子供たちの周辺にもIТ化の波は押し寄せています。
その一つが「キッズタブレット」。幼稚園児〜小学生ぐらいを対象としたタブレットで、いわゆるオトナの真似をした“オモチャ”ではなく、一般の汎用タブレットとなんら遜色のないスペックを備え、年齢層に合わせた学習系や知育系アプリなどが楽しめるようになっています。海外では、昨年9月に米国で発売されたキッズタブレット「MEEP!」が、発売2〜3ヶ月で25万台以上の爆発的な販売数を記録しています(日本では今年4月、[日本トイザらス]から発売)。
「キッズタブレット」には、各機種に共通の“ならでは機能”が搭載されています。まず、衝撃吸収を目的としたカバーケースが採用されている点。本体の縁取りをシリコンでカバーすることで、少々乱暴に扱っても壊れないような工夫が施されています。加えて、保護者のための“ペアレンツ管理機能”が備わっている点。閲覧制限ができるフィルタリング機能が搭載され、タブレットを利用できる曜日や時間などの設定も可能です。
今年7月には、国産初の子供専用タブレット「タップミー」が、バンダイナムコグループの[メガハウス]から発売されました(2万790円)。ペアレンツ管理機能の“パパママモード”を搭載。利用時間の上限設定をはじめ、Webアクセスやメールの使用管理、使わせたくないアプリの指定などが可能です。数や文字、英語などを学べる知育系、図鑑や絵本、ゲームなど、30種以上のアプリを内蔵。対象年齢は、4〜8歳。
昨年12月、小学生を対象に、学習のすべてを専用タブレットで完結するという、クラウド型の通信教育「スマイルゼミ」を開講したのは[ジャストシステム]。紙の教材を使わない通信教育は業界初です。講座はクラウドで提供され、問題を解くとすぐに自動採点。間違えた箇所にはその場で解説が表示されます。さらに、学習状況などの情報は保護者に通知される仕組み。小学一年生の場合、月額3,580円。専用タブレットは2万8,350円ですが、6ヶ月間受講すると無料に。
他に、[ロイロ]が今年7月に発売したのは、iPad向け教科学習アプリ「ロイロノート」。写真や動画、手書きの文字など、子供が画用紙に書き散らすような感覚で表現したものをつなげて、一つの発表資料のように組み立てることができる教育向けアプリです。
タブレットをはじめとした“キッズIТ”は、海外ではすでに大きな潮流となっています。日本では動き始めたばかりですが、今後、特に教育の現場での“デジタル教材”市場のさらなる拡大が見込まれます。
※参考:
メガハウス http://www.megahouse.co.jp/
ジャストシステム http://www.justsystems.com./jp/
ロイロ http://loilo.tv/jp/
日経産業新聞(2013年8月6日付)
音楽配信サービスの[USEN]が行った調査によると、53%もの人が“静かすぎる職場は居心地が悪いと感じることがある”と答えています。しかし、だからといって、静寂をカバーするためならどんな音でも流しておけばいい、いうものではありません。
最近、オフィスや商業施設で、私たちが何気なく耳にする「BGM」の見直しが行われています。
[ビクターエンタテインメント]が昨年末に始めた空間音響デザインサービス、「KooNe(クーネ)」が注目されています。CDの約3倍の情報量を持ち、高音質・広帯域の“ハイレゾリューション音源”によるネイチャーサウンド(川、海、森などの自然音)で、空間の聴覚環境を整え、心地よい空間を創り出そうというもの。現在、一般的に聴かれているCDには、人間の可聴帯域の上限である20kHz程度までの音しか収録できません。しかし、そんな、耳に聞き分けられなくても脳には届いていると言われる可聴上限を超える音を再現することで、脳の活性化を促し、リラックス効果を高めようというのが「クーネ」のコンセプトです。
同社では、その“ハイレゾ音源”を再生するため、「クーネ」専用のシステム機器を開発。例えば、床面積10〜30平方メートル程度の部屋の場合、4chアンプ+スピーカー8台(上方に4台、下方に4台)+サブウーハー1台+ネットワーク対応オーディオプレーヤーを設置。DSP(デジタル信号処理回路)機能で、鳥のさえずりは上方から、川のせせらぎは下方からと、自然に忠実に再現されます。さらに、スピーカーからの音を壁や天井にいったん反射させて流すというのも「クーネ」の大きな特徴で、間接照明ならぬ“間接音”は、やわらかく心地良い響きとなって伝わります。導入費用は、専用機器込みで約200万円から。他に、音源使用料が1コンテンツ月額1万8,000円、オーディオプレーヤーのレンタル料月額3,500円。
[USEN]が2月から展開しているのは、“働く人のメンタルバランス・ミュージック”と銘打ったオフィス向けの音楽配信サービス「Sound Design for OFFICE」。精神科医によって監修された音楽をはじめ、イルカやクジラの声、波、小鳥といったネイチャーサウンドをフューチャーしたヒーリングミュージック、USENオリジナルの楽曲まで、職場の状況に応じて音がデザインされます。料金は、加入料3万1,500円、初期プランニング料5万2,500円。月々のサービス利用料は月額9,800円です。
オフィスの空気を和らげ、コミュニケーションを取りやすい雰囲気をつくる。ストレスを緩和する。集中力を高め持続することで生産性を向上させる。商業施設では、居心地の良さとリピート率のアップに貢献する……いま、様々な現場で、それぞれの目的実現のために、“耳からのサプリメント”として進化した「BGM」の需要が高まっています。
※参考:
USEN http://sound-design.usen.com/
ビクターエンタテインメント http://www.jvcmusic.co.jp/
日経産業新聞(2013年8月2日付)