摂ると太る、というイメージが強く、ダイエットに関心の高い人にとっては最も敬遠されがちな油ですが、実は健康や美容のためには油分のすべてをシャットアウトすればいいというわけではありません。脂肪には、摂り過ぎてはいけないものと、細胞形成に必要不可欠で積極的に摂らなくてはいけないものとがあります。
前者は、肉の油やバター、卵、乳製品など動物性食品に多く含まれる「飽和脂肪酸」で、エネルギー源としては大切ですが、コレステロールが多く、摂り過ぎると中性脂肪の増加を招いて肥満の要因にもなります。これに対して後者は、ひまわり、ゴマ、オリーブ、紅花、コーン、亜麻、シソ、クルミなどの植物油や魚油に含まれているもので、「不飽和脂肪酸」と呼ばれています。そして、この中の「α-リノレン酸」と「リノール酸」という二つの成分が、カラダに不可欠な“必須脂肪酸”なのです。特に、中性脂肪を減らし、脳神経や視神経の正常な働きに有効な「α-リノレン酸」の不足が、多くの病の原因の一つと考えられています。必須脂肪酸は体内で生成することができないため、必ず食べ物かサプリメントで摂取しなければなりません。不足すると健康維持が難しくなり、肌や体調に影響が出てきます。
そんな背景から最近、一躍注目を浴びているのが“油を飲む”というスタイル。そのまま飲むのはもちろん、サラダのドレッシングにしたりパンに塗ったり、スープやジュースに入れたり、調味料のようにおかずやパスタにかけたりと、使い方はさまざま。共通しているのは、火を通すと成分が破壊してしまうため加熱しないで生のまま使うところ(オリーブ油は除く)。そして、いくらカラダに良いからといって飲み過ぎないこと。過剰摂取は逆効果です。
これまで、「飲む油」の定番といえば、“天然の母乳”とも言われた「オリーブ油」でした。美白・美肌・美髪をうたい、朝、エクストラヴァージンオイルをスプーン1杯飲むだけのダイエット法が広まりました。
近頃の一番人気は、亜麻という植物の種から獲れる「亜麻仁油」。コレステロールを排出する働きがあり、高血糖や高血圧の抑制に効果を発揮します。一日の飲む量は、成人で大さじ1〜2杯が目安。
同様にシソ科のエゴマの種子を搾った「エゴマ油」も人気です。また、「アボガド油」は、朝食前に小さじ1杯飲むことで食欲を抑えてダイエット効果を発揮。動脈硬化の予防やコレステロール値を下げたり、デトックス、美肌などにも効果的です。
さらに、東京都内には食用油専門店も出現。店頭には約50種類の油が揃っており、試飲もできるとあって、油に目覚めた多くの“アブラー”たちが足を運んでいます。
“サラッとして油っぽくない”“ベタベタしない”-----良質の油を飲むと、カラダにも肌にもいいことが広まりつつあります。しかし、飲んですぐ効果が表れるというものではありません。あくまでも毎日のスプーン1杯の積み重ね。健康とキレイは、長期的に取り組みましょう。
※参考:
日経MJ(2011年7月25日付)
割安な夜間電力を充電して蓄えておき、停電時などの緊急用に自宅内の電化製品を稼働させたり、貯めた電気を昼間に使うことでピーク時の消費電力を抑制する効果のある「家庭用蓄電池(リチウムイオン電池)」。これまでは、日本の電力供給が安定し、かつ蓄電池が高額だったことから、業務用や一部の住宅関連などの限られた需要にとどまり、家庭用レベルでは価格に見合うだけの必要性を感じていなかったというのが実情でした。
ところがはからずも、東日本大震災の影響による電力不足によって「家庭用蓄電池」の有用性が改めてクローズアップ。メーカー各社はにわかに、活発な動きを見せ始めました。
「東芝」は、2012年に予定していた「家庭用蓄電池」の発売開始を大幅に前倒しして今年の6月に変更。蓄電容量は、1KW(キロワット)時、3KW時、5KW時の3種類。持ち運び可能で家庭のコンセントにつなぎ、5分間で急速充電。1KW時の製品で、500Lの冷蔵庫を約5時間冷やすことができ、価格は約40〜50万円。
「パナソニック」も当初の計画を変更し、今年度内の商品化を目指します。
「三洋電機」は、業務用蓄電池をダウンサイジングした家庭用システムを夏に発売。
大和ハウス工業やシャープなどが出資する業務用蓄電池メーカー大手の「エリーパワー」は、販路を家庭用にも拡大。2KW時、約150〜200万円の「家庭用蓄電池」を今秋発売する予定です。
「スマートエナジー社」からは、ハイブリッド車の走行用電源にも利用できる車載用・緊急用蓄電池「VEUS(ベウス)」を5月に発売。4KW時が約94万円、8KWが約190万円。
また、家電量販最大手の「ヤマダ電機」は、4月、家電量販店では初となる「家庭用蓄電池」の販売を開始して話題となりました。扱い商品は「エジソンパワー社」の「E-STOCKER(イー・ストッカー)」で、1KW時と2.5KW時の2種類。価格は、70〜190万円程度。
一方、「ビックカメラ」には、6月、中国の電池メーカー最大手の「BYD」が上陸。2.4KW時で約80万円と、魅力的な価格帯で強力アピール。追って、韓国や台湾のメーカーも参入してくると言われており、国内の蓄電池市場は、一気に激化することが予想されます。
「家庭用蓄電池」に対しては、太陽光発電システムのような政府からの補助金は交付されません。電機業界にとって、新たな巨大市場へと発展する可能性を秘めた「家庭用蓄電池」ですが、本格普及のためには、製造コスト削減などによる低価格化への企業努力と公的助成の両面にカギがありそうです。
※参考:
東芝 http://www.toshiba.co.jp/
パナソニック http://panasonic.jp/
三洋電機 http://panasonic.co.jp/sanyo/
エリーパワー http://eliiypower.co.jp/
スマートエナジー http://www.smart-energy.jp/
ヤマダ電機 http://www.yamada-denki.jp/
エジソンパワー http://www.edisonpower.co.jp/
ビックカメラ http://www.biccamera.com/
日経産業新聞(2011年7月19日付)
“ダイエット”と“レストラン”。一般的には結びつかないと思われがちです。それどころか、お互いに敵対すると言ってもいいほどです。しかし近頃、“太るのはイヤ…でも美味しいものも食べたい!”という相反する欲求に応えるべく、美味しい食事をお腹いっぱい食べて痩せられる、夢のようなレストランが出現して話題を集めています。
今年の5月、東京・渋谷にオープンした「ナチュラルダイエットレストランNODO」。食・健康・ダイエット、という3つのキーワードを“結ぶ”(伊=NODO)役割を担うという意味を込めて名付けられた、イタリアンベースのレストランです。「血糖コントロール理論」が持論の日本ダイエット協会会長、戸田晴実氏をアドバイザーに迎え、すべて徹底した低糖・低カロリーのメニューを実現。食事の量を減らすのではなく、糖質の少ない、つまり血糖値が上がりにくい食材の使用と調理法で脂肪の蓄積を防ぎ、メインディッシュからデザートまでのフルコースの総熱量が、なんと500kcal以下!「パルマ産生ハムとたっぷり野菜のサラダ」(88kcal)、「ワタリガニのミネストローネ」(42kcal)、「仔牛ロースと山形野菜のグリル」(103kcal)など、どのメニューもダイエット料理にありがちな“味気のなさ”“物足りなさ”からくるストレスを感じることなく、美味しく楽しく満腹になれるというところがリピーターを増やしている理由のようです。ランチは1,500円〜、ディナーは2,800円〜。
同じく5月、東京・銀座に開業したのは「グルメドクター」。店名が示すように、メニューの監修にはアンチエイジングを専門とする医師を、また総料理長にはダイエットドクターを迎え、“知らないうちにダイエット、気づいたときにはデトックス”を合言葉に、美味しく食べれるダイエットレシピを考案。人気は、「農園野菜のトマトカレー」(391kcal/1,200円)や17種類の食材を使った「バランスバーガー SA-17プレート」(395kcal/980円)、「季節野菜のセイロ蒸し」(71kcal/900円)など。
また、スポーツジムとダイエット料理のコラボレストランが、「b-ZONE」(東京・日本橋/運営・C-プランニング)。ジムで行うダイエットプログラムの一環として、高タンパク・低糖質・低脂質・ノンオイルの料理を提供していたのを一般の人にも開放しようと、昨年、誕生しました。
個人レベル、家庭レベルだったダイエット挑戦料理が、街なかのレストランへと広ががり、自宅では味わうことのできないプロの味で理想的な健康や美容を手に入れることができる。そんなレストランを待ち望んでいた人は、決して少なくないはずです。
※参考:
ナチュラルダイエットレストラン NODO http://www.nodo-diet.com/
グルメドクター http://www.gourmet-doctor.com/
C-プランニング http://c-pn.co.jp/
日経MJ(2011年7月18日付)