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2015.03.02更新
 

異業種の農業参入。企業に根付くか、「機能性野菜」栽培。
 

本来は全く含まれていない栄養成分を新たに加えたり、もともとごく僅かしか含まない栄養成分の含有量を高めたりした野菜が、“天然のサプリメント”と言われ、いま話題の「機能性野菜」です。リーフレタスやホウレンソウ、ハーブ類などの葉菜類やトマト、パプリカ、イチゴといった果菜類などが中心で、それらは「植物工場」と呼ばれる専用の屋内施設で栽培されます。最近は、光(照明)、水分、温度、湿度、CO2濃度、養分などを人工的に制御し、太陽光を一切用いずに蛍光灯やLEDで栽培する“完全人工光型”が主流です。

「機能性野菜」は特に外食産業には大歓迎。色や重量、形にバラつきが少なく、農薬を使わないため洗浄不要でコスト削減。店舗近くの工場で生産できれば輸送コストも大幅に圧縮できます。

この魅力に、農業とは無縁の異業種企業が触手をのばし始め、遊休地や設備を活用した植物工場ビジネスへの参入が加速しています。

[富士通(会津富士加工)]は、半導体工場内の空いていたクリーンルームをレタス工場に生まれ変わらせ、腎臓を患う方でも生で食べられる“低カリウムレタス”(通常の約80%低下)を昨年5月から生産・出荷しています。

[東芝]は昨年、横須賀の元フロッピーディスク工場を植物工場に改装。[シャープ]は2013年、UAEのドバイに植物工場をつくり、イチゴの栽培に着手。[JR東日本]は昨年、「JRとまとランドいわきファーム」を設立して植物工場ビジネスに参入。居酒屋チェーンを展開する[コロワイド]は、3年前から植物工場を稼働しています。

また、直接の工場運営という形以外に、植物工場ユニットを販売している[大和ハウス工業]や、[日立]の“植物工場生産支援クラウドサービス”の提供といったIT技術面での参画も見られます。

国内の植物工場の数は、2014年3月時点で383カ所。10年後には、すべての植物工場合わせて1,500億円市場に成長すると予測されています。一方で、生産可能な品種も今のところ限られており、さらに生産コストは露地物より割高で、自ずと小売単価も高くなる(約3倍)という現状にも直面。光熱費と人件費の負担増も今後の課題の一つです。どうやら、植物工場には、一次産業(農業)としてのノウハウより、二次産業(製造業)としての手腕が求められるようです。

※参考:
富士通      http://www.fujitsu.com/jp/
東芝        http://www.toshiba.co.jp/
シャープ      http://www.sharp.co.jp/
JR東日本     http://www.jreast.co.jp/
コロワイド     http://www.colowide.co.jp/
大和ハウス工業 http://www.daiwahouse.co.jp/
日立製作所    http://www.hitachi.co.jp/
農林水産省    http://www.maff.go.jp/
経済産業省    http://www.meti.go.jp/
日経産業新聞(2014年12月4日付)


コンセプト勝負です。まるごと生活提案型の「ライフスタイルショップ」。
 
洋服、家具、雑貨、書籍、ヘルスケア、アクセサリーなどというように、衣食住の生活全般にまつわる様々な商品を同一空間の中で展開する「ライフスタイルショップ」が注目を集め、広がりを見せています。なかにはカフェやギャラリー、エステサロンなどを併設している店舗もあり、顧客の生活スタイルをまるごとイメージできる提案色の濃いショップ形態です。

「ライフスタイルショップ」には2つの大きな特徴があります。その1つは、全ての商品が、ジャンルによってではなく、ショップ独自の世界観やコンセプトによってセレクトされている点です。大手ファッションブランドのプロデュースから人気モデルやスタイリスト、デザイナーといった“店主”の個性とポリシーがここに遺憾なく発揮されます。オーナーの目利きとしてのセンスが求められる最重要ポイントで、単に商品を寄せ集めたような見た目だけの「ライフスタイルショップ」ではすぐにメッキが剥がれてしまいます。例えば、アメリカの中でも“住んでみたい都市”として人気の高い“ポートランド風”とか、“アメリカ西海岸”“ビーチカルチャー”“エコロジー”といった、テーマ性に貫かれたショップテイストが大切となります。

もう1つの特徴は、店内に陳列された複合的な商品アイテムが、それぞれ主従の関係ではなく等価であるという点です。ここでは、“服”も他の生活雑貨と同等の、日常を構成するパーツという位置付けでしかありません。

様々なアイテムを扱っているため、合わせワザ的に“ついで買い”を誘発しやすいというメリットもあります。また、商品構成の間口が広いため、“人”を選ばないのも「ライフスタイルショップ」ならでは。夫婦、カップル、友達同士、子供連れなど、幅広い客層の来店機会を促進しやすく、各人それぞれがそれなりに退屈せずに楽しめ、自ずと滞在時間も長くなります。

この1〜2年、百貨店やショッピングセンター、複合商業施設内にはライフスタイル提案型の売り場が急増。ブランドのイメージ戦略として、また上顧客の囲い込みといった点からも魅力的な「ライフスタイルショップ」の出店ラッシュは、まだまだ続きそうです。

※参考:
日経МJ(2014年12月12日付)


温故知新のサービス。現代に甦った「置き売り」商法。
 

江戸時代に広がったとされる“富山の薬売り”。行商人が箱に入った薬を無償で顧客の家に預け、年2回程度訪問して利用した分だけの代金を徴収。その際、薬の補充や交換を行うという「置き売り」商法です。そんな“売れた分だけビジネス”が、21世紀のいま、オフィスを舞台に再び脚光を浴びています。

パイオニア的存在が、2002年から本格展開している[江崎グリコ]の「オフィスグリコ」。契約した会社に、専用の“リフレッシュボックス”を設置。中には10種類程度、全部で24個の商品が入っており、全て1個100円。お金は代金箱に入れます。週1回、サービススタッフが訪問して商品の補充、代金回収を行います。導入会社側には一切の費用、負担はかかりません。現在、首都圏、近畿、愛知、福岡の4エリアで、11万6,000カ所に設置され、2013年度の売上高は約45億円に達しました。

[ファミリーマート]の商品を職場で購入できるサービスが「オフィスファミマ」(2013年開始)。お菓子やカップ麺など、約25種類(1個100〜200円台)の商品を常備。

惣菜やご飯、スープといった“食事”を専用の冷蔵庫やボックスに入れた“プチ社食サービス”を始めたのが「オフィスおかん」(2014年開始)。ハンバーグやサバの味噌煮、切り干し大根などが、1個100〜200円。導入した企業規模や従業員数に応じてサービス利用料(月額3万円〜)を徴収するシステムが、販売状況にかかわらず毎月安定した収入が見込めるという点でビジネスモデルとして注目されています。導入する企業にとっては、新たに社員食堂を設けた場合の投資費用を天秤にかけても、圧倒的な低コストで従業員のための福利厚生が実現できるというメリットがあります。

新鮮な産直野菜やフルーツがいつでもオフィスで食べられると好評なのが、[KOMPEITO(コンペイトウ)]というベンチャー企業が手がける「オフィスでヤサイ」(2014年開始)。専用冷蔵庫からハンディサイズのパック野菜を取り出して、100〜300円を料金箱へ。専任スタッフが週2回、商品の補充と代金の回収に訪問。導入コスト、メンテナンスは無料です。

社員を対象とした、いわゆる“B to E”(Business to Employee=従業員向けビジネス)市場の最大の強みは、集客が不要なことです。だまっていても社員という顧客が毎日出社して“来店”してくれ、あとは彼らの要望を見極めて、それを満たす商品やサービスを提供すればビジネスとして成り立ちます。
現代版行商ビジネス------未開拓のマーケットが、日本中のビルの中に眠っています。

※参考:
江崎グリコ     http://www.ezaki-glico.net/
ファミリーマート  http://www.family.co.jp/
オフィスおかん   http://office.okan.jp/
KOMPEITO(オフィスでヤサイ) http://www.officedeyasai.com/
朝日新聞(2014年11月7日付)


 
 
 
 
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