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2016.11.01更新
 

“木”の良さもMade in JAPAN。広がる、「国産木材」の活用。
 

日本は、国土の3分の2近くを森が占める、世界でも有数の森林国です(林野庁)。

1960〜70年代にかけて植えられた人工林(スギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹)の多くが順調に生育し、近年ようやく木材として利用できる状態になりました。

にもかかわらず、林業全体の採算性悪化による資金不足、人手不足から手入れが行き届かずに放置され、荒廃する森林が多く見られるようになりました。その影響で“間伐(かんばつ)”が不十分となり、適切な伐採が行われないため樹木の質の低下を招き、加えて増加する外国産木材との価格競争もあって、ますます採算性が厳しい状況に置かれるという負のスパイラルに陥りました。

この悪循環を断ち切るために、国も国産材の需要促進へ向けて動きます。

2000年、木造耐火建築物の許可を皮切りに、2010年の「公共建築物等木材利用促進法」、さらに2014年の「建築基準法」改正による防耐火規制の緩和によって、3階建ての学校などが木造で建てやすくなるなど、木造の可能性を大幅に広げ、木材利用の流れが大きく変わりました。

近年、輸送コストの低減などで国産材が値下がり傾向を見せている一方で、外国産材は、主要産地であるマレーシアやインドネシアの違法伐採規制強化の影響で輸入量が減少、かつ値上がり傾向が続いています。

2015年の国産丸太の需要量(製材用+合板用)は、2010年比で16%増加したのに対し、輸入丸太は同28%の減少。特に、合板市場での国産材の利用は活発で、2015年の需要量は10年前の約4倍に膨らんでいます。

全国の市町村の約9割の自治体が、公共建築物に国産材を積極的に使用する方針を示しています。

また、環境意識の高い民間企業の間でも木造の機運が高まり、国産材の活用が進んでいます。

[ミニストップ]では、CSR活動の一環として「森林管理協議会(FSC)」が認定した間伐材を使った木造店舗の導入を推し進めています。

従来の鉄骨造りより、コスト、工期、人件費の面で削減でき、経営上のメリットも多大。

2015年には「ウッドデザイン賞」を受賞するなど、すでに全国で166店舗が導入され、今年度は約30店増やす計画です。

[スターバックス]も、岐阜、東京、鳥取、奈良、福岡などの一部店舗で、地元材を取り入れたユニークな木造店舗を展開しています。

2014年には、木材自給率が30%を上回りました。これは、林業界にとって26年ぶりの朗報でした。林野庁は、2025年までに50%程度まで高めたい意気込みで、さらなる国産木材の利用拡大に拍車がかかります。


※参考:

林野庁             http://www.rinya.maff.go.jp/
農林水産省           http://www.maff.go.jp/
環境省             https://www.env.go.jp/
森林管理協議会         https://jp.fsc.org/
ミニストップ          http://www.ministop.co.jp/
スターバックスコーヒージャパン http://www.starbucks.co.jp/

日経産業新聞(2016年5月26日付/同8月2日付)


階段の上がり下り解消。木造2階建て住宅にも「エレベーター」。
 

一般的に、3、4階建て高級住宅の豪華設備といったイメージが根強かった「ホームエレベーター」(以下、HE)ですが、最近、2階建て用のコンパクトなHE(2〜3人乗り)が登場。

急速に普及しつつあり、“高嶺の花”から、ぐっと身近な存在になってきました。

国内HE市場で圧倒的トップの[パナソニック]は、昨年、リフォーム対応の2階建て専用2人乗りHE「1608ジョイモダンS200V」(油圧式)を発売しました。

エレベーターのルーム内寸法は、幅115×奥行60×高さ200cmと横長の省スペース設計で、わずか1畳分(182×91cm)の空間があれば設置できるというのが売り。押入れや不用になった収納スペースなどを有効活用できます。

従来、HEを設置する際には、最下階床下寸法(ピット寸法)として約55cmが必要ですが、一般的家屋は45cm程度しかなく、床下の基礎部分をさらに掘り下げる地盤改修工事が必須となります。

この点が、HE設置を希望する多くの人を躊躇させる要因ともなっていました。そこで「ジョイモダン」は、油圧ユニットを小型化し、さらに横面配置(従来は底面)できるように改良することでピット寸法を業界最小クラスの20cmにまで低減。

その結果、工期を約3日短縮でき、これに伴う基礎工事費も約25%カットすることを可能にしました。

本体価格は、鉄骨・コンクリート住宅で285万円(税別/工事費込み)、木造住宅で295万円(同)。使用電気代は、一日20回の使用で月額440円。定期点検等のメンテナンス契約は、月3500円〜(税別)。

パナソニックとシェアを分け合っているのが[三菱日立ホームエレベーター]です。個人住宅用に2〜3人乗り・2〜4階建て用の「スイ〜とホーム」シリーズを展開。最近は、2階建て用の需要が急伸しています。

扉が開くだけで別のフロアになる----タテの動線が平屋感覚で移行できるという、バリアフリーならぬ“フロアフリー”を実現してくれるHE。お年寄りにありがちな自宅での階段事故の心配もなく、60代以上を中心に、ここ5年ほどで需要は明らかに高まっています。

500万円以上だった価格も、高齢化社会の進展と3、4階建て住宅の増加などを背景にダウン傾向に。毎日使うものなので決して高い買い物ではない、と消費者側の意識も変化。“贅沢品”扱いからの脱却こそが、この市場の押し上げにつながります。


※参考:

パナソニックホームエレベーター http://sumai.panasonic.jp/elevator/
三菱日立ホームエレベーター   http://www.mh-he.co.jp/

日経МJ(2016年7月15日付)



服が売れない! 岐路に立つ、「アパレル」再生のシナリオ。
 

低価格路線の常態化、経費削減、オーバーストア(店舗過剰)、在庫過多、大規模リストラ-----アパレル業界はいま、かつてない激動期を迎え、大苦戦を強いられています。

1990年に約15兆円だった国内の衣料品市場は、2014年には約8兆6000億円にまで縮小(経産省)。直近の2年間では、大手4社だけで1600店舗以上が閉鎖に追い込まれました。

[オンワード]は、不採算ブランドの廃止を決めるとともに今年度は約110店を閉じる計画。

[ワールド]は昨年、全社員の4分の1に当たる500人の早期希望退職を募り、今春には約480店(全体の17%)を閉鎖。さらに10〜15ブランドを廃止する方針。

[TSI](旧東京スタイル+サンエイ)も昨年、約500店舗(全体の28%)を閉店。

[三陽商会]は、2017年2月までに140店を閉じる計画で、延べ閉店数は220を数えます。

これらの各社に共通しているのは、長年の“百貨店頼み”の体質。かつて百貨店をメーンステージに高額なブランド志向に浸かっていた消費者は、バブル崩壊を経て、低価格でもそこそこオシャレにファッションを楽しめればいいという傾向に変わってきました。
百貨店への出店を増やし続けたアパレル各社は、そういった消費者の“価格”と“価値”の関係が変化していることへの気づきに遅れをとり、読み切れていなかったといえます。事実、高級品が目玉の百貨店の客離れは著しく、特に主流だった衣料品の売上高はここ5年で2000億円近くも減少しています。

そこに追い打ちをかけるように襲ってきたのが、ファストファッション(FF)の波です。最先端の流行をいち早く取り入れ、短いサイクルで大量生産・大量販売するのが魅力のFF。

[ユニクロ]、[しまむら]、[ZARA](スペイン)、[H&M](スウェーデン)、[GAP](アメリカ)といったFFの特徴は、“SPA”といわれる、自社ブランドの企画・製造から販売までを一貫して行う流通方式を採っていること。卸を通さないローコストが商品価格に反映され、アパレルの世界に価格破壊を起こしました。

そんな実店舗での苦戦を尻目に、ネットでの衣料品販売は絶好調。いまや家電や食品を抑えて、最大の市場規模に成長中で、人気の通販サイトなどは年率2ケタ成長を続けるほどの勢い。

売り方も買い方もめまぐるしく変わり、これまでの常識が通用しない時代。アパレル業界は、ブランドや企業の再編、あるいはセレクトショップの道に活路を見いだすのか-----いずれにせよ、もはや“服が売れない”と嘆いている時ではない。売れる店では確実に売れているのだから-----。


※参考:

オンワードホールディングス http://www.onward-hd.co.jp/
ワールド          http://corp.world.co.jp/
TSIホールディングス     http://www.tsi-holdings.com/
三陽商会          http://www.sanyo-shokai.co.jp/
経済産業省         http://www.meti.go.jp/

(「アパレル・サプライチェーン研究会 報告書」)
日経МJ(2016年8月8日付/同8月10日付/同8月12日付/同8月15日付)


 
 
 
 
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