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2019.03.01更新
 

もう「小京都」とは呼ばないで。京都からの“独立”を図る観光地。
 

日本全国に星の数ほどある「〇〇銀座」のように、あるモデルとなる地域の名を冠した代表的なものに「小京都」があります。歴史や雅な文化を感じさせ、昔ながらの町並みや風情が京都に似ているとされる地域を称して、こう呼ばれています。
現在、日本各地には45の小京都と名乗る市町が点在し(2018年4月時点)、それらを束ねるために、1985年に「全国京都会議」という団体が設立されました。加盟するには、1.京都に似た自然景観、たたずまいがある2.京都と歴史的なつながりがある3.伝統的な産業・芸能がある、の3条件のうち、どれか1つに合致していればよく、年1回催される総会で承認されれば加盟が許されます。しかし、加盟しなければ小京都と名乗れないというわけではなく、一種の“お墨付き”的性格のもの。年会費は5万円。活動としては、小京都連合でのPRや広域観光キャンペーンの展開、ホームページなどでの情報発信など。

地域のイメージアップと観光客誘致を主な目的に、ピーク時(1999年)には、設立時の2倍超の56市町が加盟。拡大する旅行ブームに乗って、入会する市町が増え続けていったのです。ところが、2000年を境に、退会する市町が続出。これまで、全部で63市町が入会しましたが、現在はそのうち18市町が退会しています。
“加賀の小京都”と称された金沢市の場合は、「ウチはあくまで城下町で、公家文化の京都とは違う」との市民の声も多く、一旦は入会したものの2008年に退会。
松本市は、「アルプスの城下町とは呼ばれても、小京都と呼ぶのはそぐわない」と、2004年に退会。
“陸中の小京都”と称された盛岡市は、“役割は果たした”と2010年に退会。今は、町家の風情を生かした独自のPRに方向転換しています。
大野市(福井県)は、“越前の小京都”と称されていましたが、“メリットがない、誘客につながらなかった”と2016年に退会。
そのほかにも、岐阜県高山市や滋賀県大津市、広島県三次市、北海道松前市、山形県酒田市など、18の市町が小京都から“独立”しています。

“本家”京都市の観光客数が年々増え続ける一方で、観光客が思うように伸びない小京都の観光地。一定の効果は得られたものの、ひところに比べ“小京都”が持つ威力が失われ、観光客には響かなくなったのでしょうか。
「〇〇の小京都」と呼ばれる各地の観光地では、自分たちの町の歴史的アイデンティティを見直し、京都ブランドに依存することなく地域独自の観光資源を活かしたブランディングが主流となってきています。“京都らしさ”からの巣立ちともいえる現象が、日本各地で静かに広がりつつあるようです。                        


※参考:
全国京都会議           http://shokyoto.jp/
朝日新聞(2018年7月21日付)




神社のお賽銭も電子マネーで。本格的「キャッシュレス」生活、すぐそこまで。
 

韓国96.4%、イギリス68.7%、中国60%……これは、世界のキャッシュレス決済比率が高い国、ベスト3です(2016年/経産省)。先進各国が40〜60%の数値が並ぶ中、日本は遠く及ばず19.8%でベスト10圏外。“キャッシュレス後進国”といわれるのも無理からぬ現状といえます。

「キャッシュレス(非現金)」とは、商品やサービスを購入して代金を支払うときに、現金を使わずクレジットカードや電子マネーなどで支払う決済方法のこと。
“後払い”の「クレジットカード」、あらかじめ一定額をチャージしておく“前払い(プリペイド)”の「電子マネー」(Suica、nanacoなど)、購入と同時に銀行口座から代金が引き落とされる“即時払い”の「デビットカード」と、3種類の支払い方法があります。最近、これらと連動して急速に広まっているのが“コード読み取り型”の決済方法です。店側のQRコードを客がスマホで読み取る。または、客がスマホ画面上に表示したQRコードを店側の端末にかざす、のいずれかのやり方で決済。スマホを利用するため、“モバイル決済”“QR決済”などと呼ばれており、2016年頃から中国で急速に広まりました。日本でも同時期に参入が相次ぎ、ベンチャーの「OrigamiPay」から大手の「楽天Pay」や「LINE Pay」「amazon Pay」、さらに昨秋には、[ソフトバンク]と[ヤフー]の合弁会社が「PayPay」をスタートさせるなど、モバイル決済市場は各サービスがしのぎを削り、群雄割拠の様相。ちなみに、政府がいま最も力を入れているのが、このモバイル決済の普及です。

皮肉なことに、日本のキャッシュレス化を阻んでいるのが、現金を持ち歩く不安がない・偽札がほとんどない・街中にATMが多い、などといった我が国の誇るべき長所である“現金主義”にあるといわれています。
遅れを取り戻そうと、政府も本腰を入れ始め、昨春、経産省主導で「キャッシュレス・ビジョン」を策定。キャッシュレス比率を2025年までに40%まで引き上げることを目標に掲げています。“フィンテック(金融=Finance+技術=Technology)”の一部であるキャッシュレス決済を広め、あらゆる業種でイノベーション(技術革新)を可能にして経済を活性化させることが狙いの一つ。すでに、乗り捨て自由のレンタサイクルサービスや無人コンビニ、“現金お断り”を掲げたレストランやカフェ、お賽銭を電子マネーでも受け付ける神社、キャッシュレス都市宣言を発表した神奈川県、等々。キャッシュレス決済データを活用した新たなサービスが徐々に創出されています。

前述の、決済率20%未満という数値から3年余りを経たいま、日本のキャッシュレス化は加速し、確実に上昇しているはず。キャッシュレス決済が当たり前の社会が、すぐそこまで来ているのかもしれません。


※参考:
経済産業省                 http://www.meti.go.jp/
内閣府                    http://www.cao.go.jp/
一般社団法人日本クレジット協会    https://www.j-credit.or.jp/
日本デビットカード推進協議会      http://www.debitcard.gr.jp/
日本銀行                   http://www.boj.or.jp/
朝日新聞(2018年9月5日付/同9月12日付/同9月19日付)



“手が汚れるから”が、買わない理由。スマホ時代の「お菓子」が生き抜くには。
 

今どきの若者は、ポテトチップス(ポテチ)やフライドポテトを、手ではなく箸を使って食べるのがフツーらしい、とニュースで取り上げられると、中高年世代からは“信じられない”“なんと不思議な食べ方をするものだ”との声が上がり、ネット上でもざわつきが起こりました。
お菓子をつまむときの、油分の付いたベタベタした指でスマホ画面やPCのキーボードに触れたくないから、というのが主な理由です。ゲームのコントローラ、勉強中・読書中の本などにも同様なことがいえます。
そんな風潮の波が、思わぬところにも降り掛かりました。
1967年の発売以来、半世紀以上も愛されてきた[森永製菓]の「チョコフレーク」が、今夏での生産終了を発表。健康ブームの追い風もあってチョコレートのトレンドがカカオ成分の高いリッチ志向に移り、チョコフレークの売り上げが5年前より半減。加えて、工場の閉鎖などに伴う生産拠点再編の一環として、というのが表向きの理由とされていますが、メーカー側は、チョコフレークとスマホの相性の悪さを大きな要因に挙げています。元々が、テレビやスマホなどを見ながら食べる“ながら食べ”がコンセプトの商品だっただけに、手が汚れやすいチョコフレークは、明らかに不利。“ながら食べ族”に敬遠され、売り上げ的に大きな打撃を被ることとなりました。

他のメーカーも,対応商品の開発に力を入れ始めています。
[湖池屋]は昨年、手を汚さずに食べることができるスティック状の「ワンハンドスナック」シリーズを発売。袋のOPEN部分を切り取ると“流し口”となり、つままずに袋から直接、適量を口の中に流し込める仕組みを開発しました。
[カルビー]は昨年、対象商品を2つ買った客に、オリジナル“ポテトチップストング”を無料配布するキャンペーンを[ローソン]で展開し、話題となりました。
[ケンタッキー・フライド・チキン]では昨夏、指が汚れないように工夫された3本指タイプの手袋“ゆびキレイ”を導入。希望する客へ無料で提供されました。
その一方で、「手が汚れるのは気にならない」、それどころか「指に付いたパウダーを舐めるのが好き」という“素手派”も少なくなく、メーカーも完全に“箸派”へと舵を切るのを決めかねているといったところ。

スマホという一つの道具の普及が、若者のライフスタイルを変え、新たなトレンドを生み、食の文化にも強い影響力を持ち始めたということの表れ。どんな商品も、もはや長年愛されてきたというだけでは生き残ることが許されない時代になってきたようです。私たちの至近距離にある、ごく日常的な商品が、今後、生活習慣の変化に合わせてどのように生まれ変わり進化していくのか、注目していきたいものです。


※参考:
日本チョコレート・ココア協会     http://www.chocolate-cocoa.com/
森永製菓               http://www.morinaga.co.jp/
湖池屋                http://koikeya.co.jp/
カルビー               http://www.calbee.co.jp/
日本KFCホールディングス       http://japan.kfc.co.jp/
朝日新聞(2018年10月4日付)



 
 
 
 
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