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2018.04.02更新
 

睡眠の大切さに目覚めました。量より質をカタチにする「睡眠ビジネス」。
 

日本人の睡眠不足ぶりは世界でも有名で、先進国中、常に最下位あたりをウロウロ。寝不足が続くと知らぬ間に眠りの借金“睡眠負債”が蓄積して、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病、集中力や記憶力の低下、うつ病、認知症にかかりやすくなるといったことが指摘されています。回復するには、不足した分の何倍もの睡眠時間が必要となり、とても週末の寝だめぐらいでは“負債”が返済できないほどの高金利。
私たちも、睡眠は時間ではなく質が大切だということに最近やっと目覚めたようで、睡眠ビジネス市場がにわかに活気づいてきました。

着るだけで安眠へと導く効果があると注目されているのが、「リカバリーウエア」です。血流促進効果があるナノプラチナを練り込んだ特殊繊維を開発し、休養時専用ウエアとして2009年から発売している[ベネクス]を皮切りに、2010年に[アンダーアーマー]、2013年には[プーマ]、翌年に[ナイキ]、16年に[ゴールドウィン]、昨年には[ライザップ]も参入して市場はにぎわいを増しています。決して安いとはいえない価格にもかかわらず、各社売り上げは右肩上がりの好調ぶりです。

寝具メーカーの老舗[西川産業]の直営店「日本橋西川」では昨年、[パナソニック]とのコラボで睡眠環境のトータルリフォームを提案するショールームをオープン。就寝から睡眠中、起床までの温度、湿度、照明、空調、音響、香りなど、寝室全体をスマホのアプリ(おやすみナビ)によって理想的な状態にコーディネート。

睡眠関連の書籍の中で昨年ベストセラーとなったのが、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)。睡眠医学の権威、スタンフォード大学の西野精治教授(著者)によると、良質な睡眠は、眠り始めの90分で決まるといいます。眠りの入口でつまずいてしまうと、どれだけ長時間寝ても自律神経が乱れ、なんかスッキリしない、という状態を抱えてしまうことになります。

寝不足が日常化している人は太りやすいといわれます。眠りが足りないと、食べ過ぎを抑えるレプチンというホルモンが分泌されにくくなるばかりか、食欲を増すグレリンというホルモンが出るために太る、という悪循環を招きます。

仕事や家事、遊びなどで、つい睡眠時間を削ってしまいがちになりますが、睡眠は決して“どうでもいいもの”ではなく、人間の体は眠っている間にとても大事な仕事をしているのです。くれぐれも、ナポレオンは一日3時間しか眠らなかった、などという伝説を実践しませんように-----。


※参考:
ベネクス         http://www.venex-j.co.jp/
西川産業         http://www.nishikawasangyo.co.jp/
サンマーク出版      https://www.sunmark.co.jp/
日経MJ(2017年10月16日付)



市場の期待を背負った「4Kテレビ」。早くも価格競争の様相に。
 

成熟度を増した最新の薄型テレビ市場のトレンドは、大型化と高精細化です。テレビの画面が大きくなればなるほど、解像度(キメの細やかさ=画素)の高さが求められます。そのため、いわゆる一般的なフルハイビジョンテレビ(2K)の4倍の画素数を持つ「4Kテレビ」に人気が集まっているのです。ちょうどアナログ放送停波時に購入したテレビの買い替え需要の高まりと、50〜55型クラスで10万円台まで下がってきた値ごろ感もあって、販売増に弾みがついています。とはいえ、4Kテレビが薄型テレビ市場全体に占める出荷台数の構成比は、まだ5割に届きません。4Kテレビの普及を推進する総務省の試算(2014年)によると、4Kテレビは2017年には457万台が出荷されるはずでした。しかし実際は、その3割ほどにとどまっているというのが現状です。

そうした背景の中、今年12月の4K実用放送(NHK)の開始を恰好の商機と捉え、メーカー、家電量販店とも、単価の高い4Kテレビの販売に一層力が入ります。

その一方で昨年、もう一つの“4K戦争”が勃発しました。「格安4Kテレビ」の台頭です。

先陣を切ったのは[ドン・キホーテ]。6月に50型・5万4800円(税別、以下同)の商品を発売するや、わずか1週間で初回生産分の3000台が完売。すぐに1400台を追加したものの、こちらも完売。11月には[ノジマ]が、55型・6万9800円と49型・5万3800円で追撃。数日で予約の受け付けを終了しました。同月、ディスカウントストアの[MrMax]からは、49型・4万8800円の商品を1500台限定で販売。初回分は2日間で完売し、追加した1800台も早々に完売。12月には[ゲオ]が、50型としては最安値(2017年12月時点)と話題となった4万9800円の商品を1700台限定で販売しました。いずれも、いくら機能をそぎ落としたとはいえ、市場価格の半値以下を実現した“企業努力”は、着実に消費者の支持を集めています。その傾向が市場全体に広がっていけば、大手メーカー製品の価格引き下げへの誘引力となると思われます。

4Kテレビを視聴するには、専用チューナーや対応アンテナの交換が必要となります。総務・経産の両省は、これを消費者に周知するため、呼びかけています。

ソフトである4K対応のコンテンツがまだ乏しい中での、ハード(4Kテレビ)の先行普及。総務省は、20年の東京五輪の中継の多くを4K・8K放送で行う計画です。周辺市場を含め、今後の4Kテレビの盛り上がりに注目です。


※参考:
総務省          http://www.soumu.go.jp/
経済産業省        http://www.meti.go.jp/
ドン・キホーテ      http://www.donki.com/
ノジマ          http://www.nojima.co.jp/
MrMax           https://www.mrmax.co.jp/
ゲオホールディングス   https://www.geonet.co.jp/
日経産業新聞(2017年11月29日付/同12月6日付)
日経MJ(2017年12月1日付/同12月27日付)



訪日客にとって夜の観光の乏しさは、観光立国、日本の弱点です。
 

昨年、日本を訪れた外国人観光客の数は約2870万人となり、5年連続で過去最高を更新しました(国交省)。同時に消費額も4兆円の大台を突破して過去最高を更新(観光庁)。ところが、訪日客一人当たりの消費額となると、1.3%減の約15万4000円と伸び悩み、ピーク時(2015年)より2割ほど落ち込んでいます(観光庁)。20年に、一人20万円(トータルで8兆円)を目指す政府目標の達成に黄信号がともっています。訪日客がそこで打開策として浮上したのが、“娯楽”への支出増を促そうという動き。ことに、“夜の娯楽”に特化させた市場活性化策です。そもそも、訪日客が日本で娯楽に使うお金は、消費額全体のわずか1%にとどまっており(観光庁)、欧米では10%を超える国があることを考えると、なんとも物足りない数字といえます。“ナイトタイムエコノミー”を日本経済の新たな起爆剤とすべく、官民、タッグを組んで立ち上がっています。

歌舞伎をアレンジしたショーと殺陣の「歌舞伎ディナーショー」、和太鼓や日本舞踊のステージ、沖縄県では英語と中国語の解説付きの伝統芸能ショー、ロボットやダンサーによる華やかなショーが楽しめる「ロボットレストラン」、新宿のディープな飲み屋横丁「ゴールデン街」探訪、京都では老舗ディスコの「マハラジャ祇園」が復活して訪日客のクラブナイトに一役買います。

また、[JTB西日本]では、大阪のミナミエリアの複数のナイトクラブを3日間自由に入退場できるパス、「OSAKA NIGHTCLUB PASS」を発売。

残念なことに、外国人観光客の間では「日本では夜に遊べる場所が少ない」というのが定説で、夕食後は時間をもてあまし気味。結局、24時間営業の量販店に訪日客があふれる、という事態に。

ナイトレジャー市場の潜在ニーズは大きく、夜にお金を落とすことをいとわない訪日客の“機会ロス”を、みすみす指をくわえて見過ごしている手はないはずです。自民党は昨春、「ナイトタイムエコノミー推進議員連盟」を発足。また、五輪開催を控えた東京都も、この観点からニーズや課題を探ろうと今年度に初の調査を行います(予算5000万円)。観光庁も今年度に夜間観光に関する調査を検討。関連予算として1億2000万円を盛り込みました。

訪日客はいまや、個人リピーター客の“コト消費”へとシフトしています。2020年に4000万人の訪日客を目標に掲げる政府にとって、ナイトエコノミーの創出こそが喫緊の課題。夜のコト消費先の受け皿づくりの充実を図って、眠っていた夜を新たなゴールデンタイムにしたいもの。いずれにせよ、訪日客を夜、ホテルに引き込もらせてはもったいない、ということです。


※参考:
国土交通省         https://www.mlit.go.jp/
観光庁           https://www.mlit.go.jp/kankocho/
JTB西日本          https://www.jtbwest.jp/
日本経済新聞(2017年8月23日付/同9月25日付/同11月29日付)
朝日新聞(2017年9月5日付)
毎日新聞(2018年1月13日付/同1月17日付/同1月25日付)


 
 
 
 
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