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2014.08.01更新
 

“本業”不調の救世主となるか? 家電量販店が手掛ける「住宅関連事業」。
 

2009年から2010年にかけ、家電エコポイント制の導入や地上デジタル放送移行によるテレビ買い換え特需などで収益拡大した家電量販店も、ここ数年はその反動の波をモロに被り苦戦を強いられています。加えて、消費税増税や商品確認のために来店はするものの実際の購入はネット通販で行うという“ショールーミング”現象の増加も逆風となり、家電量販大手4社(ヤマダ電機、エディオン、ビックカメラ、ケーズHD)の業績は軒並み大幅減益。打開策として、事業の多角化に活路を求め始め、その代表的なものが、元々、家電製品と相性のいい「住宅関連事業」への参入でした。

最大手の[ヤマダ電機]は、リフォームや注文住宅の受注時に家電製品を併せて売り込む事業に重点投資し、今後の成長の柱と位置づけています。その一環として、体験型住宅展示場を併設した店舗を、神戸垂水、埼玉春日部、秋田、金沢などに設け、順次増やしていく計画。駐車場の一角にスマートハウスを建て、家庭用蓄電システムや掃除ロボットの実演、4Kテレビの上映など、さまざまな家電製品を実際の生活空間に近い形で体験してもらおうという狙いです。

昨年、住宅設備最大手の[LIXIL(リクシル)]と資本業務提携を結んでリフォーム事業への大幅強化を打ち出したのが[エディオン]。リフォームコーナーの導入店舗を、直営369店中、214ヵ所と、積極的に増加。また、低価格・短時間交換が売りのリフォーム商品「ぷちdeリフォ」を全店舗で展開。キッチン、バス、トイレに加え、レンジフード、洗面化粧台など“リクシル効果”も発揮されて好調に推移しています。

[エディオン]サイドは、[リクシル]が抱える全国の施工業者ネットワークに家電製品を乗せることができる点。一方[リクシル]にとっては、[エディオン]が誇る全国400超の店舗に大型売り場を活用したリアルな提案が可能になる点。互いにwin-winの良好な関係が築かれています。

関西の[上新電機]は、今期、全国60店舗を対象にリフォーム専用スペースを設ける改装計画を発表。「Joshinまごころリフォーム」と銘打って、システムキッチン、バス、トイレ、洗面といった水回りの住宅設備機器の交換リフォームを強化。10年間保証や24時間体制のサポートサービスも実施しています。

家電量販各社がこぞって“第二の本業”“新しい収益の柱”として育てていこうと目論む「住宅関連事業」。大きな売り場と気軽に立ち寄れる雰囲気で、新たな集客を図ることができるか----約7兆7,800億円(2012年度)といわれる巨大なリフォーム市場へ挑む、新参、家電量販店のお手並みに注目です。

※参考:
ヤマダ電機      http://www.yamada-denki.jp/
エディオン       http:www.edion.co.jp/
上新電機       http://www.joshin.co.jp/
日経МJ(2014年5月12日付)


2年後には2倍に拡大。活発な動きを見せる「電子書籍専用端末」市場の、いま。
 
1990年に、世界初の「電子書籍専用端末」([ソニー]の「データディスクマン」)が登場してから今年で25年。“新分野”とばかり思っていた電子書籍ですが、実はすでに四半世紀が経過したことになります。

その間、2006年に[ソニー]が「リーダー」を引っ提げて米国・欧州の電子書籍市場に参入。翌2007年に[アマゾン]が「キンドル」を本国米国で発売。2010年には「リーダー」が日本で発売。北米などで電子書籍事業を手掛けるカナダの[Kobo(コボ)]社を子会社化した[楽天]が、2012年、端末「コボタッチ」で日本の電子書籍市場に参入。その3ヵ月後には、[アマゾン]が満を持して「キンドル・ペーパーホワイト」で日本上陸……そのたびに、何度、“電子書籍元年”と言われ続けてきたことでしょう。

日本市場でのシェアは、「キンドル(アマゾン)」「コボ(楽天)」「リーダー(ソニー)」の順で、当然、拮抗した三つどもえの戦いになると思われていました。

ところが今年3月、[ソニー]が北米で2009年以来営業してきた電子書籍ストアの閉鎖を発表。さらに6月には、欧州と豪州で展開している電子書籍事業からの撤退を表明。つまり、海外から完全に撤退することとなってしまいました。

そもそも3社は出発時点から違いがありました。
ネット書店やEC(電子商取引)からスタートした[アマゾン]や[楽天]は共に、他社端末向けにも配信したり、紙の書籍の販売に力を入れながら自社端末との連携を推し進めるなど、フレキシブルにサービスの充実を図ってきました。自社端末の利益追求より、魅力あるコンテンツを届けることに重点を置きながら、とにかく電子書籍の認知拡大を第一に努めたのです。一方、世界のエレクトロニクスメーカーの雄として君臨する[ソニー]は、どうしても自社の端末の普及や収益のことを考慮する余り、他の2社のような大胆な価格戦略やユーザーを引きつける魅力的な戦力が打ち出しにくい状況にあったことは否めません。コンテンツの少なさ、紙媒体と比べての割安感の低さ、海外の「リーダーストア」の書籍は読むことができない、といったことなどがその要因と思われます。

一般書籍全体からみた電子書籍の普及度合いは、米国が約20%に対し、日本は約8%。米国より3年遅れているといわれています。今後、「電子書籍専用端末」の覇権を巡っては[アマゾン]と[楽天]、2強の争いになると思われていますが、そこに忘れてはいけない強力なライバルが出現。スマホやタブレットの存在です。読書専用の電子書籍端末と、読書もできる多機能端末。さて、どちらがユーザーに響くことでしょう。

※参考:
ソニー      http://www.sony.co.jp/
アマゾン     http://www.amazon.co.jp/
楽天       http://kobo.rakuten-kobo.com/
日経産業新聞(2014年5月12日付)


ネットの力で仲をとりもつ、「マッチングビジネス」。
 

いま、さまざまな分野で注目されているのが、「マッチングビジネス」。需要と供給をつなげて仲介料を報酬として受け取るビジネスのことです。以前から、転職やお見合いパーティーといった「マッチングビジネス」は盛んに行われてきましたが、昨今の“紹介業”の大きな特徴は、インターネットを活用している点にあります。

印刷通販を手掛ける[ラクスル](東京)は、全国1,700の印刷会社を会員としてネットワーキング。季節によって需要の波があり、印刷設備の稼働率が4割ほどしかないという現状を背景に、印刷会社の非稼働時間、つまり機械と人員の空き時間を利用することで、短時間に、かつ大手印刷会社の10分の1程度の低価格で発注から納品までを実現しています。

“いますぐ食べたい人”と“最寄りの飲食店”をマッチングするのが、日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」。全国1万1,000店を超える加盟店の出前が注文できます。運営するのは、大阪の[夢の街創造委員会]。飲食店の出前のピークを除いた アイドルタイムを有効活用。大手チェーン店から近所の蕎麦屋まで、パソコン、携帯、スマホから注文でき、年間約776万件の利用があるとのこと。

“遊休駐車場”に着目したのが[アイ・エム・ジェイ](東京)。カーナビ向け駐車場情報配信の国内最大手である同社が、全国5万4,000ヵ所の駐車場空き情報と割引クーポンを配信するスマホアプリ「CouPark(クーパーク)」の提供を、今年2月に開始。利用者は、最寄りの駐車場の詳細情報が閲覧でき、クーポンで最大半額の割引を受けられるというメリットが。また駐車場側には、空いている時間帯の利用が促進でき稼働率を高めるという相互メリットがあります。

宿泊先を探す旅行者(ゲスト)と自宅の空き部屋を短期間貸したい人(ホスト)をとりもつのが、米国生まれの[Airbnb(エアビーアンドビー)]です。世界192カ国、3万5,000都市にあるホスト登録物件に毎晩50万人ものゲストが利用しているという、人気のウェブサービスです。料金は一般的なホテルよりもぐんと格安。[Airbnb]は、予約が成立した時点でホストから宿泊料金の3%を、ゲストから6〜12%の手数料を徴収するシステム。日本での展開も加速しており、現在、東京、京都などのホスト数が1,000軒を超えています。

すくい切れていない利用者の需要と遊休状態の設備・人員・空間などを、ネットの力で仲介してあげることで、ビジネスチャンスはまだまだ掘り起こせそうです。

※参考:
ラクスル         http://raksul.com/
夢の街創造委員会  http://www.yumenomachi.co.jp/
アイ・エム・ジェイ    http://www.imjp.co.jp/
Airbnb          https://www.airbnb.jp/
日経産業新聞(2014年4月18日付/同4月22日付)


 
 
 
 
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