金融・お金の情報
2022.02.01更新
 

“低遅延”が取り柄の「5G」。普及はやや遅れ気味のようです。
 

 現行の4Gと比べ、100倍の“高速”、10分の1の“低遅延”、10倍の“同時多接続”という3つの特性を掲げた「5G=第5世代高速通信規格」の本格商用サービスが国内でスタートしたのが2020年。2年ほどが経過した今、5G対応端末の普及は伸びているものの、多くのユーザーが5Gのメリットを実感するまでには至っていないというのが実状です。

 「2G」から「3G」に移行した際(2001年)は、携帯で写真を送りあう“写メール”が一世を風靡。「3G」から「4G」へ移ると(2010年)、スマホの普及が進み、SNSや動画配信サービスが当たり前に。そして2020年、「4G」から「5G」への移行期。通信各社は、5Gのメリットを打ち出したサービスを提供することで、データの消費量が増え、収益も向上するという青写真を描いていました。しかし、これまでの世代交代期に登場したような、消費者の生活に大きな影響を及ぼす革新的なサービスは、今のところ生まれていません。
 また、5Gを利用できるエリアが限られていることも、5G普及を阻んでいる大きな要因といえます。
 5Gは、電波が届く範囲が4Gより狭い分、より多くの基地局が必要となります。各国と比べ商用化のタイミングで遅れをとった日本は、2023年度末時点の携帯各社による5G用基地局整備の目標を、従来計画の4倍に当たる28万局に引き上げました。同時に、4Gの基地局を5Gに転用することも承認。この動きを受けて、携帯各社は対応エリアの拡大を加速させています。
 5G向け周波数を武器にエリア展開を推し進める[NTTドコモ]は、2019年度からの5年間で1兆円の設備投資を計上。2022年度には3万2000局、人口カバー率(通信サービスを利用可能な人口の目安指標)を70%まで拡大する計画。それに対して、4G基地局の5G転用によってエリア展開をよりスピーディーに進める[KDDI]と[ソフトバンク]は、2021年度末にはそれぞれ5万局と、一気に2020年度末の5倍に増加(人口カバー率90%)。

 通信大手のある幹部は、「東京五輪で5Gの良さを体感してもらう計画だったが…」と悔やみます。観客がリアルタイムの複数視点で楽しむといった、従来にない観戦体験の提供で5Gの特長をアピールする絶好の機会を逸してしまいました。
 しかし、2021年から、「SA(スタンドアローン)」と呼ばれる5Gの本命サービスが始まっています。これまでは5Gの持つポテンシャルの一部しか使えていませんでしたが、これからは5Gが単独で動き、5Gのフル機能を存分に発揮できるようになります。
やっと、5Gならではの新しい体験をユーザーに届ける時代の到来です。それはまた、携帯各社にとっては、5G向けキラーコンテンツの創出争いでしのぎを削る時代の始まりでもあります。

※参考:
総務省      https://www.soumu.go.jp/
NTTドコモ   https://www.nttdocomo.co.jp/
KDDI       https://www.kddi.com/
ソフトバンク   https://www.softbank.jp/
日経MJ(2021年10月1日付/同10月6日付)


ミレニアム世代にウケてます。飲み切りサイズの「缶ワイン」人気、上昇中。
 

 米国で火が付き、昨今、日本でも人気上昇中の「缶入りワイン」(以下、缶ワイン)。
“ワインは瓶に限る”というボトルワイン派にとっては眉をひそめたくなるような話ですが、日本でもコンビニやスーパーなどで見かけるようになり、ワインを楽しく飲めるなら容器にこだわらないというミレニアム世代(27歳〜42歳前後)を中心に、新しい飲酒形態としてファンが増加。

 缶ワインの特徴の一つに、“飲みやすいサイズ感”があります。ボトルワインの大半は750ml(グラス約6杯分)ですが、缶ワインは基本的に250〜375ml(グラス約2〜3杯分)。ボトル1本を一人で飲むには多すぎるという人でも、缶ワインなら飲み切ることができるジャストサイズで、保管にも場所をとりません。また、ボトルワインのようにオープナーやグラスを必要とせず、片付けも缶を捨てるだけ。さらに、瓶と比べ、格段に軽いという点も大きな魅力です。割れる心配もなく、持ち運びがラク。ピクニックやキャンプ、スポーツ観戦などのアウトドアや、航空機内でも提供されるようになりました。
 缶ワインは、環境への配慮も忘れていません。持続可能な資源の活用が必須の時代、リサイクル率は、ガラス瓶が69%なのに対し、アルミ缶が94%(2020年)。加えて、缶は流通の軽量化につながり、製造〜輸送時のCO2排出量も抑制できるという利点が。

 瓶ワインと遜色のない質の高い缶ワインを製造するのは、至難の業でした。
 ワインは、酸度が高く、かつアルコール度数も11〜14度と高めのものが多く、缶との相性がいいとはいえません。気密性の高い缶に、そういった液体を長時間入れておくと化学反応を起こしてしまい、缶の劣化を早めることに。さらに、ワインが極度の酸欠状態になると発生する“還元臭”と呼ばれるニオイの解消が課題でした。これらのリスクを、数十年にわたる試行錯誤の末、解決したのが、[バロークス]という豪州の缶ワインメーカーでした。彼らは、缶の内側に特殊コーティングを施し、ワインとの化学反応を防ぐことに成功(2004年頃)。その後、2010年代初頭から缶ワインが注目され、大手のワインメーカーも参入。2019年には、世界初の缶ワインのみの国際コンペが開催されるまでになりました。特に米国では、2012年に200万ドルだった缶ワイン市場が、2020年には1兆8400億ドルにまで跳ね上がっています。
 日本では、2005年に初めて販売されたものの、なかなか市場には認知されませんでしたが、ここ最近は、様々な種類の缶ワインが登場。昨今の“宅飲み”ブームも手伝って、業界では新たな起爆剤としての期待が高まります。

 缶ワイン市場をけん引するミレニアム世代にとっては、ワインの容器がガラスか缶かということよりも、すぐ飲めることや持ち運びの便利さ、そしてサステナビリティー(持続可能性)を重視していることこそが、ワインを選ぶ上で大きなポイントとなっているようです。

※参考:
ガラスびん3R促進協議会     https://www.glass-3r.jp/
アルミ缶リサイクル協会      https://www.alumi-can.or.jp/
日経MJ(2021年10月22日付)


“後で売れる”から“買う”。Z世代の購買行動、「リセールバリュー」広まる。
 

 IT時代の申し子、スマホ。その中に入っている一つのアプリが、人々の購買行動を変えてしまいました。それは、[メルカリ]に代表される「フリマアプリ」。
 スマホで自分の持っているモノが簡単に売れたり、気に入ったモノを安値で買い取ったりということが手軽にできる環境が整っている今、小売業界を中心に「リセールバリュー」という言葉が行き交っています。直訳すると「再販価値」。自分が新品を購入する時に、第三者へ売ること・売れることを前提とする新しい購買行動のことを指して、広くリセールバリューと呼ばれます。
 これまでは、あくまで自分が利用することのみを考えて購入するのが普通でした。初めから、“高く売れそうだから”という理由で服を買うという習慣はありませんでした。車やマンションといった資産価値に関わってくるような高額品の購入時には一般的でしたが、近頃は本や服、家具など、比較的購入頻度の高い商品にもリセールバリューの考え方が浸透。
 売却できる可能性が高いモノを買うということは、裏を返すと、より多くの人が欲しいと思ってくれるモノを見越して購入するという消費スタイルでもあります。
 また、自分にとって不用なモノが、価値を見いだす人に行き渡って再生するリセールバリュー的消費行動は、ムダな消費の抑制、廃棄物の減少にもつながるため、循環型社会を目指すサステナビリティーへの貢献度も高いといわれています。

 “中古品への抵抗感の減少=新品にこだわらない”という価値観は、バブル崩壊後に生まれ、デフレ経済下で育ったコスパ重視の“Z世代”(16歳〜26歳前後)と呼ばれる若者から沸き起こり、それが、かつては中古品の購入に消極的だったはずの50代・60代の中高年層にまで波紋のようにゆっくりと、しかし着実に伝播していきました。
 当初、業界内では、二次流通(中古品市場)は一次流通(新品市場)の領域を侵食すると敵対視されていたのも事実。しかし、新品購入時に“リセールバリューのことを考慮する”といった行動が増えるにつれ、“売れることを考えて、少々値段が高くても良いモノを買っておこう”と、新たな新品需要を創出。新品の購入単価が上がり、一次流通と二次流通との間にwin-winの共存関係が生まれました。“不用品は捨てるより売る”という二次流通の普及が、さらなる新品購入を後押しすることが明らかになったのです。

 リセールバリューを前提としたフリマ世代の、“後で売れる”から“買う”という購買行動が、今後、企業の製品開発やマーケティングのみならず、中古品流通市場の在り方にも大きな影響を与える可能性がありそうです。

※参考:
経済産業省         https://www.meti.go.jp/
メルカリ          https://jp.mercari.com/
日経MJ(2021年10月10日付)


 
 
 
 
キーストーンコンサルティング株式会社 〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野1-2-39 4F TEL 093-551-6325 FAX 093-551-6326保険相談・教育費積立相談・経営コンサルティング対応エリアは全国です 東京、大阪、名古屋、をはじめ 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県 香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県