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2013.12.02更新
 

“ホット炭酸”や“トクホ”など。激しさ増す、「飲料市場」冬の陣。
 

2013年の清涼飲料市場全体を見ると、微増でほぼ横ばい状態。ペットボトル入りホット飲料や缶コーヒーも同様に、ほぼ横ばいです。しかし“停滞気味”とはいえ、市場環境が悪化しているわけではありません。飲料大手各社は、個性的商品を続々と市場に送り出しており、むしろ市場は活発さを増しているといえます。

[ダイドードリンコ]は、20種類の焙煎豆をブレンドし、さらにダブルドリップ製法で深みとコクを引き出した缶コーヒー「ダイドーブレンド 飲みごたえ微糖」を発売。
[サントリー食品インターナショナル]は、コーヒーの実を、シャンパン製造の際に使う酵母で発酵させたコーヒー豆(グランアロマ)を使用した“発酵コーヒー”「ボス グランアロマ―-香るボス―-」を発売。12年がかりで確立したというこの発酵製法により、コーヒー豆本来の香りを際立たせることに成功しました。
[アサヒ飲料]は、主力の「ワンダ」ブランドに、アルギニンなどのエナジー成分を配合した「パワーブレンドコーヒー」をエントリー。また同社では、ロングセラーブランド「三ツ矢サイダー」に、食後の血糖値の上昇を抑える、初のトクホ商品「三ツ矢サイダー プラス」を投入しました。
商品化まで約7年を費やし、トクホで初めて、脂肪の分解というメカニズムに着目して注目されているのは、[サントリー食品インターナショナル]の「伊右衛門 特茶」。

しかしなんといっても、今年の飲料市場の最大の目玉は、“ホット炭酸”の出現です。この、未開の市場へ先陣を切って乗り込んだのは、[日本コカ・コーラ]でした。世界初のホット炭酸飲料「カナダドライホットジンジャーエール」を10月に発売。炭酸ガスの量やフレーバーの配合バランスなど、試行錯誤を繰り返し、約4年がかりで開発された戦略的商品で、コンビニ、量販店、自販機を中心に販売されます。
その発表の2日後、今度は[キリンビバレッジ]から、ホット炭酸「キリンの泡 ホット芳醇アップル&ホップ」を11月に発売するとの発表がありました。こちらは女性にターゲットを絞った商品で、販路はコンビニ限定。シャンパンのような優しい泡の炭酸感を持続させる技術や独自の“なめらか泡製法”を開発して、ホットでもキメ細やかでなめらかな泡を実現するまで、3年を費やしました。

冬場、極端に落ち込む炭酸飲料市場。これまでにないジャンルの“ホット炭酸”が、新たな顧客をつかみ、需要拡大につながる起爆剤となるのか、それとも単なる物珍しさだけの“一発屋”で終わってしまうのか---2商品の出揃う、11月以降の動向が注目されます。

※参考:
ダイドードリンコ             http://www.dydo.co.jp/
サントリー食品インターナショナル  http://www.suntory.co.jp/
アサヒ飲料               http://www.asahiinryo.co.jp/
日本コカ・コーラ            http://www.cocacola.co.jp/
キリンビバレッジ            http://www.beverage.co.jp/
日経MJ(2013年9月23日付)


高齢者にも魅力。裾野広がる、「コードレス家電」。
 
例えば、自宅の机まわり。ウラ側には、卓上ライトやパソコン、プリンター、外付けハードディスクなどのコードが束になってからまっている状態。テレビやオーディオまわりなども然り。掃除がしにくい上に、オモテに出ているとコードに足をひっかけるということにも……。
掃除機や扇風機をはじめ、LEDデスクライト、アイロン、オーディオ機器、テレビ、炊飯器など、コードレス化の波は多様な家電アイテムに及び、いまや電源コードなしで使える機能が“標準装備”されるというのがトレンドとなっています。

「コードレス家電」市場をけん引するのが掃除機で、従来のコード式キャニスタータイプがマイナス成長のなか、伸長著しいのがロボットタイプやハンディタイプといった「コードレス掃除機(充電式クリーナー)」の商品群。人気は、英[ダイソン]やスウェーデンの[エレクトロラックス]といった欧州勢。
これまで「コードレス掃除機」といえば、メイン掃除機のサブ的な使い方が主流でした。電池の関係で可動時間が短く、吸引力も弱いといったイメージが強く、“セカンド需要”が主でした。しかし、内蔵するバッテリー(リチウムイオン電池)の改良で性能が向上。例えば、吸引力をコード式タイプ以上に高めたという[ダイソン]の「デジタルスリムDC62」の場合、充電時間が従来の約5時間半から約3時間半に短縮され、可動時間は通常モードで約20分。[シャープ]の「EC-DX100」は、約4時間の充電で、自動エコモードなら最長約46分の可動時間を実現しています。

家電の中でも、コードレス化に向き不向きがあります。基本的に、場所を移動する必要のない家電、例えば洗濯機や冷蔵庫などは、自ずとコードレスの必要性が限られてきます。また、電子レンジやドライヤーといった高熱で使用するものは、発熱に大量のバッテリーを要するため、商品重量の点でコードレス化が難しいとされています。
また、コードレス家電の普及は、単に使い勝手が向上し、コードがなくてスッキリ、というだけのメリットにとどまらず、思わぬところで効果を発揮しています。それは“高齢化世代のニーズ”です。つまり、使用する場所を移動するたびに電源を抜き差しする手間が要らず、いちいち腰を曲げるという負担から解消される点がシニア層にアピール。実際、その世代には、コード式タイプより売れ行きがいいということです。

※参考:
ダイソン       http://www.dyson.co.jp/
エレクトロラックス http://www.electrolux.co.jp/
シャープ       http://www.sharp.co.jp/
日経産業新聞(2013年9月2日付/同10月24日付)


重い荷物からお弁当1個まで。動き始めています、百貨店の「食品配達サービス」。
 

急成長している「食品配達サービス」ですが、これまでは大手スーパーが手がけるネットスーパーや、生協などの生鮮宅配サービスが中心でした。しかし最近では、百貨店も相次いでこのステージに参入。その背景には、65歳以上の人口が3,000万人を超え、総人口の25%、つまり4人に1人が高齢者となったという現実があります。百貨店各社は、この巨大マーケットの需要を取り込もうと、シニア層に特化した「食品配達サービス」に本腰を入れて取り組み始めました。

客層の6割近くが55歳以上という[松坂屋上野店]では、2013年10月から、14時までに購入商品の配達を頼むと、その日の16時〜18時の間に自宅に届けてくれるサービスを開始。届け先が半径2km以内で(2017年までに拡大予定)、購入額が3,000円以上、購入商品の3辺合計が150cm以内であることが条件です。配達料は、ポイントカードなどの利用者は315円、その他は420円。
[東急百貨店本店](渋谷)では、食品売場での購入商品を、当日、自宅まで届けてくれるサービス、「即配くん」を実施しています。配達エリアは、渋谷・目黒・世田谷・港の4区。料金は、3個まで525円。
[日本橋タカシマヤ]でも、食品フロアで13時までに購入した品物を、その日の18時までに配達してくれる「食料品ご自宅お届け夕方宅配便」を実施。配達料は、通常630円、クール品683円。
[西武渋谷店]の「本日お届けサービス」は、通常配達料3個まで525円。正午までに頼むと16時までに配達され、14時までに頼むと18時までに、16時までなら20時までと、一日3便のうれしいサービス。さらに9月からは、「おべんとう宅配サービス」の配達終了時刻を14時から19時半に大幅延長。1,050円以上のお弁当を、1個からでも無料で届けてくれます。徒歩15分圏内が対象エリアで、近隣に住む高齢者の夕食需要に対応すべく実現しました。
3タイプの配達便を設けているのが[ダイシン百貨店](東京)。3,000円以上お買い上げ客には「通常配達便」、2,000円以上なら「即日配達便」。さらに、購入額にかかわらず、“70歳以上・妊娠中・身体の不自由な方”を対象に、ペットボトル1本から自宅まで届けてくれる、「しあわせ配達便」を実施。3タイプとも無料で、当日中に配達されます。さらに、65歳以上の在宅高齢者を対象に、500円で日替り弁当を届けてくれる「ダイシン出前弁当」も実施。夕方に、安否確認も兼ねて配達されます。

他にも、名称は様々ですが、ほとんどの百貨店が“当日お届け便”的な配達サービスを展開しています。高級感、品質の良さ、信用、そして品揃えの豊富さ---ネットスーパーや既存の生鮮宅配とは一線を画す、百貨店ならではの「食品配達サービス」。便利さはもとより、少々高くても確かな品質が、舌の肥えたシニア層には大きな魅力となっているようです。

※参考:
松坂屋上野店   http://www.matsuzakaya.co.jp/
東急百貨店本店 http://www.tokyu-dept.co.jp/
日本橋タカシマヤ http://www.takashimaya.co.jp/
西武渋谷店     https://www2.seibu.jp/
ダイシン百貨店   http://www.daishin-jp.com/
日経MJ(2013年9月6日付)


 
 
 
 
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