自転車エクササイズや電動アシスト付自転車の普及、またビジネスパーソンたちの“マイ・チャリ”通勤、さらに街や観光地などを自転車でぶらぶらと気ままに散策する“ポタリング(pottering)”人気など、静かに、しかし着実に自転車ブームは拡がっています。それに伴い、カーナビメーカーや携帯電話各社は、各々のメリットを活かしてハイテクな自転車生活をサポートする商品の開発・販売に本腰を入れ始めました。
2009年から「サイクルナビ」市場に参入しているソニーは、昨年6月、新たに「nav-u(ナブ・ユー)NV-U37」を発売しました(実売価格3万円前後)。3.5インチの液晶には半透過型タイプを採用し、太陽光の反射もバックライトとして利用し、画面の見やすさを向上。ルート選択時に“坂の少ない道”を選べたり、人気のサイクリングロードが収録されていて好評です。
ポータブルカーナビとして人気の高い「ゴリラ」シリーズでお馴染みのパナソニックからは、昨年11月、同社初となる自転車専用ナビ「ゴリラCN-MC01L」が発売(実売価格4万円前後)。4.3インチLEDバックライト液晶画面を採用し、最長15時間の連続使用が可能な省電力モード搭載。ルート、距離、速度などの走行データを保存してネット上の「Googleマップ」の地図サイトにアップロードできる楽しみも。
パイオニアも今年2月、「ポタナビ」でこの市場に新規参入を果たしました。2.4型で価格は4万円前後。商品名が示すように、“ポタリング”の楽しさを支援する機能が数多く搭載されている点が最大の魅力の商品で、カーナビの延長線ではない、新たなコンセプトの商品として注目されています。例えば、気の向くままにルート変更して寄り道しても目的地の方向は忘れずに示してくれる“ゆるめ”の機能が備わっているのが特長です。また、“夕方までには帰りたい”といった、指定時間内で往復可能な範囲を表示してくれるのも“ポタラー”たちにはありがたい機能です。
一方、携帯各社によるスマートフォン(スマホ=高機能携帯電話)を使ったサイクルサービスも充実してきています。
まずKDDIが昨年12月、アンドロイド搭載のスマホ向けに配信を開始したのは、自転車専用のナビアプリ「au one 自転車NAVITIME」(一部機能は無料、有料機能は月額170円)。目的地までの最短距離をはじめ、坂道の多い・少ない、大通り・裏通りの優先ルートなど、5種類のルート検索が可能。
ドコモも、アンドロイド端末向けに、サイクルアプリ「こそあどサイクルズプラス」の無料提供を昨年5月から始めています。
“本家”のカーナビ需要の不振が続く中、サイクルブームに乗った新たな市場開拓の動きは、ますます加速しそうです。
※参考:
ソニー http://www.sony.jp/
パナソニック http://panasonic.co.jp/
パイオニア http://pioneer.jp/
KDDI http://www.kddi.com/
NTTドコモ http://www.nttdocomo.co.jp/
朝日新聞(2011年10月26日付)
日経産業新聞(2011年12月9日付)
来店客が多く、滞在時間も長いという書店の特性に着目し、書店の店頭を商品販促の場に活用しようという動きが活発化しています。
昨年11月、大日本印刷(DNP)は、情報提供サービス「書店メディア」事業を大々的に立ち上げました。DNPグループの大手書店チェーンである「丸善書店」「ジュンク堂書店」「文教堂書店」を中心にグループ以外にも連携先を拡げ、発足時で全国35の書店チェーン、1,218店舗を対象にスタート。一日平均100万人の来店客に向け、売り場を販促の場として様々な商品のプロモーションサービスを行うというものです。具体的には、店舗内外にポスターの掲示、出入口やレジ周りにチラシ・カタログなどのラックを設置、デジタルサイネージ(電子看板)で商品CMなどを配信、といったベーシックなプロモーションの他に、書籍の棚に販促商品とそれに関連する本を組み合わせて配置する「棚プロモーション」や、サイトへ誘導するQRコードを印刷したブックカバーやしおりの配布。また、レジ袋にチラシやパンフ、試供品などを封入したり、店頭の専用スペースで商品のサンプリングやデモンストレーションといったミニイベントを実施。
提供価格は、しおりを全国の書店で100万枚配布した場合で約1,000万円、棚プロモーションを全国100ヵ所で2週間行った場合で約500万円。
DNPとしては、様々な分野の企業に「書店メディア」を売り込み、2015年度までに2,500件、売上げ30億円を目指しています。
出版取次大手の「トーハン」も取引先である書店の集客アップ、粗利アップを主目的としたインストアタイプの支援策「& Partners」を提案しています。その一つが、輸入食品・雑貨販売の「デリカテッセン」や雑貨製造販売の「イデアインターナショナル」などの外部ブランドと組んで展開する「& DeLi」。本が並ぶ一画に、文具や雑貨、輸入菓子などが並びます。トーハンが店舗の一部を賃借して売り場をつくり、物品の売上げはトーハンに計上。書店側には賃料収入と集客力アップが実現するという仕組みです。
また、「丸善CHIホールディングス」では、グループ書店の「丸善」や「ジュンク堂書店」の店舗内でスマートフォンの即日修理ができる「クイックガレージ」を展開中。米アップルの正規サービス業者としての認証を受けた修理スタッフが常駐しており、通常1週間ほどかかったスマホの修理がその場でOK。料金は1件当たり2万円程度。待ち時間に店内をブラブラしてもらって本の購入につながれば、まさに一石二鳥というわけです。
複合的に情報がスクランブルしている近頃の「書店」は、もはや本を買うだけの場ではなくなってきているようです。
※参考:
大日本印刷 http://www.dnp.co.jp/
トーハン http://www.tohan.jp/
丸善CHIホールディングス http://www.maruzen-chi.co.jp/
日経産業新聞(2011年11月2日付)
日経MJ(2011年11月28日付/同12月2日付)
マッサージ機や加湿器、空気清浄機といった、自宅で使用している快適&リラックス
アイテムの数々が、持ち運び可能なまでにダウンサイジングされ、街やオフィスで活躍し始めました。
気化式の加湿器などを扱う「ミクニ」から昨年10月発売されたのは、北海道産モミの木から採取した精油を使った携帯タイプの空気清浄機「air leaf by クリアフォレスト」(2,940円)です。キャッチフレーズは、“森の力で空気をキレイに!
おくだけ森林浴”。二酸化炭素などの大気汚染物質を低減・除去し、病気や老化の原因とされる活性酸素の生成を抑制。さらに、リラックス・抗ストレス効果があるとされる成分“フィトンチッド”を多く含んでいるため、謳い文句通りの森林浴効果が得られます。横110mm×縦43mm×厚さ21mmの手のひらサイズのコンパクトボディで、本体カバーをスライドさせて電源ON、OFF。単4電池2本で連続28時間稼働。デスクやベッドサイド、ストラップを付けてジョギングやサイクリングのパートナーにも。
パナソニックは、“女性にうれしいヘルスケア”と銘打って、外出先でも首から足裏までの心地よさを届ける「リフレ」シリーズを展開中。
首のコリを、“押し・揉み・叩き・さすり”で集中ケアする「ネックリフレ」、パッドを貼って電源を入れるだけで首から脚まで全身のコリをマッサージしてくれる「ポケットリフレ」。共に、低周波治療器です。エアーマッサージャーとしては、腰・背中などをエアーバッグがもみほぐす面と、腰やお腹まわりを温めてくれるヒーター面の2つの面を使い分けできる「プチリフレ」、むくみがちなふくらはぎをエアーで締めつけながら揉み上げる「レッグリフレ」、ヒーターで足先から温めながら足裏をマッサージする「フットインリフレ」をラインナップ。カラー、デザインともオシャレなアクセサリー&コスメ感覚のマッサージ機で、会社や旅行などへの携帯にも便利な収納ポーチ付き。
シャープから登場したのは、“お家芸”のプラズマクラスターイオン発生機の手のひらサイズ版。吹き出し口から約80cmの範囲まで高濃度のイオンが届き、身の周りの空気を浄化すると同時に肌にツヤ・ハリを与えて美肌効果も発揮します。横75mm×縦97mm×厚さ27mm、重さ約110g。AC電源はもちろん、充電池、パソコンのUSBにも接続できます。
いまや“快適”を持ち歩くのがトレンド。“いつでも・どこででもキモチよく”の欲求の高まりにつれ、「簡易リラックス家電」の需要はさらに拡大の見込みです。
※参考:
ミクニ http://forestbank.sakura.ne.jp/
パナソニック http://panasonic.co.jp/
シャープ http://www.sharp.co.jp/
日経産業新聞(2011年12月19日付)