昔から、代謝を促し、カラダの内側から温めてくれる生薬の一つとして知られる「しょうが」。最近では、健康食材としての人気が上昇し、冷え症に悩む女性を中心に“しょうがブーム”と言えるほどの注目を集めています。節電による寒さ対策への関心の高まりも需要に拍車をかけ、食品メーカー各社はこぞって「しょうが」を使った商品の開発に積極的です。
「しょうが」ブームの火付け役となったのは、2007年、永谷園から発売された「『冷え知らず』さんの生姜シリーズ」でした。カップスープやホット飲料を中心に展開中ですが、このヒット商品とコラボして、昨年11月、3社から新商品が相次いで発売されるという珍しい現象が起きました。エースコックから「『冷え知らず』さんの生姜あんかけそば」、サントリーから「『冷え知らず』さんの生姜ゆず酒」、そしてしょうが漬け売上げトップの岩下食品からは「『冷え知らず』さんの生姜入りキムチ」といった具合いです。
「しょうが」入りのお酒としては、合同酒精から「ラ・ジンジャー」というリキュールが発売されています。
また、「しょうが」入り飲料では、キリンビバレッジが焙煎大麦とハト麦、とうもろこしなどにしょうがを加えたブレンド茶「ぽっぽ茶」を、健康茶の新ブランド「からだ想い茶」シリーズの第一弾として昨年11月に発売。
花王は、看板である機能性飲料「ヘルシアウォーター」シリーズに、「ゆず&ジンジャー」が加わりました。
アサヒ飲料からは、シャンソン化粧品と共同で開発した「ダイエットブレンド十六茶」を発売。しょうがなど、和漢16素材を配合した女性のカラダにうれしい茶飲料です。
ちょっと意外なところでは、カルピスが、しょうが汁にはちみつを加えた希釈タイプの「しょうが湯 はちみつ仕立て」で、「しょうが飲料」市場に参入しました。
その他、日清オイリオグループが、発芽玄米飲料「米姫(まいひめ)しょうが入り」を通販限定での販売を始めたり、タカナシ乳業が、はちみつとしょうがエキスを加えた「LGGはちみつ生姜ヨーグルト」を投入するなど、食品メーカーにとって、いまや「しょうが」は引っ張りだこの人気食材となっています。現代人のためによみがえった、古くて新しい「しょうが」の魅力、再発見といったところでしょうか。節電の冬に、思わぬ“ぬくもり市場”が広がっていたようです。
※参考:
エースコック http://www.acecook.co.jp/
サントリー酒類 http://www.suntory.co.jp/
岩下食品 http://www.iwashita.co.jp/
オエノングループ(合同酒精) http://www.oenon.jp/
キリンビバレッジ http://www.beverage.co.jp/
花王 http://www.kao.com/jp/
アサヒ飲料 http://www.asahiinryo.co.jp/
カルピス http://www.calpis.co.jp/
日清オイリオグループ http://www.nisshin-oillio.com/
タカナシ乳業 http://www.takanashi-milk.co.jp/
朝日新聞(2011年11月8日付)
日経産業新聞(2011年11月15日付)
日本にやって来た海外からの旅行者が、まず最初に“感動”するのは、街のいたるところで目にする自動販売機の数と種類だと言います。
飲み物や食べ物はもとより、ネクタイ、生花といった非食品系、そして証明写真やデジタルカメラプリントなどのサービス・情報関連の自販機まで含めると、その台数、種類の多さで、まさに日本は“自販機天国”。
そんな自販機に、“珍種”といっては失礼ですが、意表をつくような自販機が2種類出現して話題を集めています。
その一つはバナナ専用の自販機。日本で初めてです。手がけたのはドールで、1号機は2010年6月、東京・渋谷駅に直結するビルの地下に。2号機は同月、東京・稲城市のスポーツクラブNAS若葉台店に設置されました。
1台の販売機には128本のバナナが収納され、温度はバナナの保管に最適な13℃に設定。週3回、商品を総入れ替えして新鮮さを保ちます。柔らかくデリケートなバナナを傷つけることなく提供するため、庫内でのバナナの移動はベルトコンベアで送り出し、取り出し口にはウレタンやエアーキャップなど4種類の衝撃吸収材を重ねたスポンジを敷いて優しく受け止められるように工夫されています。1本130円、1房390円。自販機のそばには専用のゴミ箱が用意されており、その場で食べたい人にも対応しています。2011年には、初めて地下鉄駅構内にも設置(丸ノ内線東京駅)。現在、東京の大手商社オフィス内、福岡・天神駅など、計5台※が設置されています。
もう一つは、昨年、丸ノ内線霞ヶ関駅構内に登場したカットりんご専用の自販機です。こちらも日本初となります。青森産の小玉りんご約半分が数切れにカットされた状態でパッケージされ、価格は190円。皮つき・皮なしが選べます。手がけたのは、青果物の専門商社「エム・ヴイ・エム商事」。生のりんごを自販機で提供するに当たって最大の難関は、酸化による変色でした。そこで、ビタミンCなどを使用した独自の変色防止技術によってりんごの表面に膜を張り、リンゴポリフェノールの酸化を防いで鮮度と水気の長期間維持を可能にしました。その結果、加工日から11日間という賞味期限を実現しています。現在、札幌の大手スーパー、大阪の近鉄線駅構内など、設置台数は7台※で全国に広がりつつあります。
学校や会社の食堂、病院、ホテル、イベント会場など、“24時間営業”のメリットを活かしてビジネスマンやOLだけでなく、幅広い層にウケそうな「フルーツ自販機」。新たな需要の喚起もさることながら、「ドール」の自販機のように、ブランドの広告・宣伝にも一役かいそうです。 ※設置台数は2011年11月現在のものです。
※参考:
ドール http://www.dole.co.jp/
エム・ヴイ・エム商事 http://www.mvm.co.jp/
日経MJ(2011年11月28日付)
ひとつの鍋を家族みんなが囲んで食べるという、一家団欒の象徴的メニューの鍋料理。用意するのも簡単で安上がり、野菜もたくさん摂ることができてヘルシーと、内食化傾向が進むにつれて食卓に登場する頻度もますます高まります。加えて、大震災の影響で家族の絆の大切さを再認識するといった、メンタルな要因も鍋人気の背景にあるようです。
水炊き、ちゃんこ、もつ、キムチ、カレーといった“定番”の「鍋つゆ」の他に、様々な“変わり鍋”用のスープが登場しています。
カゴメは、「甘熟トマト鍋」と「イタリアントマト鍋」の2種を昨年発売。
エバラ食品工業から同時期に発売されたのは、「ラーメンスープ鍋の素」。とんこつしょうゆ味、みそバター味、ちゃんぽん味の3アイテムで、商品コンセプトは、“山盛り野菜をおいしく食べられる濃厚なスープ”。
女性ユーザーを意識した商品づくりでヘルシー訴求に磨きをかけるのは、キッコーマン。昨夏に発売された「チーズ豆乳鍋スープ」は、2種類のチーズを使ったクリーミーな味わいで、シメにはごはんを入れてチーズリゾットとしても楽しめます。
同様に、白菜、キャベツなど、特定の野菜に焦点を当ててヘルシーをアピールするのは、モランボンの「菜の匠」シリーズ。地鶏と鴨のダシの旨みが際立つ「ねぎ鍋用スープ」と野菜をしゃぶしゃぶしながら食べる新しい洋風鍋「サラダフォンデュ鍋スープ」の2品が加わりました。
韓流グルメの「鍋つゆ」もトレンドです。
最大手のダイショーは、韓国の鍋料理“スンドゥブ・チゲ”が家庭で簡単に作れる「鍋つゆ」を発売。赤唐辛子の入った「赤いスンドゥブ」と唐辛子抜きの鶏ガラスープ「白いスンドゥブ」で、豆腐と卵を加えるだけで韓国風豆腐鍋が味わえます。
2000年以降、右肩上がりの成長をみせ、ここ10年たらずで2倍強にまで拡大した「鍋つゆ市場」。近頃では、寒い季節ばかりか“夏の鍋”の需要も高まり、ますます絶好調。今後はどんな“変わり鍋”のつゆが出現して、私たちを美味しく盛り上げてくれることでしょう。
※参考:
カゴメ http://www.kagome.co.jp/
エバラ食品工業 http://www.ebarafoods.com/
キッコーマン http://www.kikkoman.co.jp/
モランボン http://www.moranbong.co.jp/
ダイショー http://www.daisho.co.jp/
日経産業新聞(2011年11月21日付)
朝日新聞(2011年12月3日付)