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2011.08.03更新
 

日本流“こころの先端技術”。海外へ輸出される「OMOTENASHI」。
 

接客の最前線である店頭で、日本にはあって欧米諸国や中国などにはないものって何かおわかりですか? それは、「おもてなし」の心。海外から訪れた外国人が、一様に驚き、感動するという日本独自の接客文化です。

経済的合理性に徹した“奉仕・接待”の「サービス」とも、また“手厚くお世話する”という意味合いの「ホスピタリティ」とも微妙に異なり、的確な英訳がないと言われています。

原点は、客人をもてなす茶の湯の精神にあるようです。もてなす側ともてなされる側に上下主従関係が存在せず、互いが同等であるという考え方で、“表なし”、つまり表面に出さない奥ゆかしい行動様式が基本となっています。

そんなキメ細やかで丁寧な日本特有の心「おもてなし」が、いま「OMOTENASHI」となって海外でビジネス展開を図る日本企業の強力な武器となっています。特に、欧米の有名ブランドと海外でしのぎを削る化粧品業界は、「おもてなし」を差別化の格好の販促素材として活用しています。

資生堂の「おもてなし」接客術は、同社の基本理念の一つとして古くから実践されています。それは、それぞれの国の言語で作られた小冊子「おもてなしクレド」(Credo=信条、約束)を使ってアメリカ、中国、ロシアなどすべての海外の資生堂扱い店で展開されています。2008年には上海に研修センターを設立。笑顔や身だしなみから、商品の指し示し方や持ち方ひとつにもこだわる教育に、現地スタッフの中には、“なぜここまでするのか”と首をかしげる者も出てくるといいます。しかし、そのサービスを実践し、お客様からの反応を見た時、そのスタッフは納得し喜びに変わるとのこと。

欧米で「SENSAI」ブランドを展開中のカネボウも、日本人のビューティーカウンセラーを現地に派遣し、日本で培った高度な「おもてなし」ノウハウの徹底を指導しています。

さらに、「おもてなし」の宝庫ともいえるのが日本の旅館。中でも、老舗中の老舗の和風旅館、石川県和倉温泉の「加賀屋」が、昨年末、台北の北投(ペイトウ)温泉に「日勝生 加賀屋」をオープン。台湾式にアレンジするのではなく、まるごと日本仕様の輸出ということで話題を集めました。開業前には、現地採用の従業員を日本の「加賀屋」で修業。正座から着付け、配膳はもとより、同旅館のDNAとして受け継がれている「おもてなし」の接客教育に約半年かけました。“これをすればお客様は喜ぶにちがいない”と考えているうちはまだ「おもてなし」ではなく、マニュアルを超えて一人一人が自然にお客様の希望を叶えることができた時、本当の「おもてなし」であると教え込まれます。

他にも、コンビニ各社、宅配便サービス、ホームセキュリティサービスなどが、日本流「おもてなし」サービスのアピールで海外進出を成功させています。

私たち日本人には当たり前のサービスが、海外では特別なものとして受け入れられています。これまでMade in JAPANといえば、モノや技術でしたが、実は、世界の人の心に届き、販売戦略上、最も大きな効果を発揮するのが「おもてなし」という日本オリジナルの“心の技”なのかもしれません。

※参考:
資生堂 http://www.shiseido.co.jp/
カネボウ化粧品 http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/
加賀屋 http://www.kagaya.co.jp/
朝日新聞(2011年4月23日付)


まだまだ美味しい、「弁当箱」市場。
 

地味で目立たない存在だった「弁当箱」が、一躍、表舞台に登場することになったのは、やはり2年ほど前に出現した“弁当男子”の影響が大きいのでしょうか。不況による節約と健康志向をキーワードに「弁当箱」は堅調に伸び、2010年の市場規模は前年比2%増(スケーター調べ)で、2年連続の好調さ。

メーカーシェアで見ると、「スケーター」「サーモス」「オーエスケー」の順で3強を形成しています。売れ筋は、通勤バッグに入る2段式タイプ(1,500円前後)と保温ジャータイプ(2,500円前後)が主流。機能面では、食器洗浄機対応の耐熱素材使用のものや汁漏れ対策、保温・保冷機能、電子レンジ対応など、各社独自色を出そうとしのぎを削っています。

特に今年は、節電の影響からか、保冷機能付きの製品が目立っています。保冷剤パックを上蓋の内側に付けることのできるもの(スケーター)や家庭にある保冷剤が入れられるポケット付きの保冷カバーと弁当箱のセット(サーモス)、また断熱構造の保冷ケースが付いていたり(サーモス、他)と、お弁当のいたみからの防衛策に工夫を凝らしています。

世界で初めて魔法瓶を開発したサーモスの「2段式フレッシュランチボックス」シリーズは、食洗機対応の耐熱樹脂製。食べ終わった弁当箱は下の容器に収納して1段にできるので持ち帰りがコンパクト。

オーエスケーの「シャインブライト」シリーズも2段式。汁漏れを防ぐため、シリコンゴム製の内蓋で密閉性を高めています。

“ごはん少なめ、おかず充実サイズ。職場に弁当を持参する健康志向の男性へ”と銘打ったのは象印マホービンの「保温弁当箱 お・べ・ん・と」。ステンレス製真空二重構造のごはん容器と野菜やフルーツがたっぷり入り、汁漏れしにくいおかず容器2個のセット。また、女性スタッフが企画し、一見弁当箱に見えない女性向けの同シリーズも発売されました。そのまま持ち歩けるキルトバッグタイプが人気です。

タイガー魔法瓶の「まほうびん弁当箱」は、ご飯が2杯強分入る食欲旺盛なメンズ仕様。真空二重構造の保温容器と、弁当箱を入れるポーチにも断熱材を使用。ダブルの保温力で長時間保温を可能にしました。おかず容器の蓋は独自の4点ロック方式で汁漏れを防ぎます。

スケーターからは今年、「カレー・丼物専用ランチボックス」というユニークな商品も登場しています。

現在の自家製弁当ブームが落ち着いた時に、はたして「弁当箱」市場が堅調な伸びを示し続けることができるか-----各メーカーの、文字通り“弁当箱のスミを突っつく”ような小さな工夫の積み重ねが今後も続きそうです。

※参考:
スケーター http://www.skater.co.jp/
サーモス http://www.thermos.jp/
オーエスケー  http://www.hello-osk.co.jp/
象印マホービン http://www.zojirushi.co.jp/
タイガー魔法瓶  http://www.tiger.jp/
日経MJ(2011年5月16日付)


再び盛り返してきました! 元気な「栄養調整食品」。
 

アメリカでは“Energy Bar”(エナジーバー)と呼ばれている「栄養調整食品」。ビタミンやミネラル、食物繊維など、日ごろ不足しがちな栄養素がバランスよく配合され、菓子タイプで手軽に摂れることから、OLや女子大生、男性サラリーマンをメインユーザーとして根強い人気を誇っています。

「カロリーメイト」(大塚製薬)の登場で、耳慣れないこのカテゴリーの存在が認知され始めたのが1983年のことでした。やがて、最大手の成功に追随するように、菓子メーカーや食品・薬品メーカーなどが続々参入。スーパー以外でもコンビニやドラッグストアと、販路の開拓にも積極的で市場は急成長を遂げました。しかし、2008年まで右肩上がりで成長を続けてきたこの市場も、2009年以降は横バイ、そして2011年には微減が予測されています。つまり、市場の飽和化、頭打ち状態に陥ったといえます。

そんな背景の中、各社は新たな商品コンセプトを打ち出したり、健康という付加価値をより前面に押し出したりと、独自性をアピール。先発品との差別化を狙って、市場全体の活性化につなげようとする動きが活発になってきました。

日本水産は、自社ならではのノウハウを活かし、青魚に含まれる“EPA(エイコサペンタエン酸)”と“DHA(ドコサヘキサエン酸)”を配合した「サラサラ生活向上委員会 エパプラス 大豆バー」を今春、発売。2つのサラサラ成分が血流を改善し生活習慣病の予防に効果を発揮します。中高年をターゲットに、味は“和”にこだわって、“抹茶あずき味”と“黒ゴマきなこ味”の2種。

これまでは漠然と朝食代わりや小腹が空いた時の間食として食べることが多かった「栄養調整食品」ですが、3月に発売されたカルビーの「ひとくち美膳」は、目的に応じて食べ分けるという、新たなコンセプトで登場した“提案型”の「栄養調整食品」です。快=おなか=いちじく、澄=目=ブルーベリー、潤=美肌=あんず、と設定された3つのテーマごとに商品化。「雑穀&いちじく・バナナ」「雑穀&ベリー」「雑穀&あんず・杏仁」の3種類のシリーズが、30代のOLを中心にアピールしています。

味わいの種類を増やす戦略に出たのが、アサヒフードアンドヘルスケアの「バランスアップ クリーム玄米ブラン」シリーズ。3月に「オレンジ」、6月に「塩バニラ」が加わって全8種類の味わいがラインナップ。

大御所、大塚製薬は、これまで大豆と果実や木の実の組み合わせが主だった「SOYJOY」シリーズに、初めて野菜を使った「フルーティートマト」を発売。全12種類に拡大しました。

摂取シーンやターゲットを広げて活性化を狙う「栄養調整食品」市場。再び、昇り調子の曲線が描かれる日は訪れるか、注目しましょう。 

※参考:
日本水産 http://www.nissui.co.jp/
カルビー http://www.calbee.co.jp/
アサヒフードアンドヘルスケア http://www.asahi-fh.com/
大塚製薬 http://www.otsuka.co.jp/
日経産業新聞(2011年5月13日付)


 
 
 
 
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