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2015.07.02更新
 

スポーツ用品メーカー、久々に訪れたテニスブームを、しっかりレシーブ。
 

近年、消費者ニーズの多様化、新スポーツの台頭、若年層のスポーツ離れといった要素が重なり、テニス人口は10年間で50万人近くも減少(2013年「日本テニス協会」調べ)。コート数も大幅に減り、名門テニス施設の閉鎖や用品市場の縮小など、テニス業界は冷え込む一方でした。しかし、そんな低迷する市場を鼓舞するかのように再び熱い風を吹き込んだのが、2014年からの“ニシコリ(錦織)フィーバー”でした。

現在テニスをやっている人たちを刺激するのはもちろん、過去にテニスをやっていた“休眠プレーヤー”や未来の錦織を夢見るジュニアへの刺激付けとなり、プレー人口やプレー機会の増加、ひいてはテニス用品需要の拡大につながっています。

テニスの試合を独占中継する「WOWOW」には契約の問い合わせが殺到。また、いつの間にか消えていった街のテニスショップも復活しています。

イタリア生まれのスポーツブランド「エレッセ」([ゴールドウイン])と老舗テニス専門店「ウインザー」([ウインザー商事])がコラボした「エレッセテニスクラブ ウィズ ウインザーラケットショップ」が、この4月、東京世田谷のショッピングセンター内にオープンしました。「エレッセ」の店舗出店は6年ぶり、「ウインザー」の新店は15年ぶりとなります。

[ダンロップスポーツ]は、耐久性を高めた硬式練習用ボールを20年ぶりに発売。また、グリップ部分にセンサーを内蔵して、ストローク、サーブ、スマッシュといったプレー内容を端末に数値やグラフで可視化できる、世界初の通信機能搭載テニスラケット「アエロプロドライブプレイ」を発売。スペインのナダル選手が今年から使用しています。

[デサント]の「ルコックスポルティフ」ブランドは今年からテニスウエアの販売を再開。2000年代前半に一旦休止していたもので、今回、約100店舗での展開をスタートさせます。

[ブリヂストンスポーツ]では、女性向けテニスウエアブランド「パラディーゾ」シリーズや競技者向けラケットの新商品を投入。

一方で、昨今のテニス熱は錦織ブームであってテニスブームとは言えない、との声も。しかしいま、彼の痛快な活躍ぶりと人気が追い風となって、テニス関連ビジネスが活況を呈していることはまぎれもない事実です。今後の、テニスブームの“経済的実力”に注目することにしましょう。

※参考:
日本テニス協会    http://www.jta-tennis.or.jp/
ゴールドウイン     http://www.goldwin.co.jp/
ウインザー商事    http://www.windsorracket.co.jp/
ダンロップスポーツ  http://www.dunlopsports.co.jp/
デサント         https://www.descente.co.jp/
ブリヂストンスポーツ http://www.bs-sports.co.jp/
日経МJ(2015年4月17日付)


人の声がしない空間こそが、最高のおもてなし。今どき貴重な「無言カフェ」。
 

さまざまな業態に浸透している“おひとり様”文化。最近、そのコンセプトを究極に特化させたカフェが注目を集め、口コミなどで話題となっています。

おしゃべり厳禁の「無言カフェ」です。

東京・高円寺にある「アール座読書館」。入口には『お願い 店内は読書室となっております。大変恐縮ですが、お話目的の方はご遠慮ください』の看板が出迎えます。客同士の会話は終日禁じられていて、連れと話す時のための“筆談帳”が用意されています。扉を開けると、そこはジブリ映画の中に入り込んだかのような空間が広がります。たくさんの生い茂った木々、趣向を凝らした家具や小物。テーブルも椅子もアンティークな感じで、聞こえてくるのは水槽のチョロチョロという水の音と静かに流れるピアノのBGM。照明も二つとして同じものはありません。席は独立していて客同士が顔を合わせないレイアウトで、席によって趣きが異なります。目の前に大きな水槽のあるソファ席、SLのような仕切られたボックス席、小学校の教室のような学習机の席など。空いていれば、途中で席の移動もできます。書棚には約1,000冊の本が並び、自由に読むことができます。こんな希少な時間と空間を提供してくれるので、さぞ強気な価格設定かと思いきや、これが650円(コーヒー・紅茶)という良心プライス。

金曜と土曜の午後6時半〜10時の時間帯だけ、おしゃべり禁止の“静(しず)カフェ”に変身するのが、神戸・三宮の「カフェケシパール」。店内に聞こえるのは、かすかに流れる音楽、コーヒー豆を挽く音、時を刻む時計の音……9割がひとり客で、7割近くが20〜30代の女性。1時間半〜2時間が平均滞在時間とか。

東京・千駄木の「結構人ミルクホール」は、おしゃべり禁止に加え、2人以上での来店や強い香水をつけた人もお断りという徹底ぶり。古民家風の造りの店内には、『他のおひとり様が少しでも不快に思われる行為は全て禁止です』と店主からの“ルール”が掲げられています。コーヒー1杯800円が、2杯目からは“おかわり価格”で200円に。ちなみに店名の「結構人」とは、好人物、つまりお人好しといった意味の古い言葉だそうです。

幅広い世代の“ひとりになりたい”人たちを引きつける「無言カフェ」の魅力。各店に共通しているのは、都会にありながら図書館より静かで、おしゃべり厳禁とはいえ、かしこまったり威圧感などとは無縁の、実に和める居心地の良い空間であるという点です。静かを楽しむ-----それが「無言カフェ」の正しい過ごし方のようです。

※参考:
アール座読書館        http://r-books.jugem.jp/
カフェケシパール        http://www.cafe-keshipearl.com/
結構人ミルクホール      http://kekkojin.heya.jp/
日経МJ(2015年4月20日付)


未知との遭遇! エンタメ市場の最強兵器、「体験型劇場システム」上陸。
 

苦戦が続く映画業界。大画面テレビやスマホ、タブレットなどの普及によって、場所も時間も選ばずに映画を楽しめる時代となったいま、わざわざ映画館に足を運んでもらうには家庭や端末レベルで体験できない新たな価値の提供が求められています。そこに登場したのが、「4D」による次世代の体験型劇場システム。3Dのように映像が飛び出てくるだけでなく、スクリーンの中の世界を共に体感できるというものです。

[TOHOシネマズ]が今春、「ららぽーと富士見」(埼玉)に導入したのは、2013年に米国[メディアメーション社]で開発された「MX4D」システム。シーンに連動して座席が上下・左右・前後に揺れて動くほか、下から突き上げるような衝撃や地響きの動き。風も、そよ風や向かい風、突風と多彩。天井から雨が降ったり、水しぶきが飛び散って嵐の渦中に。強力なストロボ効果で雷鳴や爆発シーン。劇場内に人工の雪を降らせたり、霧や煙も演出。シーンに合わせて香りも漂います。さらに、足元や首筋に何かが触れたような感覚とか、背中をつつかれるような感覚など、ホラー映画の恐怖感を増長させる効果も。

作品ごと、シーンごとに専門のプログラマーが1カ月かけて特殊効果を作り込んでいきます。この仕掛けが技術者のウデの見せどころで、もう一つの“作品”ともいえます。料金は、通常料金1,800円にプラス1,000円で2,800円。体験するには数々の注意事項が設けられています。身長100cm未満の子供、高齢者や妊娠中の人、車椅子の人、怪我をしていたり、心臓・背中・腰・首などに障害のある人、乗り物酔いしやすい人、泥酔している人、小児を膝に乗せての鑑賞は不可。水に濡れることもあるので服装には要注意。上映中にトイレに立つのは難しいのでトイレは上映前に、など。同社は今年度中に、新宿と六本木の映画館への導入が決定しています。

“観る”から“体感する”へ。五感を刺激し、映画というよりテーマパークのアトラクションのノリに近く、映画館でしか体験できない“映像+ライブエンタテインメント”な上映システム。この先端技術による特殊演出効果が、映画館への集客にどれほどの効き目を発揮するか------映画業界ではいま、大きな期待が寄せられています。

※参考:
TOHOシネマズ     https://www.tohotheater.jp/
日経産業新聞(2015年4月15日付)


 
 
 
 
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