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2022.03.01更新
 

もう平成が懐かしい? 令和に広がる「平成レトロ」ブーム。
 

 「昭和レトロ」なアイテムやカルチャーが話題となっていたのもつかの間。レトロブームのステージは「平成」へと移行し、今、「平成レトロ」がトレンドの中心になっています。10年近く続いてきた昭和レトロにそろそろ飽きがきていた若者が、次なるターゲットとして「平成」をレトロの対象として見つけ出したようです。

 「平成時代」は、1989年〜2019年までの31年間。「平成レトロ」とは、そのうちの1990年代〜2000年代初期に流行したアイテムやカルチャーに再注目し、それらを自分の日常生活や趣味に取り入れて楽しむ現象です。
 主な事例として、まず最初に挙げられるのが、90年代の「ギャルカルチャー」の再燃です。ルーズソックスをはじめ、ピチピチなTシャツ、厚底ブーツなど。それに関連して、ケータイや鏡、手帳など身の周りのモノにキラキラしたシールを貼って自分らしさをアピールした「デコブーム」も再来。また、平成レトロの象徴的アイテムといえば、「使い捨てカメラ(写ルンです)」。誕生こそ1986年と昭和生まれですが、販売数のピークは1997(平成9)年。高画質の写真が簡単に撮れる世代にとっては、画質の粗さや風合いが“味”となって新鮮に映るようです。
 1996(平成8)年に登場するや、2年半の間に世界中で4000万個を売り上げて大ブームとなった「たまごっち」も進化して再びブームに。通信機能が追加された最新版は、腕に着けることができ、しかも画像がカラーに。

 「平成レトロ」を広めているのは、“ミレニアル世代”と“Z世代”と呼ばれる二つの世代の人たち。ミレニアル世代とは、1980年代後半の昭和末期〜1990年代半ば(平成初期)に生まれ、幼少期に平成カルチャーの洗礼を受けた人たちで、現在、20代半ば〜30代後半。一方、Z世代とは、平成に入った1990年代半ば〜2010年代に生まれた世代を指し、子どもの頃からデジタルが当たり前の時代に育ったため“デジタルネイティブ世代”とも呼ばれます。広く10代〜26歳ぐらいまでの人たちで、平成初期のカルチャーには親しみがない世代。言い換えれば、平成にはやったモノやコトを“懐かしい”と感じるのがミレニアル世代。逆に、“こんなの初めて!新鮮”と思うのがZ世代ということに。

 「レトロ」の魅力は、現代社会にはない“不完全さ”にあるといわれます。特に、生まれた時からハイテクなモノに囲まれて育ったZ世代の若者は、無意識に、完成されたシステムに“無機質さ”や“冷たさ”を感じているのかもしれません。それ故、あえて、手間のかかる操作を楽しんだり、ある種の“ダサさ”をクールでカワイイと感じたり。さらに、自分のセンスを差異化してアピールしたいと願う若者たちにとっては、未知のアイテムやカルチャーを発掘すること自体が自己表現の手段となり、平成の時代が、その“宝庫”となっているといえます。

※参考:
日経トレンディ(2021年12月号)


24時間働きます。店の代わりに稼ぐ、コロナ下の「自動販売機」たち。
 

 全国におよそ400万台強(2020年)と、世界に名だたる“自販機大国”の日本。しかし、自販機市場は縮小傾向にあり、中でも、全体の6割近くを占める飲料の自販機は、コロナの外出自粛の波をもろに被って大苦戦を強いられました。そこで飲料用に代わって登場したのが“食品用自販機”、それも冷凍食品用の自販機(以下、冷食自販機)でした。その出現は、時短営業を余儀なくされた飲食店の売り上げ補完の打開策として、また非対面・非接触ニーズや在宅勤務普及に伴う冷食の需要増への対応策として、まさにピンチをチャンスに変える救世主的な存在として注目を集めることになりました。

 今、飲食業界から引く手あまたの支持を集めている冷食自販機があります。[サンデン・リテールシステム]が独自開発した「ど冷えもん」です(参考価格/約200万円)。生産が追いつかないほどの人気の理由は、何種類もの商品が1台で収納できること。従来のものは、形状の異なる複数の商品を1台でまかなうことが難しく、アイスクリームなどの販売に限られていました。しかしこの自販機では、さまざまな容器の形・大きさに対応できるマルチストックを採用。シングル、ツイン、ハーフ、クオーターの4種類のストッカー(棚)を自在に組み合わせることで、最大11種類・308個の商品の収納を可能にしました。
 [リンガーハット]の一部店舗では「ど冷えもん」を店頭に設置して全体の売り上げをバックアップ。海鮮居酒屋の[北海番屋](東京)では、店頭でのお土産需要を狙って、“いくら醤油漬”(3500円)や“紅鮭切り身5切れ”(1500円)などの冷凍商品を「ど冷えもん」で販売中。
 また、「ど冷えもん」を活用してユニークなビジネスを始めたのは、麺類製造の[丸山製麺](東京)。全国の有名ラーメン店とコラボした冷凍ラーメン自販機「ヌードルツアーズ」を本社工場前を皮切りに30カ所に設置(2021年時点)。ラーメン4品とギョーザ1品のセットを1000円で販売。全国から誘致が相次いでおり、特に有料駐車場からの引き合いが強いとのこと。2022年度末までに1000カ所での設置を目指します。
 「ど冷えもん」に限らず、全国の飲食店で冷食自販機の導入が加速しています。
 店舗前の自販機で“ギョーザ”や“シューマイ”など、店の人気肉料理を冷凍で販売する中華料理店。パティシエ仕込みのケーキの冷食自販機も登場(滋賀県)。“蒸し焼きショコラ”“窯焼きティラミス”など、価格は、二切れで500円均一。また、北海道・十勝の焼き肉店では、冷食自販機をキャンプ場に設置して、カルビ、ハラミなどの“ミックス焼き肉”(2000〜3000円)をバーベキュー用に販売。

 店舗周りなどの狭いスペースを有効活用できて、商品補充時以外は人手もかからず、24時間営業可能の働き者-----コロナの影響に伴う消費者のライフスタイルの変化もあって、冷食自販機へのニーズはいっそう強まるはず。そのうち、“行列のできる自販機”がニュースで話題となる日が訪れるかもしれません。

※参考:

日本自動販売システム機械工業会   https://www.jvma.or.jp/
日本食糧新聞社           https://news.nissyoku.co.jp/
サンデン・リテールシステム     https://www.sanden-rs.com/
丸山製?              https://www.maru-men.co.jp/
日経MJ(2021年9月3日付/同11月5日付/同11月24日付)


さまざまな分野に波及。ますます熱く盛り上がる「冷食エコノミー」。
 

 一回の買い物で多めに買って、保存しながら必要な時に必要な量を使う----家で食事をする機会が増えたコロナ下では、こんな消費スタイルがすっかり定着。長期保存が可能な冷凍食品(以下、冷食)は、こうした消費の変化に的確にヒットし、2020年の家庭用冷食出荷額は過去最高を記録。初めて業務用を上回りました(日本冷凍食品協会)。
 コロナ下の巣ごもり特需で拡大の一途をたどる冷食市場には、さまざまな企業が参入。その結果、商品の製造・販売企業だけでなく、調理関連の電気製品、各種資材、物流など、“冷凍品”にまつわるあらゆる関連ビジネスから成る「冷食(フローズン)エコノミー」と呼ばれる一大経済圏が発生。新たな消費を生み出す原動力となりつつあります。

 “冷食でトップランナーを目指す”との方針を掲げる[イオンリテール]は、昨年、全店舗の9割に当たる約350店で冷食の品目・売り場を1.5倍に広げ、大型店では1000品目もの冷食を取り扱っています。[業務スーパー](神戸物産)でも冷食の売れ行きは好調。各店舗で売上高に占める冷食の割合は2割強と高水準。また、以前から冷食を手掛けていた[無印良品]は、昨春、“カット野菜”や“ミールキット”など25アイテムを新発売。2018年に50種類だった冷食を90種類に拡充しました。
 冷食メーカー間のシェア争いも激しさを増しています。
 [味の素]は、主力商品の「ギョーザ」を全面刷新。豚肉の量、原料の配合、練り方などをレベルアップしました。冷食最大手の[ニチレイフーズ]は、家飲みをテーマにした冷食シリーズを新たに開発。[マルハニチロ]は、好評の冷凍唐揚げを大容量バージョンで。[ニッスイ]は、話題の大豆ミートの冷食商品を発売。

 冷食市場拡大のカギを握るのが、買いだめ需要に対応する「家庭用冷凍庫」の普及です。2020年度の出荷台数は前年比6割増(日本電機工業会)。“セカンド冷蔵庫には冷凍庫を!”と、家電店では冷凍庫売り場を新設。スリム型、大容量、冷凍と冷蔵の切り替え、と付加価値をうたった製品が増え、平均購入価格も上昇傾向に。

 冷食は、単に、“便利でおいしい”という直接的なメリットだけではなく、例えば、旬の時期に生産過剰になってしまった野菜を冷凍すれば無駄なく活用でき、フードロス削減という社会的メリットとの両立も実現できます。昨年9月、冷食の可能性に着目した複数の企業11社が、「フローズンエコノミーラボ」という企業連合体を立ち上げました。サステナブルな暮らしにつながる冷食の訴求を通し、「フローズンエコノミー」が持つ可能性をアピールするというもの。
 コロナ禍による需要増をきっかけに生まれた「冷食エコノミー」というホットな市場。変わりつつある消費生活の中で、ますます存在感を増していくことは間違いなさそうです。

※参考:

(一社)日本冷凍食品協会     https://www.reishokukyo.or.jp/
イオンリテール         https://www.aeonretail.jp/
神戸物産            https://www.kobebussan.co.jp/
無印良品            https://www.muji.com/jp/
味の素冷凍食品         https://www.ffa.ajinomoto.com
ニチレイフーズ         https://www.nichireifoods.co.jp/
マルハニチロ          https://www.maruha-nichiro.co.jp/
ニッスイ            https://www.nissui.co.jp/
(一社)日本電機工業会      https://www.jema-net.or.jp/
フローズンエコノミーラボ    https://frozen-economy.jp/
日経MJ(2021年10月4日付/同11月24日付/同12月3日付)


 
 
 
 
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