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2014.12.01更新
 

“小ぶり”なところが魅力です。人気加速中の「軽キャンピングカー」。
 

キッチンやトイレ、シャワーまで備えたものになると、輸入車で1,000万円超。国産車でも600〜400万円前後はザラというキャンピングカーですが、最近、“価格が安い”“維持費が安い”“運転しやすい”と三拍子そろった、通称「軽キャンパー」と呼ばれる軽自動車ベースのキャンピングカーが注目され人気になっています。日本の道路事情にフィットした、現実的な価格・サイズのものが新車で200万円前後(車両本体価格+改造費)から手に入れることができます。

例えば[ダイハツ]の軽ワゴン「アトレー」をベースにした軽キャンパー「楽旅(らくたび)」の場合(葵機械工業製作)。長さ185cm、幅105cmの2人用ベッド(下部収納付)、食器棚、全面遮光カーテン、コンセント、防虫ネットなどを装備。[ホンダ]系の「八千代工業」は、ギャレー(キッチン)、カーテンレール&カーテン、フロント収納、スライドテーブルなどを、工具無しで簡単に取り外しできるキットを提案(年内発売予定)。

キャンピングカー購入者の約37%が団塊世代の60歳代。全世代中、トップです。2012年から本格的に始まった団塊世代の大量退職した人たちの、退職金という“臨時収入”の使いみちのトップが“旅行”と“クルマ”。キャンピングカー市場にシニアの参入が顕著になっている背景には、まさに“旅”と“クルマ”への願望、その両方を具現化したキャンピングカーという商品に収斂されているといえます。また、キャンピングカーの購入動機の約60%が、“夫婦2人で旅行するため”というのも注目すべき点です。観光地や高原の美術館、ゴルフ場、温泉めぐり、グルメなオーベルジュなど、夫婦2人、水入らずで気楽なクルマ旅を楽しむのに大型のキャンピングカーである必要はありません。道の狭い温泉街や混雑した観光地でも軽なら気軽。宿泊場所も「道の駅」や高速道路のSAやPAで。必ずしも、トイレやシャワー、キッチン機能が装備されたクルマでなくとも快適なベッド機能があれば十分です。さらにシニアユーザーのキャンピングカー旅行は、ペットの同伴率が高いことも大きな特徴になっています。

2013年、国内製作のキャンピングカー4,416台のうち、770台が「軽キャンパー」でした。その伸びは、前年比84.7%増という好実績を記録。レジャー用途に加え、生活必需品一式を積み込んで災害避難用としての存在価値も発揮する「軽キャンピングカー」。単なる一過性のブームではなく、しっかり市場に定着したといえそうです。

※参考:
一般社団法人「日本RV協会」(『キャンピングカー白書2014』)
http://www.jrva.com/
葵機械工業       http://www.aoimac.co.jp/
八千代工業       http://www.yachiyo-ind.co.jp/
朝日新聞(2014年7月10日付)
日経МJ(2014年9月19日付)


まず“病気”の自覚から。需要広がる「肥満症予防」市場。
 
世界中で「肥満」が増えています。日本でもこの20年間で増え続け、20〜60歳代の男性約30%、女性約20%が「肥満」で、予備軍を含めると2,000万人もの肥満症患者がいるとされています(厚生労働省調べ)。

「肥満」というのは、脂肪組織が過剰に増えた状態のことで、「肥満症」とは、BMI(体格指数)が25以上、かつ治療を要する高血圧や脂質異常などを起こす可能性がある場合を指します。いずれにしてもポイントは“内蔵脂肪の量”にあります。

これまで、単に太っているだけだからと軽視されがちで、“病気”としての認識が希薄だった「肥満」。特に日本人に多いポッコリおなかの“隠れ肥満”(内蔵脂肪型肥満)は様々な合併症を引き起こしやすく、要注意です。高血糖や高血圧、脂質異常は、日本人の死因上位である脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心臓病(心筋梗塞・狭心症)、がんなどとの因果関係も指摘されています。3人に1人が「肥満」とされ社会問題となっている米国では、昨年、医師会が「肥満」を正式に“病気”と認定したのに続き、今年、「米国心臓病学会」も同様の声明を発表しました。

「肥満症」の原因のほとんどは“食生活(食べ過ぎ)”と“運動不足”。そこで日本でも医療機関や企業が、「肥満症」になる前に予防・改善しようと様々な取り組みを始めています。

医療法人が運営する「メディプレックス大宮」(埼玉)は、高脂血症、糖尿病、心臓病などの疾病予防のための運動療法施設です。まず、整形外科医のメディカルチェックを受けた後、目的に合わせて専門スタッフとトレーニングメニューを作成します。コースによっては、月一回、トレーニングの効果を医師が診断してくれます。料金は、メディカルコース月2,000円〜プラチナコース月3万円までの5段階。

フィットネスクラブの[ルネサンス]は、肥満症予防に“プチ断食”を取り入れた「ファスティングダイエット」を展開中。3日間、水と専用ドリンクだけで過ごすことで、内蔵を休め、消化から排出までを円滑にして減量する仕組み。週1回、計4回の講座とテキスト、専用ドリンクのセット料金は27,000円。

[セントラルスポーツ]の「ダイエットプラスワン」は、週2回、4週にわたって食事カウンセリングと運動指導(筋力トレーニングと有酸素運動)を行います。1回60分で、月33,480円。主な目的は「肥満症」の原因である体脂肪の燃焼です。

「肥満」は体の危険信号です。まずは、“肥満は病気”という意識付けが第一歩。食事の改善と適度な運動で生活習慣を見直せば、発症を防ぐことができるのです。そうすること以外に、「肥満症」“予病”の近道はありません。

※参考:
厚生労働省        http://www.mhlw.go.jp/
メディプレックス大宮   http://www.k-osa.com/
ルネサンス         http://www.s-re.jp/
セントラルスポーツ    http://www.central.co.jp/
一般社団法人「日本生活習慣病予防協会」 http://www.seikatsusyukanbyo.com/
日経産業新聞(2014年9月8日付/同9月9日付)


発泡酒よ再び!「プリン体ゼロ」が、ビール市場を救う?
 

“ビール類”と呼ばれる中には、いわゆる“ビール”と“発泡酒”“第3のビール”の3種類が含まれ、それぞれ原材料や製法によって酒税額が異なります。350ml缶の場合、麦芽の割合が3分の2以上の“ビール”が77円、麦芽3分の2以下の“発泡酒”(1994年登場)が47円、そして麦芽を使用しなかったり発泡酒に蒸留酒を加えたりする“第3のビール”(2003年登場)が28円となっています(2014年10月現在)。

2014年1〜9月のビール類出荷数は、2005年以来、10年連続で過去最低を更新しましたが、そんな中、ひとり気をはいたのが“発泡酒”でした。12年ぶりに前年実績を上回ったのです。そこに至るまでの道のりは、意外なきっかけによるものでした。

健康志向の高まりを受け、各社、糖質やプリン体に配慮した“機能系ビール”に注目し、開発に着手していました。そこに登場したのが“世界初のプリン体ゼロ・糖質ゼロ”を謳った[サッポロ]の「極ZERO」でした。“第3のビール”として2013年6月に発売されるや大ヒットに。しかし2014年1月、国税庁から、製法に関して“第3のビール”ではない可能性がある、と思わぬ指摘を受けると、5月には製造を中止してしまいました。そして7月、格闘技の階級をシフトするかのように、今度は“発泡酒”として再発売に踏み切ったのです。商品名はそのままにジャンルを変えるのは前代未聞のことでした。

価格が上がる分(約20円)、売り上げの落ち込みが懸念されましたが、それに反して予想を上回る好調な売れ行きを記録。一連の“騒動”が、かえって“プリン体ゼロ”の知名度を高める結果となったようです。

それはまた他社の商魂を刺激することとなり、9月に、なんと3社同時に、プリン体・糖質、ダブルゼロの“発泡酒”を発売するという異例の事態を招きました。「淡麗プラチナダブル」(キリン)、「スーパーゼロ」(アサヒ)、「おいしいZERO」(サントリー)の新商品たちを迎え撃つ「極ZERO」----“発泡酒戦争”の火ぶたが切られました。

この事態によって息を吹き返したのが、このところ首位を奪われ独り負け状態だった王者[キリン]でした。実は[キリン]は、“発泡酒”市場で「淡麗」ブランドが16年連続で売り上げトップを走り、機能系ビールのパイオニア的存在だったのです。いわば“お家芸”のステージで、競合3社と相まみえる格好になったわけです。

尿酸値が気になる人は“プリン体”を、ダイエット中の人は“糖質”を気にしながら楽しむビール。この“発泡酒ゼロゼロ戦争”の行方はまた、“機能”と“うまさ”の戦いであるともいえます。

※参考:
サッポロビール           http://www.sapporobeer.jp/
キリンビール            http://www.kirin.co.jp/
アサヒビール            http://www.asahibeer.co.jp/
サントリーホールディングス   http://www.suntory.co.jp/
朝日新聞(2014年8月30日付)
日経МJ(2014年9月12日付)


 
 
 
 
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