ビタミンやミネラルなどを豊富に含む「ハチミツ」は、ここ数年の健康志向の高まりと共に広く浸透し始め、数々のハチミツ入り製品が市場を賑わすようになりました。
キャンディー、プリン、マーガリン(明治乳業「アカシア蜂蜜ソフト」)、黒酢やリンゴ酢、ソフトクリームといった食品の他にも、「メンソレータム リップフォンデュ」(ロート製薬)というリップクリームやスキンケアのための「ハニーラボ」シリーズ(山田養蜂場)のような化粧品にも生ハチミツが配合され、天然のうるおい効果を発揮しています。また、料理の分野でも砂糖の代替品としてハチミツの持つ成分に着眼して、料理研究家のレシピ本などで提案されるなど、多方面からハチミツにスポットが当たっています。
そんな“ハチミツブーム”を象徴するかのようにお目見えした商品を、いくつか紹介しましょう。
チョーヤ梅酒は、1990年の発売以来ロングセラーを誇ってきた「蜂蜜梅酒」の中身とパッケージを一新。2011年秋に、「ローヤルゼリーはちみつ梅酒」としてリニューアルデビューしました。“蜂蜜100%使用 砂糖不使用”とパッケージの表面に堂々と表記。新たにローヤルゼリーをプラスすることでハチミツの健康イメージをより強調するという戦略をとり、さらなる購入層の拡大を目指します。
サントリー食品インターナショナルから登場したのは、懐かしの「はちみつレモン」と「はちみつレモンサイダー」。1986年に発売された「はちみつレモン」、1989年発売の「はちみつレモンサイダー」でしたが、1990年のピーク以降は売上げが激減し、1999年に販売を終了。しかし、“もう一度飲みたい”という多くの声に応えて、2011年10月に復活を果たしました。蜜蜂をフューチャーしたパッケージも当時のまま踏襲され、往年の「はちみつレモン」ファンをくすぐります。
ハチミツの“本家”でもある山田養蜂場は、「はちみつジェラート」のネット販売を2011年7月から開始しています。ルーマニア産の熟成アカシアハチミツと北海道十勝産の生乳を使用し、いちご、抹茶、黒豆など6種セットで2,980円。
また、森永乳業から2011年9月に首都圏限定で発売された「濃密ギリシャヨーグルト PARTHENO(パルテノ)」には、ハチミツ10gが別添えされています。まるでスイーツのよう、と美味しさを引き立てています。
世界のハチミツ生産量は約120万トン。中国、旧ソ連地域(ウクライナ、ベラルーシなど)、米国、アルゼンチンの4エリアで、その半数以上を占めています。日本国内での消費量は年間平均約4万トン。その90パーセント近くが中国からのハチミツです。
参考:
山田養蜂場 http://www.3838.com/
チョーヤ梅酒 http://www.choya.co.jp/
サントリー食品インターナショナル http://www.suntory.co.jp/
森永乳業 http://www.morinagamilk.co.jp/
日経産業新聞(2011年10月6日付)
新聞社から発行されている「子ども向け新聞(以下、「子ども新聞」)」を取り巻く世界が、元気いっぱいです。
本家の一般紙が軒並み部数減の傾向にあるなか、主に小学生とその保護者を対象とした「子ども新聞」の発行部数は、不況どこ吹く風とばかりに堅調な伸びを見せています。それどころか、2011年は創刊ラッシュの年となりました。その背景には、2011年4月から小学校の国語の授業で新聞を教材として活用することが明記された「新学習指導要領」の導入があり、新聞各社ともこれを機に「子ども新聞」に力を入れ始めたというわけです。
現在、全国で約20紙の「子ども新聞」が発行されていますが、そのうち2011年に創刊されたのが11紙(2011年10月現在)。基本的には時事ニュースをわかりやすく説明するページと、英語や科学といった“中学受験対策”用の学習ページとで構成されています。
「子ども新聞」の“老舗”は1936年創刊の『毎日小学生新聞』で、タブロイド版8ページの日刊紙、購読料は月1,430円。発行部数は推定約15万部。
ライバルの『朝日小学生新聞』は1967年創刊で、ブランケット版(タブロイド版の倍)8ページの月刊紙で月1,720円。約11万部強の発行部数。
先行する両雄2紙に闘いを挑んだのが、“朝毎読”残りの1社、読売新聞社でした。2011年3月に創刊された『読売KODOMO新聞』です。タブロイド版16ページで、こちらは週刊、月額500円。“売り”は2つあって、その1つは、子ども向け雑誌作りのプロ、「小学館」に5ページ分の編集を委託した点。もう1つは、東京の大手進学塾の協力を得た学習ページを設けている点です。家庭での学習や授業の教材として活用できる編集内容になっています。
この状況に、「毎日」は、毎日新聞本紙と『毎日小学生新聞』を併せて購読するとお得な“ファミリーセット”を打ち出しました(月額5,355円が4,975円に)。
すると「読売」は次なる一手として、離れて暮らす孫に『読売KODOMO新聞』を宅配できるサービスを2011年夏から開始。もちろん購読料は贈り主である祖父母が負担します。全国に販売網を持つ読売ならではの強みを見せつけます。
“子ども新聞戦争、勃発”と言われる大手3社による闘いの他にも、全国で「子ども新聞」を巡っての動きが活発化しています。例えば、「東奥日報」では土曜日の夕刊を休止し、日曜の朝刊に『Juni Juni』(2011年6月創刊/タブロイド版16ページ/無料)という「子ども新聞」とのセット配送に切り替えました。「静岡新聞」も同様のパターンで、『YOMOっと静岡』(2011年4月創刊/タブロイド版12ページ/無料)という「子ども新聞」との組み合わせ販売を始めています。
いずれにしても昨今の「子ども新聞」市場の活況は、保護者をも巻き込んだ本紙の部数増の拡大と、子どもの頃から新聞を読む習慣を身につけてもらうことで将来の読者を確保したいという新聞社の切なる願いの表れといえそうです。
参考:
朝日小学生新聞 http://www.asagaku.com/
読売KODOMO新聞 http://www.yomiuri.co.jp/
東奥小中学生新聞 http://www.toonippo.co.jp/
J-CASTニュース http://www.j-cast.com/
朝日新聞(2011年10月4日付)
チルド(冷蔵)タイプのピザは、家庭で焼きたてが手軽に味わえる上、宅配ピザより圧倒的に安価であることを武器に、2000年代から3大ハムメーカー(日本ハム/伊藤ハム/丸大食品)を中心に、それまで主流だった冷凍ピザの市場を奪う形で成長してきました。2009年に大きく落ち込んだものの、その後の消費者の節約志向の高まり、さらには東日本大震災後の自粛ムードなどの要因があいまっていっそう内食化が進み、宅配ピザを利用していた人が「チルドピザ」へとシフト。再び「チルドピザ」に拡大基調が訪れました。
一般的に「チルドピザ」を食べるシーンは、昼食や朝食が大半です。“この価格で、そこそこ満足はするが、夕食に食べるには物足りなく、宅配ピザに見劣りする”----そういった声を払拭すべく、各メーカーは、割安感を保ちながらも、いかに具材やボリュームの面で工夫し宅配ピザと勝負できるかに挑みます。“夕食需要へのシフト”を合言葉のように掲げ、新製品競争を繰り広げています。
シェアトップの日本ハムは、「石窯工房」シリーズから夕食需要を意識した新製品「あら挽きソーセージピザ」(430円)を発売。ふっくらボリュームのある生地に、JAS(日本農林規格)特級クラスのオールポーク厚切りあら挽きソーセージ、完熟トマトのミートソースをトッピング。さらに冬場の限定商品として「北海道生クリーム入りグラタンピザ」(430円)も発売。濃厚なグラタンソースとベーコン&コーンを組み合わせた食べごたえのある美味しさです。
伊藤ハムは、「チルドピザ」ブランドの「ラ・ピッツァ」シリーズに、「5種のチーズ」(430円)が加わりました。ナポリ風生地に、ゴーダ、モッツァレラ、レッドチェダーなどコクや香りが特徴の5種類のナチュラルチーズをトッピング。また昨年9月には同シリーズから、宅配ピザに負けない高級感を打ち出した「スペシャレンテ」(670円)が登場。「黒胡椒を効かせたパストラビーフ」と「ベーコンが美味しいボロネーゼ」の2種類で、スパイシーな大人の味に仕上がっています。
丸大食品からは、「チーズピザ」(398円)が発売。自家製トマトソース、北海道中標津産のモッツァレラチーズを使用した、クリーミィで重量感のある食べ心地です。
これ1枚で夕食となるような「チルドピザ」を-----いかに、若い共働きの夫婦や2人暮らしのシニア層などに支持されるかがカギとなりそうです。
参考:
日本ハム http://www.nipponham.co.jp/
伊藤ハム http://www.itoham.co.jp/
丸大食品 http://www.marudai.jp/
日経産業新聞(2011年9月7日付)