金融・お金の情報
2021.09.01更新
 

“おもてなさない”おもてなし。変わる販売の現場、「非接客サービス」。
 

コロナの感染拡大が、くしくも、デジタル技術の活用で社会や産業の仕組みを変革する“デジタルトランスフォーメーション(DX)”の動きを加速させることとなりました。例えば、人やモノとの接触を避ける傾向が強まっているのを受け、さまざまな分野で“非対面・非接触型”のサービスが広がっていることも一つの表れと言えます。

[そごう・西武]のワイシャツ売り場では、販売員が客の体に触れることなくサイズを測ることのできるサービスを導入しました。客の正面と側面をスマホで撮影するだけで24項目の採寸結果が得られ、次に“ボディグラム”というアプリのAIが写真から各項目の数値を割り出し、それを基に店員が客に合ったシャツを提案するという仕組みです。
店員との非接触化は飲食業界でも広がっています。過去最高売り上げの更新が続く回転ずし大手の[くら寿司]は、入店から退店までの間、店員との接触機会が一切ない非接触型店舗を、昨秋から今年にかけて相次いでオープン。2021年末をめどに、このシステムの全店導入を目指します。
インスタグラムなどSNSを中心として20〜30代女性に人気のアパレルブランド[foufou(フーフー)]では、店員も客もいない、完全無人の試着部屋「the room」を昨夏、オープンしました。1組(3人まで)1時間の完全予約制で、週3日間のみの営業。メールで送られてくる暗証番号でカギを開けて入室します。ここで商品を購入しなくてもよく、というか、そもそもここでは商品の販売は行っておらず、購入はネットから。店舗でもなく、ショールームでもない、誰の眼を気にすることなく納得いくまでアイテムやサイズを試せる“秘密の部屋”として、予約殺到の人気ぶり。
昨秋、開業した[プリンス スマート イン恵比寿]では、AI技術を活用して、従来のホテルでは当たり前だった“おもてなし”サービスの大部分を省きました。チェックインは客自身がロビーの自動チェックイン機で。チェックアウトもスマホアプリで。ルームキーは自身のスマホがモバイルキーに。全客室に多言語対応スマートスピーカーを設置。ロビーではサービスロボットが巡回清掃と施設内の巡視を、といった具合。

店員による接客をしないことで顧客満足度を高めるという「非接客」でのおもてなし-----ストレスをおぼえることなく買い物をしたり時間を使いたいと願う彼ら・彼女らにとって、無人・省人化といった“接客のDX”の広がりの中に、一つの答えが潜んでいるのかもしれません。



※参考:
そごう・西武         https://www.sogo-seibu.co.jp/
くら寿司           https://www.kurasushi.co.jp/
foufou            https://note.com/foufou/
プリンス スマート イン恵比寿  https://www.princehotels.co.jp/psi/
日経MJ(2021年5月21日付)


携帯電話なのに、「電話」は要らない?
 

「そういえば、最近、ケータイで電話したっけ?」という方は多いのではないでしょうか。“電話”を“携帯”するから「携帯電話」だったはずが、メインの電話機能をほとんど使わない人が増えています。ここでいう“電話機能”は、これまでの電話番号を使っての通話(音声通話)のことで、その代わりに“LINE”やフェイスブックなどのメッセージアプリの音声通話機能(データ通話)を利用する人が増加。『日経』の調査(2021年2月)によると、メッセージアプリの利用が顕著なのが10〜20代の若者。一方で、40代・50代ではまだ音声通話が主役ですが、60代以上になると、今度はアプリ利用が音声通話を上回る傾向が。孫とのコミュニケーションツールとしてアプリを使う機会が多くなることが理由のようです。
携帯キャリア大手は、こうした“電話機能って本当に必要なの? ”と考えているユーザーの取り込みに懸命で、壮絶な価格競争が繰り広げられています。

昨年暮れに、[NTTドコモ]が「ahamo(アハモ)」、[ソフトバンク]が「LINEMO(ラインモ)」と、満を持して、国内通話かけ放題を含めた月額3278円の新割安プランを発表し、その額が業界基準となりかけていました。特に「ahamo」は、従来水準から6割も値下げし、業界に衝撃を与えました。ところが今年1月、そこに[KDDI]が新料金プラン「povo(ポヴォ)」を華々しく打ち上げて両社に対抗(開始は3月)。先行2社の売りの一つである“無料通話”を外し、その分550円安い、月額2728円とすることで割安感をアピール。ソフトバンクは、“通話はLINEで十分なので、その分安くしてほしい”というユーザーの声に応える形で、「LINEMO」の通話機能を外して「povo」と横並びの2728円に再設定。一方、ドコモの「ahamo」は、通話機能を含んだままで、3278円から2970円に値下げする道を採りました。無料通話分550円を、料金プランに含むか外すかを巡ってのせめぎ合いが続きます。
国からの要請もあって大手キャリア間で過熱するダンピング競争は、当然、[楽天モバイル]をはじめとする、安さが売りの他の格安スマホにも波及。その結果、今春、携帯料金全体が大きく見直されることとなりました。

米国の、ある大学の調査によると、若者が電話を敬遠する理由として、音声は文字と比べて自分をさらけ出すことになること。また、リアルタイムで電話のやりとりをすると時間や手間がかかることなどを挙げています。
携帯の“電話機能不要論”は、すでに数年前から湧き上がっていたテーマです。次々と新しい連絡手段が登場している今。電話機能は今後、どんな道を歩んでいくのでしょうか。 ※各社の携帯料金プランは、2021年5月時点のものです。※文中の料金は、すべて税込です。



※参考:
NTTドコモ   https://www.nttdocomo.co.jp/
ソフトバンク  https://www.softbank.jp/
KDDI     https://www.kddi.com/
総務省     http://www.soumu.go.jp/
日経MJ(2021年4月5日付/同5月7日付)


欲しかった空間です。仕事に、趣味に、「小屋」人気、上昇中。
 

ここ数年来の「小屋」人気に、コロナ禍が拍車をかける形となりました。在宅ワークの普及や“おうち時間”を快適に過ごすためのプライベートスペース確保などで、小屋需要が急増。
小屋といっても、別荘感覚で基礎からしっかり“建てる”タイプから、自宅の敷地内に“設置する”タイプのものまで。10平方メートル以内であれば建築確認申請が不要のため、スペースさえあれば気軽に“小屋の主”になることができます。
用途は、時節柄、リモートワーク用を筆頭に、趣味のコレクターグッズルームやバイクガレージ、ネイルサロンなどのミニショップ、英会話などの各種教室、コロナ下での病院の発熱外来用の施設としての利用など、さまざま。

売れ行き好調の「無印良品の小屋」は、都会での“小屋のあるくらし”をコンセプトに2017年スタート。広さは9.1平方メートル(約6畳)で、3〜4人が十分にくつろげる広さ。価格は材料費と施工費込みで300万円(税込)から。
小屋を売る会社として注目されているのが、岡山市内で屋根・外壁工事業を営む[植田板金店]。5年ほど前から、「小屋やさん」というブランド名で本格的に小屋事業に進出。小屋の価格は130万円からで、昨春以降、“在宅ワークで使いたい”という問い合わせが急増し、昨年度は過去最高の売り上げを達成しました。岡山市内には、国内最大の小屋展示場「小屋の森」もオープン。また、建築家の隈研吾さんとコラボした小屋(約300万円)も販売して話題となりました。
外に建てる小屋だけでなく、家の中に設置する「屋内小屋」にも注目が集まっています。[三菱地所グループ]が展開する小屋は、1畳ほどの「箱の間」という家庭内セカンドハウス。高さ160cm、幅173.5cm、奥行75.5cmの木製のボックス部屋。価格は、税込68.2万円と73.7万円の2タイプ。
ほかにも、トレーラーハウスのように移動できる車輪付きの木製モバイルハウスや、マンションのテラスに“離れ”として設置するタイプも。

小さな家で暮らすという“タイニーハウス(小屋)ムーブメント”は、米国のリーマンショック(2008年)が引き金となって広がりました。それまで、“プール付きの一戸建て”が夢だとされていたのが、“家賃のために働くのって本当に豊かな生き方なのか”と、住まいについて考え直す人が出てきました。そして、それと同じような現象が、3年後の日本でも起こります。東日本大震災後に、“幸せってなんだろう”“住居にかけるお金や空間は、もっと小さくてもいいのでは?”と、シンプルでコンパクトな“小屋的暮らし”を志向する新たな流れが生まれました。
豊かさの象徴としての“大きな家”の価値観は揺らぎ、その対極として湧き起こった昨今の小屋ムーブメント。余計なモノをそぎ落とし、暮らしをダウンサイジングしながら、自らの生活や生き方までを問い直す-----「小屋」は、そのことを私たちに教えてくれている、と考えるのは大げさでしょうか。



※参考:
良品計画     https://www.muji.com/jp/
植田板金店    https://uedabk.jp/
三菱地所グループ  https://www.mec-h.co.jp/group


 
 
 
 
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