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2018.11.01更新
 

清涼飲料市場、期待の新顔。見た目を裏切る「透明飲料」、続々。
 

近ごろ、急激に増えてきた無色透明の清涼飲料水。見た目とのギャップによる小さなサプライズが話題となり注目度は増すばかり。飲料メーカーは、こぞって無色透明な商品を開発・発売。ブームといわれるほどに市場は活況を呈しています。

今年5月、[アサヒ飲料]から発売されたのは、「アサヒ クリアラテfromおいしい水」(PET600ml/税別124円)。水のようにごくごく飲める、透明なカフェラテです。
6月には、“ついに誕生!”と話題を集めた、透明なコーラ「コカ・コーラ クリア(PET500ml/税別140円)が発売されました。コカ・コーラブランドとして初の透明飲料で、あの独特の液色の素となるカラメルを使用せずに、コーラの風味を実現。開発は米国本社、販売は日本だけの限定商品となります。
飲料透明化の波は、酒類にも広がっています。
6月、[サントリー]から、透明なノンアルコールビール「オールフリー オールタイム」(PET380ml/想定価格150円前後)が登場。“透明”な上に“ペットボトル入り”と、2つのビールの常識を覆した画期的商品です。
一方、発泡酒の透明版として6月からテスト販売されたのは、[アサヒビール]の「クリアクラフト」(税込500円)。開発に8年を費やし、黄金色につながる麦芽の比率を25%以下に抑えて透明化を実現。東京と大阪の直営4店でのテストマーケティングを経て、今後の本格販売を検討するとのこと。

それにしても、なぜ、わざわざ色の付いているものを無色透明にする必要があるのでしょう。そこには、日本社会独特(?)の“他人の眼=視線”の存在があるようです。
ジュースなどの色付き飲料には、どうしても“おやつ”という感覚がまだ根強く、ジュースを飲みながら仕事をするのは、ポテトチップスをつまみながら接客することと同じとみられるようです。実際、ある公共機関に苦情が寄せられたといいます。民間のオフィスでも、ジュース系を飲んでいると同僚の眼が気になると敬遠する人も少なくないようです。そこで、視線を気にすることなく、いつでもどこでも抵抗感なく飲める透明飲料の出番です。こうした“社会的背景”が商品本来の開発意図に合致しているか否かは別にして、仕事の場でメリットであることは間違いありません。なにしろ、水を飲んでいるようにしか見えないのですから。

店頭で、手にとってもらいやすいところが、透明飲料という新ジャンルの強み。そのうち、“透明青汁”とか“透明緑茶”などが出現するかも……。                 


※参考:
アサヒ飲料                 https://www.asahiinryo.co.jp/
日本コカ・コーラ(コカ・コーラシステム)   https://www.cocacola.co.jp/
サントリービール              https://www.suntory.co.jp/
アサヒビール                https://www.asahibeer.co.jp/
朝日新聞(2018年6月12日付)
日経MJ(2018年6月15日付)



待ち時間も退屈させません。空間として進化する、今様「コインランドリー」。
 

どんどんオシャレな空間へと様変わりして進化を続ける、今どきの「コインランドリー」。最近のトレンドは、他のことをしながら洗濯の仕上がりを待つという“滞在型”タイプです。
昨年末オープンした「WASH & FOLD葉山店」(運営/アピッシュ)は、地元の老舗ベーカリーと代官山のジューススタンドとのコラボで実現しました。
熱帯魚が泳ぐ大型水槽を店内に設置したコインランドリーも出現。今春オープンした「アクアリウム・ランドリー」(東京・江戸川区、運営/ライフパートナー)は、洗濯の待ち時間を癒しの時間に、という新感覚のランドリー空間を提供。24時間営業の同店には、レンタル収納スペースや宅配便ロッカーも併設されており、いつでも洗濯のついでに利用できると好評です。
昨年2号店をオープンした「Araeru(アラエル)」(東京・新宿区、運営/日建リース工業)は、国内初の定額会員制ランドリーです。入り口で会員カードをかざさないと入店できない仕組みで、夜間に利用する女性客が多いのもうなずけます。
ペットを洗って乾かす専用コーナーを設けているのは、「クリーンプラザ ルーシー」(東京・渋谷区、運営/ワンザブ)。プロ仕様のシャワーやドライヤーを完備したセルフシステムの施設の他に、ペットの洋服や敷物なども洗濯できるペット専用のコインランドリースペースもあります。

増え続けるコインランドリー市場をけん引するのは、業界初の上場を果たした[WASHハウス](宮崎)と、IoTを駆使した運営の[マンマチャオ](横浜)の大手2社。ともにフランチャイズ方式で勢力を拡大し、激しい出店競争を繰り広げています。

比較的少ない資金で開業できるコインランドリーは、近年、運営のスマート化に伴い、オーナーにかかる負担が大幅に削減。利回りの良い投資先として、いっそう異業種の食指を動かします。その一例が[ファミリーマート]の参入です。駐車場のある店舗を中心に、コインランドリー併設店舗を19年度末までに500店とする計画を発表。コインランドリーを集客装置と捉え、コンビニへの“ついで買い”を見込みます。

洗濯という超日常的な家事を行う場所を、いかに生活感の薄い空間として演出し、快適で楽しいランドリータイムを提供できるか-----この相反するアプローチに挑む進化系コインランドリーから、ますます目が離せません。


※参考:
WASH&FOLD              https://wash-fold.com/
アクアリウム・ランドリー        http://aquariumlaundry.jp/
Araeru                 https://www.araeru.jp/
クリーンプラザ ルーシー         http://lucy.tokyo/
WASHハウス               https://www.wash-house.jp/
マンマチャオ              https://mammaciao.com/
ファミリーマート            http://www.family.co.jp/
朝日新聞(2018年5月19日付) 



ルーを超えた「レトルトカレー」。存在価値を高めて、ますます市場拡大。
 

昨年、カレー市場に一つの“事件”が発生しました。「レトルトカレー」の売上高が、ついに初めて「カレールー」を追い越してしまったのです。その原因として、共働き世帯の増加による調理の簡便化と時短ニーズの高まり、単身世帯や高齢者の増加による孤食化の進行、東日本大震災など災害時の備蓄食料としての需要増、などが挙げられてはいます。しかし、どうも、それだけではなさそうです。
近ごろ、レトルトカレーが、単身世帯だけでなく子どものいるファミリーの食卓にも頻繁に登場するようになったこと。また、仕事を持っている女性より、むしろ専業主婦のランチニーズで需要が高まっていることなどから、もはやレトルトカレーは、“単身”や“働く女性”だけの御用達ではなく、“家族”や、これまで手を出さなかった“主婦”という新たなユーザーを獲得したといえます。
あえて家族それぞれが、好みの味や辛さのレトルトカレーを食べる……そんな“家庭内個食”ともいえる食卓の光景が、レトルトカレー市場拡大要因の象徴的シーンなのかもしれません。もちろんその背景には、味・製法など商品自体の進化があってのこと。本格的な味を手軽に楽しめるという、レトルトカレーのメリットの浸透が、いっそう需要を押し上げています。

“少しだけ食べたい”“いろいろ食べたい”というニーズに応えて発売されたのは[エスビー食品]の「食べ方チョイス」シリーズ(税別130円)。1袋が通常の半分以下(65〜75g)に抑えられており、バターチキンやキーマなど6種類の味を組み合わせて楽しめます。
レトルトカレーの中でも抜群の人気を誇るのが[ハウス食品]の「プロクオリティ」シリーズ(4袋入/税別478円)。ほぐれるまで煮込んだ牛肉やタマネギ、トマトなどの旨みと甘みが凝縮された、レストラン品質の味わいが売り。
レトルトカレーの元祖、「ボンカレー」発売50周年を迎えた[大塚食品]は、「マイサイズ いいね!プラス」シリーズ(税別170〜190円)を16年から発売。「糖質が気になる方の欧風カレー」「たんぱく質を摂りたい方のキーマカレー」など、全国の調剤薬局や病院内の売店で販売しています。
全国各地の“ご当地カレー”も人気で、町おこしや地域の名産品を広めるための恰好のツールとして自治体も商品化に積極的。また、価格が500円を超す“高級レトルトカレー”も、シニア層や主婦を中心に好調な売れ行きです。

1968年、レトルト食品の草分けとして登場したレトルトカレーも、“個食”と“時短”といった時代の波に乗り、今やレトルト食品の王様に。その変遷には、日本人の“食”や“家族のカタチ”の移り変わりが内包されていて興味深いものがあります。


※参考:
エスビー食品          https://www.sbfoods.co.jp/
ハウス食品           http://housefoods.jp/
大塚食品            http://www.otsukafoods.co.jp/
朝日新聞(2018年5月22日付)
日経MJ(2018年6月25日付)



 
 
 
 
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