訳機”です。カメラ翻訳機能搭載で、海外でのレストランのメニュー確認や注文もスムーズ。また、外国語のリスニングや発音の練習など、語学学習に役立つ機能も搭載されています。
この二つの流れで形成されていた機械翻訳市場に最近、第三の勢力ともいえる“強敵”が出現しました。それは、「翻訳イヤホン」(ワイヤレスイヤホン型翻訳機)です。世界初となるイヤホン型翻訳機を開発したのは、AI翻訳専門のグローバルメーカー[Timekettle(タイムケトル)](中国)。その最新型の「WT2 Edge」(3万4980円〜/税込)は、ハンズフリーで双方向の同時通訳を実現。二人で会話する際には、お互いが片方ずつイヤホンを装着し、イヤホン本体のタッチ操作で同時通訳の会話ができます。また、Bluetoothイヤホンとして音楽も聴けます。
市場的には、コスト効率の高い機械翻訳への需要が高まっていることから、2030年までに大幅な成長を遂げることが予想されています。すでに、社会インフラの一部になりつつあるともてはやされている一方で、外国語教育の現場からは“機械翻訳が普及したら外国語を学習する必要がなくなるのでは?”という危機感にも近い複雑な反応があるのもたしか。しかし、自分で話してみた外国語が会話レベルに達しているかを機械翻訳で確認したり、原文(外国語)を正しく理解できたかを瞬時に確認するにも機械翻訳は有効なツールになり得ます。要は、“使いよう”。語学学習と機械翻訳が敵対するのではなく、有能なパートナーとして十分に共存が可能なはずですから。
参考:
Google翻訳         https://translate.google.co.jp/
ポケトーク         https://pocketalk.jp/
タイムケトル        https://timekettle.jp/
日経МJ(2022年11月7日付)


 
 
 
 
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