最近、スーパーのワインコーナーなどで、当然ガラス瓶だと思って触ってみるとペットボトルだったという経験をされた方も多いのでは?
高価で高級なワインをかまえて飲むのではなく、敷居を下げて日常的に気取らずに楽しんでもらいたいと、各社、手軽なイメージの「ペットボトル入りワイン」に積極的です。
2002年にサッポロビールから「ペットボトル入りワイン」が商品化されましたが、その後は尻すぼみ状態。本格普及の妨げになった最大の要因は、保存性でした。"ペットボトルでは光を通して酸化しやすいのでは?"という不安が根強かったのです。こうした懸念を払拭し、自社の主力ブランドへの本格導入を目指してペットボトルの改善に取り組んできたのがメルシャンです。グループ企業のキリンビールと協力し、2008年に開発がスタート。これまでキリンがビールのペットボトル化に向けて開発してきた独自の特許技術をワインに活用しました。ペット素材のボトル内側にガラス素材をコーティングすることで、酸素バリア性が飛躍的に向上。ガラス瓶と同レベルの品質劣化防止に成功しました。同時に、ペット素材では難しいとされていたボルドータイプのボトル形状を実現し、ワインらしいルックスにもこだわりました。
同社の「ペットボトルワイン」第一弾は、2010年に発売された「ビストロ」「ボン・ルージュ」などの1.5L入り。続いて2011年に「フランジア」750ml、「ボン・ルージュ」720mlなど9品目のペットボトルワインが導入されました。ちなみにメルシャンは、「ペットボトルワイン」市場全体の50%以上を占め、断トツのシェアトップです。
その他、アサヒビール「サントネージュ リラ」720ml、サントリー「ココヴァン」750ml、サッポロビール「ポレール」シリーズ720mlなどにペットボトルが採用されています。
"缶入りのビールなんてあり得ない!ビールは瓶から注ぐからうまいんだよ"という声が、缶ビール誕生時にあちらこちらから聞こえてきたものですが、その後はご存知の通り、缶が瓶を駆逐してビール市場全体を押し上げました。しかし、ワインはビールと違って、ラベル1つにもウンチクやストーリー性を見出しながら味わうことを"価値"だと考えている人が多い手ごわい市場。はたして、ビールの"缶"のように、ワインの"ペットボトル"が、市場を動かすだけの"容器パワー"となることができるでしょうか。
※参考:
メルシャン http://www.mercian.co.jp/
アサヒビール http://www.asahibeer.co.jp/
サントリー http://www.suntory.co.jp/
サッポロビール http://www.sapporobeer.jp/
日経産業新聞(2011年9月5日付)
今年になって急激に増加したというわけではありませんが、街なかにじわじわと増え続けているのが、「自習室」。東京・大阪・神奈川といった都市部を中心に全国で約160(2011年10月現在)。特に東京には80近い「自習室」が集中しており、需要の高さを物語っています。基本的には、資格取得や語学の学習、昇給試験の受験勉強といった社会人のための有料学習空間というのが共通したコンセプトです。
実際の「自習室」を例に挙げて具体的に見てみましょう。
「会員制有料自習室 GRANDESK(グランデスク)新宿」(東京)の場合。
全席が指定席。パーテーションに囲まれたデスクには2段の本棚が備え付け。米国Steel Case社製の高級チェアを全席に採用。ネットやメールの利用可。セキュリティ面は、防犯カメラはもちろん、セコムの静脈認証による入室管理を実施。夜遅く、女性でも安心して利用できます。休憩や食事がとれるリフレッシュルームでもPCが使用できる他、ドリンクサーバーも設置(共にオプション)。スキャナ、シュレッダー、各種文具類、ロッカー、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、電子レンジなどを常備。最寄りの地下鉄駅から徒歩1分。利用時間は朝6時〜夜11時30分で年中無休。料金は、1ヶ月単位の契約で15,500円〜27,000円(3ヶ月分前払いによる割安月額料金)。座席のグレードに応じて8種類が設定されています。入会時には、身分証明書、初回1ヶ月分料金(月途中の場合は日割り計算)、セキュリティディポジット2,000円が必要となります。契約前の見学も可。
これが「自習室」の概要ですが、これだけ利用者のニーズが高まり競合が増えてくると、自ずと設備やシステムなどの面で"個性"を打ち出して差別化を図っていくことが要求されてきます。
例えば、コンシェルジュが常駐していたり(「自習室メダリストクラブ」/東京)、女性専用をアピールしたり(「ルシール」/東京)、自席からカラープリント出力ができたり(「レンタル自習室 アガサ」/大阪)etc.中でも最近のトレンドとして注目されているのは、今年5月、東京・銀座にオープンした「SHIKAKU CAFE(資格カフェ)」や「勉強カフェ・田町ラーニングスタジオ」(東京)のような、"学び"と"集い"を融合させた"学集空間"とも言うべきスタイルの自習室です。自分のペースで集中して勉強できる単独スペースと、会員同士が交流を図りながら情報交換ができる共有スペースを兼備し、同じ目的を持った会員同士のマッチングや、各種専門家によるセミナーの開催、アドバイザーの個別相談など、様々な形で会員のメリットが提供されます。
自宅でも、会社でも、学校でもない。喫茶店とも、図書館とも違う、もうひとつの場所。スキルアップや資格を取って転職や起業を考えているビジネスパーソンにとっては、少々高いと思われる利用料金も、自分への投資といえるのかもしれません。
※参考:
グランデスク http://www.grandesk.net/
メダリストクラブ http://www.medalist-club.jp/
ルシール http://www.geocities.jp/
アガサ http://www.agatha-room.com/
SHIKAKU CAFE http://www.shikakucafe.com/
勉強カフェ http://benkyo-cafe.net/
日経産業新聞(2011年9月9日付)
「ヒートテック」なる発熱・保温・ドライ機能を併せ持つ、いわゆる「機能性肌着」がユニクロからデビューしたのは、2003年秋のことでした。
それ以降、圧倒的シェアを誇って先頭をひた走るユニクロに追いつけ追い越せとばかりに、アパレル・下着・スポーツの各メーカーや大手スーパーなど、参入メーカーは増え続けています。目を見張るのは、各社、毎年、新たな機能を加え、シーズンごとに品質が進化し続けているということです。その背景には、原糸メーカーの存在を抜きには語れません。「機能性肌着」の各メーカーは、それぞれ原糸メーカーの協力を仰ぎ、共同で素材や製品の開発にあたっています。
ユニクロは、2006年から「東レ」とパートナーシップを結んで「ヒートテック」を開発。従来の発熱・保温・保湿・速乾・抗菌・静電気防止などの機能に、2011年秋冬用には消臭機能をプラス(メンズ)。レディスは、天然アミノ酸を含んだホエイ(乳清)を繊維に配合して、より保湿性を高めました。
シェア2位は、イオンのPB商品トップバリューの「ヒートファクト」。「東洋紡」によって開発され、速乾性や吸水性に優れたアクリル系の超極細繊維を使用し、滑らかな肌触りと共に冬場の汗冷えを防ぎます。
グンゼの「機能性肌着」のブランドは「ホットマジック」。原糸パートナーは「旭化成せんい」で、今年の製品の特徴は、身体から発する湿気を吸収して発熱する機能がアップした点。発熱温度が、従来品より20%近く向上しています。さらに調湿機能もアップしているので、満員電車などでの寒暖差にも対応。不快な湿気を逃がし、蒸れにくく快適です。
イトーヨーカドーのPB商品「ボディヒーター」は、「東レ」開発の綿混発熱インナー。素材に柔軟加工を施し、より肌触りの良い滑らかな着心地に仕上がっています。今年は新たにキッズ用も発売中。
他に、しまむらの「ファイバーヒート」、ワコールの「スゴ衣」、ヘインズの「ヒートイット」、無印良品の「ぬくもりインナー」、西友の「エコヒート」などが出回って"機能性"を競っています。
夏はクールビズ、冬はウォームビズと、私たちの節電への意識もすっかり定着した感があります。それにしても今年は特に節電特需への期待を込めてか、各社強気で臨んでいます。ユニクロが前年より3週間も早い7月25日から、イトーヨーカドーが7月28日から発売開始を前倒ししたのに加え、各社の販売目標も軒並み高めに設定されているのが特筆すべき傾向といえます。
※参考:
ユニクロ http://www.uniqlo.com/
http://www.fastretailing.com/
イオン http://www.topvalu.net/
グンゼ http://www.gunze.co.jp/
イトーヨーカドー http://www.itoyokado.co.jp/
しまむら http://www.shimamura.gr.jp/
ワコール http://www.wacoal.jp/
ヘインズ http://www.hanes.jp/
無印良品 http://www.muji.net/
西友 http://www.seiyu.co.jp/
朝日新聞(2011年8月2日付/同8月26日付)
日経産業新聞(2011年9月20日付)