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2015.02.02更新
 

少ない資金、食材ロス無縁、調理要らず……魅力が詰まった「缶詰バー」。
 

「缶詰」をおつまみメニューに取り入れた、ユニークなバーが全国で増加中です。正確に言うと、「缶詰」以外に食べ物のメニューはないという、ちょっと変わった個性派バーです。

代表的なのが、[クリーン・ブラザーズ](大阪)がフランチャイズ展開している「mr.kanso(ミスター・カンソ)」チェーンです。誕生は2002年ですが、本格的にFC展開に着手したのが2011年。神田に東京1号店をオープンして以来、現在、北海道から九州まで44店舗と順調に拡大中。

天井まである棚にぎっしりと並んだ缶詰、その数、約300種類(店によって取扱い数は異なる)。食べたい缶詰を選び、カウンターへ。生ビール、焼酎、グラスワインなど(350円〜)のお酒を注文して、一緒にキャッシュオン。鯨、うなぎの蒲焼き、あん肝、おでん、ふぐ、カレー、オリーブからトド、熊、アザラシ、鹿といった珍味まで。1缶200円から最高2,000円まで。なかでも、京都の老舗「吉田喜(よしだき)」と共同開発した「ミスター・カンソ」オリジナルの「だし巻き缶詰」(550円)は、京風だしを利かせたふっくらやわらかな卵焼きを缶詰にするという、サプライズ的魅力の人気商品。「たこ焼き」や「麻婆豆腐」(共に550円)などのオリジナル缶詰も好評です。

月30件を超える加盟問い合わせがあるという人気の理由は、開業の手軽さにあるようです。大がかりな厨房設備が不要なため、通常の飲食店の開業資金(1,500〜2,000万円)に比べ格段の低予算で開業が可能です。希望者は、本部への加盟・保証金80万円、設計・内装工事費として190万円(10坪程度を参考)、営業準備金30万円の計300万円が開店資金の目安です(店舗物件に関する費用は除く)。本部へのロイヤルティーは、月々5万円。この中には、国内外から400種を超える缶詰の仕入れを各店の売れ筋や要望に応じて行ったり、経営上のアドバイスをしたりといった”サポート料”も含まれているようです。

缶詰は長期保存が利き、賞味期限にナーバスになる必要がなく、飲食業の難しさの一つでもある食材ロスとも無縁。温めるだけで、本格的な調理をしないため調理経験不問、当然、調理師免許も要りません。さらに、一人で切り盛りできるので、人件費がランニングコストを脅かすこともありません。

徹底的なローコスト・ローリスク経営の形態が評判を呼び、チェーン・個人経営を問わず、同類の「缶詰バー」が全国に出現しています。
ちなみに、当初は、団塊世代が退職金で開業といったパターンを想定していたところ、実際のFC加盟希望者は30代が圧倒的に多いとのことです。

※参考:
クリーン・ブラザーズ  http://www.cleanbrothers.net
朝日新聞(2014年9月29日付)


「海外家電」人気の理由は、日本市場の徹底リサーチ。
 
ダイソン(英)、デロンギ(伊)、フィリップス(オランダ)、ティファール(仏)、エレクトロラックス、ブルーエア(共にスウェーデン)、ミーレ、ケルヒャー(共にドイツ)、アイロボット(米)、等々。日本のお家芸だったはずの家電市場に乗り込んできた“黒船家電”は、比較的高額にもかかわらず、なぜ日本の消費者の心をつかみ、売り上げを伸ばし続けているのでしょう。

“電気ケトル”で日本の電気ポット市場に風穴を開けた「ティファールブランド」(グループセブ ジャパン)。成功要因の一つは、欧米で売れ筋だった1.7Lの大型サイズではなく、日本人の生活にフィットした1.0L、0.8Lといった小型サイズの導入だったといわれています。

2004年の発売以来、日本市場を席捲しているコードレススティック型掃除機「エルゴラピート」(エレクトロラックス・ジャパン)。昨春、本国から製品開発担当者が大挙して来日し、日本の消費者の自宅を訪ね、実地にマーケティングを行ったという徹底ぶり。

[フィリップス]から2013年に発売され、革新的といわれた揚げ物調理器「ノンフライヤー」は、日本の消費者のニーズや志向を入念にリサーチして開発された“日本仕様”。日本人の65%が週2回揚げ物を食べる一方で、高い健康志向も持ち合わせている、と分析。海外では「エアフライヤー」という名称で販売されていたものを、“油で揚げない”点を強調するため、日本向けだけに「ノンフライヤー」と命名。この、通常ではあり得ないといわれる戦略が日本の消費者に受け入れられ、大ヒット商品となりました。

さらに昨年登場した家庭用製麺機「ヌードルメーカー」も爆発的なヒットを記録。小麦粉、塩、水を入れるだけで本格的な生麺が約10分で作れるというもの。週1回以上、麺類を食べる人が90%以上もいる“麺大好き民族”の割には、家庭で手作りする人はわずか3%しかいないといった日本人の食生活を徹底調査。その結果、炊飯器やホームベーカリーと同等に普及するチャンスがあることを確信しました。まだどこのメーカーも取り組んでいない“ホワイトスペース”であったことも大きな強みとなりました。

“性能はいいけど、機能が多過ぎて使い切れない”との声も多く聞かれる日本家電。オーバースペックが、ガラパゴス化を招いているともいえます。そんなスキを狙って、驚くほどきめ細やかな市場調査から導き出された日本攻略のシナリオを基に、満を持して上陸する“黒船家電”の面々。多機能ではなく高機能。シンプルだけどチープではない。これまでの日本家電にはない魅力を備えた海外メーカーの攻撃に、日本のメーカーはどのように立ち向かうのか、今後に注目です。

※参考:
グループセブ ジャパン          http://www.t-fal.co.jp/
エレクトロラックス・ジャパン       http://www.electrolux.co.jp/
フィリップス エレクトロニクス ジャパン http://www.philips.co.jp/
日経産業新聞(2014年10月22日付)


“玄関”から“街”へ。空港の「運営権民間委託」、テイクオフ。
 

現在、国が管理する空港は国内で27あります。管理運営は、滑走路や駐機場などの“航空系事業”は国や自治体が、旅客ターミナルビルや関連施設などの“非航空系事業”は第三セクターや民間企業が、それぞれ個別に担っています。2012年度の収支状況では、非航空系事業の大半が黒字だったのに対し、航空系事業は9割に当たる24空港が赤字を計上(国交省調べ)。こういった空港の非効率的運営を打開しようと、政府は2013年に「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律」(民活空港運営法)を制定しました。土地などの所有権は国や自治体が保有したまま、航空系事業の運営を一定期間(30〜50年間)民間事業者へ委託し、非航空系事業の運営と一体化しようというものです。つまり、民間の力で二つの財布を合体させることによって、空港経営の効率化を図り、新たな就航路線の誘致や増便、利用客数の拡大、さらには交流人口の増加に伴う地域振興も見込んだものです。なにより、民間のノウハウを活かした収益力の底上げは、航空機の着陸料引き下げにつながるばかりでなく、国の財政負担の軽減という側面も期待されています。

なお、参画を希望する事業者としては、鉄道・旅行・商社・不動産・各地域の公共交通関連企業などが挙がっています。

“民活空港”の第一号は、年間300万人が利用する東北の玄関口、「仙台空港」。2016年からの民営化を目指して入札に名乗りを挙げた主な企業は、三菱商事、楽天、東急グループ、イオン、豊田通商など(2014年12月現在)。今年の夏、最終的な運営事業者が決定される予定です。

関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹)はセットで民営化される計画です。運営権料は年間約490億円、2015年度から45年契約で総額約2兆2,000億円という巨大プロジェクトとなります。

次いで、福岡空港、新千歳国際空港。さらに、羽田、広島、高松、松山、熊本、鹿児島、那覇の各空港で運営権売却の検討が進んでいます。(順不同)

空港民営化は、安倍政権の成長戦略の目玉の一つとして位置付けられ加速してきました。空港内の商業施設の拡充を図って集客力を高め、収益を改善する-----これまで“玄関”としての役割がメインだった空港が、そこに滞留する時間が増え、あるいはそこを目的に訪れる“街”としての機能を持ち始めます。

民間企業の経営能力が試されることになりそうです。

※参考:
国土交通省  https://www.mlit.go.jp/
日経МJ(2014年11月7日付)


 
 
 
 
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