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2022.01.05更新
 

“泊まる”から“住まう”へ。「ホテル」の稼ぎ方改革、進行中。
 

 ホテル業界は、コロナ禍による観光やビジネス需要減のあおりを受け、客室稼働率が急下降して収益が悪化。閉館に追い込まれるホテルが各地で増えており、2020年度の倒産件数もかつてないほどの高い水準を示しています。そこでホテル各社は、空室のまま寝かせておくよりは、と長期滞在を促すための割安プランを打ち出し、ホテルの“稼ぎ方改革”に着手し始めました。
 初めに注目を集めたのが、2021年3月に[帝国ホテル](東京)が発表した“サービスアパートメント”構想で、「30泊36万円」(税・サービス料込み)というプランでした。日本を代表する格式あるホテルに、破格の料金で宿泊できるとあって、用意した99室は即日完売。コンセプトは、ホテルに“泊まる”ではなく“住まう”。“ホテルリビング”という、ホテルステイの新たな価値の提供です。サブスク方式によるルームサービス(30泊6万円)とランドリーサービス(30泊3万円)という、同ホテル自慢のサービスが付加されるのも大きな魅力。
 名古屋駅の真上に位置する[名古屋マリオットアソシアホテル]では、デラックスツイン30泊28万6000円の長期プランを展開。
 [東急]は、全国39カ所にある東急系列のホテルに、一定期間、自由に滞在できるサブスクサービス「ツギツギ」を実施。料金は、30泊18万円と60泊36万円の2種類。
 [三井不動産]も全国35カ所のホテル網を自由に移動しながら長期滞在できるプランを展開。料金はホテルのグレードによって、30泊16万5000円〜21万円。
 企画もののアイデアで、新規需要の開拓に挑むケースも。
 大阪の[リーガロイヤルホテル]では、“リハビリツーリズム”と銘打ち、長期滞在にリハビリを組み合わせたプランを設定。ホテル内に設けられたリハビリ施設で、提携する介護支援業者がリハビリ指導するシステム。1室30泊196万円(朝食付き)。
 [京王プラザホテル](東京)は、30日の長期滞在とRIZAPがコラボした「美バケーション30 with RIZAP」のプランを期間限定で実施。専属のトレーナーによるトレーニングを1カ月間(週2回)、完全個室で受けられるというもの。利用料金は、1室1名で49万8000円、2名で64万4000円。

 海外ではすでに多くのホテルが“サービスアパートメント”事業を手掛けています。日本の大手ホテルがこの流れに乗った背景には、コロナ禍による経営悪化によって、土地や建物を所有する“日本式経営モデル”の弱点があぶり出されたことにあるといわれています。日本の、常に固定費が発生し続ける高リスクの所有型経営に対し、資産の“運営”に重きを置いた外資系ホテルは、稼働率が落ちてもコスト負担を最小限に食い止めることができます。
 “所有”から“運営”へ-----アフターコロナを見据えた抜本的なビジネスモデルの転換期がホテル業界に訪れているようです。

※参考:
帝国ホテル            https://www.imperialhotel.co.jp/j/
名古屋マリオットアソシアホテル  https://www.associa.com/nma/
東急ホテルズ           https://www.tokyuhotels.co.jp/
三井不動産            https://www.mitsuifudosan.co.jp/
リーガロイヤルホテル       https://www.rihga.co.jp/osaka/
京王プラザホテル         https://www.keioplaza.co.jp/
日経МJ(2021年4月10日付/同9月3日付/同9月12日付/同9月22日付/同9月27日付/同10月6日付/同10月29日付)


重さからの解放。「濃縮タイプ」なら、ペットボトル2リットル分が1本で。
 

 マイナス面ばかりが目につくコロナ下の生活ですが、そんな中でも、例えばフードデリバリーサービスの広がりや省人化店舗の普及など、苦しい状況にめげずにヒットしたものも少なくありません。今回取り上げる「濃縮飲料」も、その一つです。
濃縮飲料とは、缶やペットボトルに入った原液を水などで希釈して飲むもので、国内では「カルピス」が有名。最近はその市場に、緑茶やウーロン茶、麦茶、コーヒー、紅茶、さらに機能性飲料まで、続々と参入しています。

 最大のメリットは、持ち運びが楽という点。2?のペットボトル1本分が、濃縮缶(180mlが主流)1本に置き換わることで、重さがほぼ10分の1に軽減されます。また、好みの濃さに調節できることに加え、水出しや煮出すより手間がかからず時短で便利。さらに、かさばらずに収納できることも人気の要因に。
 先陣を切ったのは、[サントリー]の「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」でした。続いて翌2020年には、同社の看板ブランド「伊右衛門」「烏龍茶」「DAKARAミネラル」にも濃縮タイプが登場。同年には、[伊藤園]からも「お〜いお茶 緑茶」「健康ミネラルむぎ茶」「Relaxジャスミンティー」「ウーロン茶」と4種の濃縮タイプが発売(価格はすべて125円前後)。飲料メーカーの大手2社がメインブランドで参入したことで、濃縮飲料市場はにわかに活気づきました。

 缶同様に注目を集めているのが、ペットボトルタイプの“濃縮コーヒー”(340ml/200円〜300円前後)。水で割ってブラックコーヒーに、牛乳で割ればカフェラテ、豆乳で割ればソイラテに。1本で約10杯分のコーヒーが楽しめます。代表的なのが、[サントリー]の「BOSS カフェベース」。味のラインアップは、無糖、甘さ控えめ、焦がしキャラメル、贅沢カフェインレスの4種。在宅勤務の増加を追い風に、対2019年比で4割増と拡大。家庭外で成功を収めてきた「BOSS」ブランドが、家庭内に本格進出したことになります。
 このタイプは、[日本コカ・コーラ]からも「ジョージア ヨーロピアン猿田彦珈琲監修のコーヒーベース」(無糖/甘さ控えめ)が発売されています。さらに同社からは、2021年に“フリーズドライ飲料”という、濃縮飲料系の新ジャンルが登場。「1,2,CUBE(ワン・ツー・キューブ)」(1袋15杯分/648円)という商品で、小さなサイコロ状のキューブを1粒、水やお湯に“入れて・溶かす”という2アクションで簡単に飲み物が作れます。味は、麦茶、緑茶、コーヒーの3種類。

 もともとは災害時の備蓄用品として開発された“濃縮缶”。水と混ぜるだけで大量に作れるとひそかな人気となり、特に子どものいる家庭で存在感が急上昇。外出自粛による自宅での飲料需要の高まりもあり、すぐに作れるお手軽さがママたちからの支持を得てスマッシュヒットにつながりました。

※参考:
サントリー食品インターナショナル  https://www.suntory.co.jp/
伊藤園               https://www.itoen.co.jp/
日本コカ・コーラ          https://www.cocacola.co.jp/


家族の「家電」から、わたしの「個電」へ。
 

 “単身”や“夫婦のみ”といった少人数世帯が50%を超えている(総務省)という現実は、家電業界にも大きな影響を及ぼしています。
 これまで日本の家電メーカーは、“4人家族”を標準世帯として商品開発してきました。しかし近ごろ、そういった想定でつくられた製品と現実のライフステージとの間にズレが目立ちはじめてきたようです。また、多くの機能を搭載して付加価値を高めたものより、サイズや機能面で一人ひとりに合ったシンプルな生活家電が求められるという傾向に。これらは、家族単位ではなく、個人単位で使われるシーンを前提としているため「個電」と呼ばれ、今や家電メーカーの開発トレンドになろうとしています。

 夏に爆発的ヒットとなった「モバイル扇風機(ハンディファン)」も個電の仲間です。
 また、ひとり仕様のポータブル空気清浄機「Leaf Portable」(カドー/1万5000円前後)は、500mlのペットボトルほどのサイズながら、高性能フィルターを搭載して花粉やPM2.5をしっかり除去してくれます。
 一度に1枚しか焼けないトースターも人気です。[三菱電機]の「ブレッドオーブン」は、3万3000円と高めの価格設定。しかし、共働き家庭などで家族がバラバラに朝食をとる場合、一度に焼く1枚のパンがとびきりおいしく焼けるなら納得の価格といえるのかも。
 食洗機にも個電化の波が。少人数用食器洗い乾燥機「ジェイム」(エスケイジャパン/4万3780円)は、業界初のタンク式を採用して、取り付け水道工事不要。水切りカゴほどのコンパクトサイズで使いやすい設計。
 画期的な個電も登場しました。「折りたためる洗濯機」(ドウシシャ/8778円)です。幅27cm、奥行き27cm、重さ2kg、炊飯器ほどの大きさの上部を引っ張って伸ばし、約10Lの水を入れ、洗濯物と洗剤を投入してタイマーをセットしてスイッチON。洗濯時間は約9分。脱水機能はないので、手絞りで。2台目として、マスクや布巾などの小物類や、ペット服など、ほかの物と一緒に洗うのに抵抗があるという場合の利用に最適。使わないときには折りたたんで(高さ11cmに)棚やクローゼットにしまっておけます。キャンプや出張などへの需要も増え、発売3カ月で1万台を販売するヒット商品となっています。

 機能満載のファミリーユース家電から、“わたし”に使いやすいプライベート個電へ。家電の常識が変わり、メーカーの商品戦略も大きく変わろうとしている今。大手とはひと味違う、小回りの効いた製品開発を得意とする新興ベンチャーメーカーにとっても、またとない商機到来といえそうです。

※参考:
総務省            https://www.soumu.go.jp/
カドー            https://cado.com/
三菱電機           https://www.mitsubishielectric.co.jp/
エスケイジャパン       https://skj-felicis.com/
ドウシシャ          https://e-doshisha.com/


 
 
 
 
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