金融・お金の情報
2021.06.01更新
 

家具は捨てずに再販売。“SDGs時代”ならではの、新しい試みです。
 

多くの企業で「SDGs(エスディージーズ)」への本格的な取り組みが始まっています。
SDGs-----Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年の国連サミットで採択。国際社会のすべての人が、2016年から2030年までに貧困に終止符を打ち、地球を保護して平和と豊かさを享受できる社会を実現すべく、17の目標と169のターゲット(具体目標)から構成されています。

企業にとってのSDGsとは、本業の利益の一部を使って行う“社会貢献活動”という狭い範囲の活動ではなく、企業経営の根幹に関わる優先課題として捉えることが求められています。ネットが発達した今、ユーザーや株主、社員など、多くの“関係者”が企業の取り組みを注視しており、環境や人権を軽視する企業の活動や商品に対しては、世界各国から批判の目が向けられることになります。

SDGs12番目の目標に掲げられている「つくる責任、つかう責任」に基づいた循環型経済(サーキュラー・エコノミー)をサステナビリティ戦略の柱に据える家具大手の[イケア]は、今年2月、日本初となる「サーキュラーハブ」と呼ぶ売り場を「イケア港北店」にオープンしました。“家具に第二の人生を与える”をテーマに、消費者から買い取ったイケアの家具を展示、その場で販売するシステムです。これまでお金を払って捨てていた家具が“売れる”このシステムは、全世界の店舗で展開されており、昨年度には世界で約6200万個の廃棄家具のうち、約3900万個を再販売して“第二の人生”を与えました。また、日本を含む世界27カ国のイケアストアでは、2020年11月24日から12月3日までの間、「#BuybackFriday(バイバックフライデー)」と銘打った家具の買い取り(=バイバック)キャンペーンが一斉に実施されました。不要になった家具を新たな消費者へとつなぐもので、一年で最も盛大に衝動買いが行われる「ブラックフライデー」と対極にあって、モノを大切にする消費行動を促そうという意味をはらんでいます。

[無印良品]は、今年1月、ベッドやデスク、収納家具といった無印良品の家具を対象に、月額定額貸し出しサービスを国内182店舗で開始しました。テーマは“捨てない暮らし”。この新サービスを利用することで、家具の買い替えや処分が不要となり、廃棄物の削減につながって、間接的に環境保護に貢献することになります。貸し出し期間は1年単位で、最長4年間。例えば、折りたたみ式木製テーブルの4年契約での月額料金は400円、木製デスクが500円。期間満了時には買い取りもできます。

今や、ビジネスと切り離せぬ存在となったSDGsですが、企業に課せられる社会的課題の解決と経済活動の両立は簡単なことではありません。加えて、今後はいっそうSDGs活動への消費者の関心は高まり、購買行動に影響を及ぼしていくことが予想されます。
参考までに、2020年時点で世界各国(166カ国)のSDGsの達成状況を見ると、日本は2019年の15位から17位とランクを下げています。



※参考:
イケア・ジャパン       https://www.ikea.com/jp/
良品計画           https://ryohin-keikaku.jp/
日経МJ(2021年1月25日付/同2月22日付)


ビールの主戦場が“家”へとシフト。「糖質ゼロ」で、活路を見いだせるか。
 

2020年、販売量が16年連続で減少し、縮小の一途をたどる国内ビール市場に、激震ともいうべきニュースが駆け巡りました。[アサヒ]が堅守してきたビールシェア首位の座を、[キリン]が奪い返してトップに返り咲いたのです。2009年以来、実に11年ぶりとなる奪還劇でした。
この地殻変動をもたらした背景にあるのは、やはり“コロナ禍”。居酒屋やレストランなどの時短営業や廃業が相次ぎ、ビールメーカーにとっての生命線ともいうべき業務用需要が激減。販売量の5割近くのウエートを占めていた主力の太い販路を失うことになりました。そして、その波をもろにかぶったのが、業務用で強みを発揮していたアサヒ。逆に、家庭用に強かったキリンは踏みとどまって業績を伸ばし、業界トップの交代につながったという構図です。

主戦場が“店”から“家”へとシフトしたビール戦争。この、業界の構造変化に各社は、販売が好調な“新ジャンル”(発泡酒・第3のビール)ではなく、家飲みのメインアイテムである“缶ビール”のテコ入れに乗り出しました。中でも、ビール党の健康意識の高まりに応える“機能系ビール”に注目が集まっています。
昨年10月、衝撃的な商品が[キリン]から発売されて話題となりました。ビールで初めて・日本で初めて、糖質ゼロを実現した「一番搾り 糖質ゼロ」です。ビールのうまさは、含まれる麦芽の量に比例しますが、その分、糖質量も増えることに。つまり、麦芽使用率が50%以上と定められているビールで(新ジャンルは50%未満、または未使用でも可)糖質ゼロまでもっていくのは至難の業といわれてきました。しかし、[キリン]は全工程を見直し、試験醸造を350回以上繰り返し(通常は数十回)、5年の開発期間を経て、“糖質ゼロ”と“ビール本来のうまさ”の両立にたどり着きました。発売1カ月で100万ケースを販売するという大ヒット商品となり、今年3月時点では累計1億本(350ml缶換算)を突破しました。
[キリン]の独壇場ともいえる糖質ゼロビール市場に、[サントリー]も今年4月、「パーフェクトサントリービール」で参戦。開発がスタートしたのが2016年ということで、こちらも発売まで5年を費やしています。独自技術で、糖質ゼロと本格的飲みごたえの両立を実現させています。

機能系ビールのターゲットは、体型が気になり始めた40〜50代のヘビーユーザーがボリュームゾーンでした。しかし、コロナ下の近ごろでは、健康への予防意識が高まっている30代へと裾野の広がりを見せています。自分や家族に対して、“ちゃんと健康のことを考えているから”という、免罪符としての“商品価値”も機能系ビールにはあるようです。
ちなみに、糖質ゼロビールについて、[アサヒ]は「今のところ販売予定はない」、[サッポロ]は「発売の可能性や検討の有無についてお話できることはない」とのこと。



※参考:
アサヒビール       http://www.asahibeer.co.jp/
キリンビール       http://www.kirin.co.jp/
サントリービール     http://www.suntory.co.jp/beer/
サッポロビール      http://www.sapporobeer.jp/
日経МJ(2020年12月28日付/2021年3月1日付/同3月5日付)
朝日新聞(2021年4月13日付)


オトコの世界にじわり浸食。「釣りガール」、増殖中。
 

コロナ下でも人混みを避けて楽しめる「釣り」人気が高まっています。初心者や女性が増えて裾野は広がっていますが、だからといって、釣り場に若い女性たちが押し寄せて堤防がぐんと華やかに、とまではいきません。釣りの世界は、まだまだ男性比率が高いのが現実。
釣り場にはトイレがないことも珍しくありませんし、釣り道具は重く、自然が相手で雨や風などハードな面も。また、ヌルヌルした魚体やウロコ、生臭いニオイが駄目という人もいるでしょう。いわゆる“釣りの4K問題”といわれる、“臭い・汚い・キツイ・気持ち悪い”が、女性を「釣り」というアクティビティーから遠ざけている要因となっているようです。
そこで最近は、業界を挙げてマイナスイメージの払拭に努め、環境整備にも積極的に取り組んでいます。さらに、“○○女子”や“○○ガール”のブームに続けとばかりに、「釣りガール」という呼び方でお洒落なイメージを打ち出して女性ファンの取り込みに懸命です。

釣り具メーカーの団体「日本釣用品工業会」では、毎年、「釣りフェスティバル」を開催しており(12回目となる2021年はリモート開催)、その中で「アングラーズ(=釣り師)アイドル」という釣り業界のイメージガールを決める選考会が行われます。プロの釣り師を目指すものではなく、釣りガールの発掘や女性の釣りへの進出を促すのがアングラーズアイドルの役割。

2人の釣り好き女性が中心となって、昨年「女性フィッシング協会」を立ち上げました。全国の釣りガール12人が発足メンバーで、初心者に釣りの楽しさを伝えることを目的に組織されました。トイレの設置や清掃など、女性にも優しい釣り場の環境整備、気軽に参加できる釣りイベントの開催、SNSで釣りの魅力発信などが主な活動内容。
また、女性に、“釣りの魅力を伝える・広げる・応援する”を目標に活動しているのは、釣り具メーカーの[ハヤブサ](兵庫)。全国から釣りガールたちを募って「ハヤブサLady 隼華-HAYAKA-」を結成。現在は約30人のメンバーが活動中で、SNSで釣りの魅力や魚のさばき方などの発信や、各地で初心者向けの釣り教室を開催しています。

かつては、少年や中年男性が主人公のものがほとんどだった“釣りマンガ”の世界にも、釣りガールたちが登場して人気となっています。
釣りとは無縁だった少女が釣りに目覚める『放課後ていぼう日誌』や、一人の時間を大切にしているOLが主人公の『おひ釣りさま』など、釣り未経験者にも読みやすく、タメになる内容となっているのが共通点。

オフシーズンのプールを活用した釣り堀が出現したり、いい香りのするエサが開発されたり、釣った魚をつかむための専用トングやカラフルな釣り道具、お洒落なフィッシングウエアといったアイテムの充実。フィッシングブランドのファッションショーの開催、釣りガール専用のコミュニティーサイトの開設、女性初心者限定の釣りイベントなど、釣りガールたちに狙いを定めた市場は、多角的にますます盛り上がりを見せています。



※参考:
一般社団法人 日本釣用品工業会    http://www.jaftma.or.jp/
一般社団法人 女性フィッシング協会  https://female-fishing.org/
ハヤブサ              https://www.hayabusa.co.jp/
日経МJ(2021年2月24日付)


 
 
 
 
キーストーンコンサルティング株式会社 〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野1-2-39 4F TEL 093-551-6325 FAX 093-551-6326保険相談・教育費積立相談・経営コンサルティング対応エリアは全国です 東京、大阪、名古屋、をはじめ 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県 香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県